ほしなきそら
百話いきました~!まだまだ書きたいのでこんな感じで千話位目指してます!いつも見てくださりありがとうございます!!!!
今回の〔術式対局〕参戦した者達は決して弱い訳では断じてない。
「はぁはぁ、っふ、不浄を拒絶せよ!《聖域領域》!!」
金髪を靡かせた坊さんが、手で印を素早く中に書き錫杖を振り払う様に横に振るう。
そうする事で一切の不浄を拒絶し、何人たりの侵入を拒む、聖なる領域が金髪の坊さんを起点に円上に広がる。
光輝く結界の中で金髪の坊さんが叫ぶ
「あなたのその術は呪詛と見た!!森を溶かし消すソレは確かに規格外の一言に尽きるだろう!!だがソレが呪詛ならば!わたしの
━━確かに金髪の坊さんの判断は早かった、白夜に見つかった時点で、白夜の術式に推測を立てて直ぐに、反対となる属性で結界を張ったのだ、
それを判断が早く、そしていい選択をした。と言わずなんと言うのか。
そして最善すら理不尽の前にはそれは無意味だったと言う話だっただけだ。
光輝く結界は天から振ってきた黒い凶星に、紙のように破かれ大地ごと光すら残さず消え失せた。
底の見えない大穴から白夜が出てくる。
「なんか言ってた奴いなかったか…今?まあ、どうでもいいや…」
大切なもの達と居るときでは決して出さない冷たい声でどうでもよさそうに吐き捨てる
「さて、次はどこにいこうかな。」
『じ、16名だ、脱落!!』
▼■▼■▼
「ふぅむ、白夜のやつ、もうちと遊ぶかとおもっとたが…自分に挑む勇気ある者がいないと感じた時点で興味うしないおったの」
元治の何気ない呟きを加菜恵が拾う
「敵に背を見せるな…とまでわ言わないけど……これは興が削がれるわね。」
「御二人とも無茶を言いなさいますな…奈落の主と言えば由来を知らぬものでも目の前に立ちたいとすら思えないビッグネームですよ?選手達には実況は聞こえてはいないでしょうけど…勘づいた者は多い筈ですよ?」
「それでもじゃ、てか広まってる表の二つ名程度、まだまだかわいいもんじゃろ? どうじゃここはもう一つの名を発表してみんかの? 名と言うより忌み名じゃがの! にょほほ! アイツらがどんな顔に歪むか、恐怖かの? 絶望かの? さてはて、どんな間抜けな面を拝ませてくれるか、楽しみじゃのォ!」
意地悪そうな顔で嗤う元治、それを呆れ顔で止めようと口を開こうとする田之助。
そこに少し割り込む形で奈月が愛しの人のもう一つの名を聞く。
「お祖父様方、もう一つの名ですか…?」
「そうか、奈月ちゃんは知らんかったのぉ」
どんな絶望を見せてくれるか、と悪意満点の表情で嗤っていた何気に今回の対応にブチギレてる源治が、かわいい孫嫁の言葉に、きょとん、と素の表情に戻り、今度は愉快な笑みを浮かべる
「元治様…白夜様が嫌がりますよ…。」
「よいじゃないか~♪」
「私はかばいませんよ…。」
この軽はずみの行動がまさかこの後、1日木吊らされるなんて思ってもいなかった元治であった。
「な、なんかいやな予感がするんじゃが…」←勘スキル:100レベ
「ま、まぁよいか!(28敗)、あの孫わぁ、二つ名とか好きじゃないじゃがな? この二つ名は特に好んでないじゃよ」
──万命喰らい
「…カッコいいですね」
「にょほほ!!由来に気付いて尚もそう言ってくれるなんて孫もいい嫁さんもらったのぉ」
「ほんとですね、奈月ちゃんもいい娘です。」
「自慢の孫ですから。」
そう微笑む田之助であった。
★◆★◆★
"万命喰らい"
