百十四話 謁見5
初めての投稿です。
誤字•脱字や矛盾点も多いと思いますがコメントでお教えください。よろしくお願いします!
「それで褒賞の話に戻るが、セイヤには爵位と領地を与える事にした」
「爵位と領地ですか?」
「そうだ。王族の娘と公爵の娘を嫁に取るなら最低でも伯爵以上でなくてはならんからな。まずは男爵からだが、時期を見て順々に上げていくつもりだ。
婚約の事は隠さないで発表しようと思う。理由はキャロラインとソフィア嬢に対して求婚を断つためだ」
「わかりました。ですが領地を持てるのは子爵からでは?」
「そこはセイヤの実績を加味してだ。いきなり子爵以上だと、他の貴族連中がうるさいからな。仕方なく男爵からだが、実績を見ると子爵以上からでもおかしくはない。なので領地を与える、という事だ」
「なるほど。わかりました」
「質問はあるか?」
「いくつかあります」
「言ってみろ」
「まず一つ目です。僕は人種差別はしません。そしてブルムリン教会が嫌いです。それでも大丈夫ですか?」
「いきなり面倒な事を。問題は何も無い。だが、セイヤも知っての通りこの国の貴族の多くは人間至上主義やブルムリン教会を好いている。嘆かわしい事だがこれは事実だ。変えて行こうとは思っているが古い慣習は中々難しい。そうなるとセイヤの風当たりは強い物となるだろう。友好関係は築きにくいだろうな。ここにいる者は皆差別などしないし、創世教会だ」
「大丈夫です。そんな連中はこっちから願い下げです。では、二つ目の質問です。僕が王都に来た理由の一つとしてSランク冒険者になると言う物があるのですが、それはどうなるのですか?」
「それなら謁見の時に褒賞と一緒にSランクにあげよう。本来なら冒険者ギルドから打診を受けて、調査した上で判断する事だがセイヤの場合は調査の必要はないからな」
「わかりました。ゴトクの冒険者ギルドのギルドマスター、ゴルドさんから書状を貰っているので受け取ってください」
そう言ってゴルドさんから貰った書状を渡す。
「では、三つ目の質問です。僕の夢は話しましたよね?」
「ああ。差別が無く、子供達が笑って過ごせる様な街をつくる事、だったな」
「そうです。この夢はすぐに実現する事は難しいです。でも、今その夢への第一歩が踏み出せそうです。なので与えられる領地を選ぶ事は出来ますか?」
「う〜む。中々難しい事を言うな。それは応相談としか言えんな」
「そうですね。本来領地を与えると言うのは2パターンあります。一つは誰もいない王家が所有している土地を与える、もう一つは今の貴族の領地を分ける、の二つです。後者の例はローレン公爵の領地のゴトク領は要塞都市ゴトクを中心にあたり一帯ですが、その領地の内の一部をセイヤ殿の領地とすると言う感じになります」
「なるほど」
「なので前者ならば問題無く与える事は出来ますが、後者ならばその土地を収めている領主と揉める事もあり得るのです」
「セイヤはどこの土地がいいのだ?」
「言いにくい事なんですが、僕のステータスは見ましたよね?」
「ああ、見たぞ。それがどうした?」
「職業のところを見ましたか?」
「ああ。確か、テイマーにAランク冒険者、後はダンジョンマスターだった筈だ」
「そうなんですよ。ダンジョンマスターなんですよね、僕。そして僕のダンジョンがあるのは“死の大地”なんです」
「ま、まさか死の大地に領地が欲しいと言うのか!?」
「や、やっぱりダメですかね?他の国も死の大地に面してますもんね」
「そ、それは問題無いのだが、」
「そうなんですか?」
「ああ。死の大地は不毛の大地だ。だから死の大地に面している、我が国スタッグ王国とスタッグ王国の北に位置する聖王国ブルムリン、そして南に位置するガルムンド帝国との協議で死の大地は好きにしていい、と言う結論が出ている。開墾できるものならやってみろ、と言う感じだな」
「なるほど。それなら大丈夫ですか?」
「外交的にはな。ただ死の大地となると危険な魔物がうじゃうじゃいるし、それに我が国から行くにはサンの森を越えなければならない。サンの森は中心に行くほど魔物が強くなる第一級危険地帯だ」
初めて聞いたな第一級危険地帯なんて。
『この国ではダンジョン以外にも危険な場所に等級をつけ、国民を無闇に近づけ無い様にする政策を取っています。第一級〜第三級まであり、数字が少ない方が危険です』
なるほど。面白い政策だな。
『ちなみにこの政策はレギオス・テラ・スタッグが初めて導入し、その事で年間死亡者数が二割は減ったとされています』
そんなにか!すごいな国王様は。
「なるほど。領主にするのは問題無いが、その領地に行く事や領地を繁栄させる事が難しいと言う事ですね?」
「そうだな」
「ならば大丈夫だと思います」
「何か策があるのか?」
「移動については問題ありません。領地を貰って建物も大丈夫ですね。食料は暫くは僕らが育てた物を使えば大丈夫でしょう」
建物はビルドが、食料はファームを中心にプラントの果実や、農家ゴーレムの農業と畜産もある。いざとなればダンジョンで取ればいいしな。
「建物と食料は大丈夫だろうな。ゴトクでもやっていた様だしな。移動はどうするんだ?」
「はい。これは主要三都市の要塞都市ゴトク、商業都市ハンゴー、そして王都スタッグの三つを使おうと思っています」
「使うとはどう言う事だ?」
「はい。僕は〈魔法陣術〉が使えるので、それぞれの都市に転移の魔法陣、名付けて転移陣を設置しようと思います。転移陣を使えば一瞬で僕の街の近くに来れると言うわけです」
「待て待て待て待て!何をサラッととんでもない事をしようとしてるのだ!転移の魔法陣なんてあるのか!」
「は、はい。ありますよ?」
なんか国王様が凄い勢いで詰め寄ってきた。
「その顔は意味がわからないと言う顔ですね。転移の魔法陣なんて物が有れば戦争の根本が変わります。例えば一度に大量の軍隊を一瞬で送れたり、相手の国の王都に魔法陣を設置すれば奇襲をかける事も容易いでしょう」
「な、なるほど。確かにそう言う事は考えてませんでした。わかりました!なら魔法陣は絶対に見つからない様に描きますね!」
「そう言う問題じゃ無いわ!だが、まあ、いいわ。セイヤだからな。悪用する事は無いだろう」
「もちろんです!それに各都市の魔法陣を設置した場所と僕の街の近くの魔法陣にはそれぞれ僕の仲間のゴーレムを配置するので悪用される事はないですよ」
「魔法陣の事は徹底する事を約束してくれ」
「もちろんです!」
「よし、ならば死の大地に領地を与えよう。クライス、地図を」
「どうぞ」
国王様が地図を広げる。
「セイヤのダンジョンはどのあたりにあるんだ?」
「えーと、この辺りですね」
ナビーに教えて貰った場所を指す。
「サンの森に結構近いんだな。ならばセイヤの領地はそうだな、スタッグ王国に面している場所から西に10キロまでのところを全てと言ったところだな」
「え!?それは流石に広すぎるのでは?」
「そうか?ならば、セイヤのダンジョンを中心に半径10キロだ。これでどうだ?」
「それなら大丈夫だと思います」
「決まりだな。となると後は領地の名前とセイヤの家名だな」
「そうですね。家名は「アルトリオン」でお願いします。領地の名前は「スライミル」でお願いします」
「わかった。ならば今からセイヤの名前はセイヤ・フォン・アルトリオン・スライミルだな。スライミル男爵領の領主だ」
「正式な任命は謁見の時に行います」
「わかりました。そういえば、キャロは僕の婚約者になると、継承権はどうなるんですか?」
「キャロラインはアルトリオン男爵に嫁ぐ事になるからな継承権は無くなる。代わりに他の王子と王女の中から選ぶ事になるが、まあ、ほとんど決まっている」
「そうなんですか!?」
キャロが驚いた様に口を挟む。
「ああ。儂のユニークスキルの力でな」
国王の様もユニークスキルを持ってるのか。
「儂のユニークスキルは〈予知夢〉と言ってな、たまに夢に未来の事が出てくるのだ。儂がこの国を治めて黄金期などと呼ばれる様に慣れたのは半分はこのスキルのおかげだな。おっとこの事は他言無用だぞ。クライスとローレンしか知らんからな」
「そんな重大な事を教えて良かったのですか?」
「信用しているからな。セイヤだってユニークスキルを見せてくれただろう?」
「そうですね」
「陛下、セイヤ殿。そろそろ謁見の準備を」
「わかった」
「わかりました」
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