気術協会、魔法協会、天魔、サーティーン・パーティー、悪魔信徒、神聖審判、残虐舞踏、武神天会、白の花園、魔像進行、円卓、創世万象、etc。
名だたる強者が集う組織が、ただただ畏れる最悪の終理
"万命喰らい"は人にとっての災害じゃない。
アレは絶対者達すら抗う事すらできぬ終の理だ。
大地を喰らい。
宇宙を喰らい
海を喰らい
魂を喰らい
獣を喰らい
景色を喰らい
災害を喰らい
厄災を喰らい
終末を喰らい
未知を喰らい
恐怖を喰らい
未来を喰らい
絶望を喰らい
希望を喰らい
理を喰らい
法則を喰らい
全能を喰らい
理不尽を喰らい
色を喰らい
覚悟を喰らい
幻想を喰らい
神を喰らい
外神を喰らい
時間を喰らう化物。
理不尽を喰らう理不尽な化物。
"万命喰らい"自分の宝に触れる全てを喰らい尽くす、化物だ。
裏では子供にすら言い聞かせる程のものだ。
──わるいことをしてはいけないよ。
ひとのたいせつなものを、きずつけてはいけないよ。
きずつけたなら、こわくて、きれいな、よるにくわれてしまうよ?──
▼★▼★▼
「しかし正直怖がるじゃないかとおもったわい」
「そうですね娘からも聞いてた筈ですからな。」
「だって…それ聞いたの小学生2年の時だし…今はその化物の大切は私達だもの」
そう輝かんばかりの笑顔で言いきる奈月。
それに感心する元治、孫バカを発動させる田之助、
そして柔らかな笑顔で微笑む加菜恵。
◇◆◇◆◇
「たく、あのおじいちゃんは人の話したくないことを、ペラペラと、、、」
そう悪態を付きながらもどこか嬉しそうに笑みを浮かべる白夜、そして少し上を向くと
「……はぁ、無性に皆に会いたいなぁ……」
少し暴れ、怒りがほんの少し薄れたのか、気が抜けたように白夜はそう呟いた。
それと同時に、白夜の両腕を半分変色させていた黒が紋様のように広がり、腕、足、目が細胞単位で黒く変色する。
爪が尖り、足が小型の怪物の足のように、そして背中から紋様が延び、景色を呑み込む黒いドラゴンの様な36対2の翼が創られる。
異形の姿と為った白夜が掻き消える様に走る、ただただ走る空に大地に海に黒い線を残しながら。
他者から見たら次の瞬間、疑似異界に黒い柱が何千と生え、黒い柱は空を穿ち、大地を抉り、海を乾上がらせ
━━最後にはこの世の終わりの様な光景に黒い柱が残像の様に景色に溶ける光景だけが残ったようにしか見えないだろう。
『な、な、な、ッッ!!?さ、35名だ、脱落!!残ったのはッ!!
──────式理 白夜様! お一人だぁぁあああ!!!??どうすんだ!!?これェ!!!??て、し、式理選手!??お待ちを!!』
白夜は抑えていたステータスを僅かに戻し、その場で足を振り下ろす
━━パッ───ジンッッッッ
そんな音が会場に響き渡り疑似異界が術式ごと消え失せる。
「あ?なんか言ってたけどまぁいいか」
奈月達の前に移動すると白夜は笑顔でチョキをつくる
「勝ったぜぃ!」
「流石ね?白様。」
「引くくらいに蹂躙じゃたな…」
「蹂躙てか鏖殺では…?」
「あらあら、一応死んではないわよ?」
「ぶい!一応死なんように加護付けてから殴ったからね~♪」
「それなかったら転移する前に身体消滅して死んどったなあ奴ら…」
「見てください、神凪家の者達、顔面蒼白ですよ」
「ははっ、人の嫁を友好を盾に盗ろうてんだ、きちんと優勝して生まれ変われない様に徹底的に壊して殺してやるんだ♪」
──そう言い神凪家がいる場所を見る白夜の瞳は何処までも黒しか無かった。




