狂気の器 最階層 変人度
扉を開け中に入ると其所は研究室を彷彿させる場所だった。
何万の浮くフラスコ、足場には敷き詰められたナニカの術式、モンスターや人種の詳細が載せられたモニターが何万、偽階層の全階層モニター、上に大きく浮かぶモニターが3つ。
その中央に女性が一人椅子に腰をかけ好奇の目を隠そうともせずに伺う
その女性は黒髪を長く滴し髪の先端が紫に染り、瞳は何処か猫を連想させる、口は三日月を描き、それでも美人だと言葉が出る程に顔は整っている。
服装はシンプルな黒にその上から白衣の様な物を羽織っている、ちなみに体はぼっきゅんぼんだ。
だからだろうか白夜が挨拶を智核に任せ、白衣の女性の胸部を怨敵を睨み唸る創楽と飛由の抑えに回っている。
仲間内は良いが、他者はダメなようだ。
「「フシャーーッッッ!!」」
「どう~どう~」
抑えるのに苦労している白夜に助けをだす受難
「お二人とも落ち着いて下さい、女性は大きさではないですよ?」
「ちょ!?胸を腕で抱えて言うなや!?」
「「ジャァァァァアアア!!!」」
「二人がッガチギレした猫の様な鳴き声を!?」
旦那様が大分苦労している。
まぁ、まずは任された挨拶から。
「久し振りですね、妹よ」
「あぁ久し振り我が最愛の姉上よ、一つ良いかな?」
「どうぞ。」
「意味は見付けたかい?」
昔投げ掛けられた問の事ではないでしょう。
この妹が今言う意味とは…
智核はチラリと後ろを見る、そこにはいつの間にか起きた常世がカオスに加わりさらにカオス化している皆が映る。
それを見て何時も無表情の顔が一瞬崩れる。
「ええ、見付けましたよ。」
「そうか。」
「ちなみに私の無表情はよく寝室で崩れます。」
「そ、そうか。(姉上はそっち方面だったかーぁ)」
「あ、ちなみに私の名前は今、式理智核です憶えておいて下さい。」
この時白衣の女性は思った。
あ、先越された。と
「ちなみに妹よ」
「な、なんだい姉上?」
「彼氏できましたか?」
白衣の女性はナニカ見えない槍で貫かれた後座り込みナニカを呟き続ける。
「わたしコアだし?彼氏とか?必要ないし?別にぃ?妹達に先越されまくった事とか気にしてないしぃ?だいたいぃ?コアがぁ?彼氏とかそんなことにぃ?とらわれて?は?みたいなぁ?」
ループ×20
頭を抱えて自分に言い聞かせる白衣の女性の周りをくるくる回り左薬指を見せつける智核。
それから逃げるように椅子をくるくる回す白衣の女性。
その光景を知覚していた白夜は思った。
あ、変人度合いは家の嫁の方が上か…。と
▽△▽△▽
「コホン、では初めまして攻略者諸君」
あ、無かったことにするのね?まぁ此方もその方が良いケド
人に晒してはいけない顔で気絶する二人から目を逸らし思う白夜。
「初めまして、智核の夫の白夜と申します。」
「ぐふっぅ」
胸を押さえ込む白衣の女性。
あれ?禁句だった…?すまん白衣の人…。
気を取り直して
「失礼お名前は…?」
「げふぁ!!」
血を吹き出し痙攣しだす白衣の女性←名前と呼べるものが無い人
やべぇこの智核の妹地雷多すぎない…?
取り敢えず介抱しよう。
「だ、大丈夫ですか?」
「ぐっ、私はもうダメだ…だからせめて最後の」
さ、最後の…?
「イエス。介錯ですね」
刀を振り下ろす智核
「うぉぉい!?違うよ!?」
間一髪転移で避ける白衣の女性
「人の旦那になに勝手に触れてんですか…?」
「ふ、嘘はダメだぞ!姉上!触れてることには怒ってない!抱き抱えられてる事に怒りを憶えたと見た!」
「ふむ、昔から妹は解釈に長けていますね」
「うむ!褒められて悪い気はしないが、二つ程不満を…。」
「イエス。許可します。」
白衣の女性は智核の持つ刀を指差し言う
「まず一つ!そんな物騒なもの振り回すな!?敷いてた術式が斬れただけど!?それ!魔力とか斬れる奴だろ!二つ名前貰う位良いじゃないか!わたし生まれて数億年名無しだぞ!?」
まぁ確かに…物騒だがフラスコに入ってるのも大概物騒な気がするが…。あ、刀に魔力込めだした。まぁ姉妹のじゃれ愛だしな、助け求められるまで観察でいいか。
「おっと、私の年齢をばらすような悪い妹には少し本気で仕置きが必要ですね。」
「今度は本気だ!?助けて姉上の旦那さん!!」
あ、結構早く助け求められた。
「旦那様…どいて下さい妹殺せない。」
「おっと俺が言われると思わなかったベスト10ぐらいの言葉が出てきたぞ?…まぁ落ち着いて智核」
刀を白夜から逸らし構えてる智核を正面から抱き締める白夜。
「年齢なんて俺気にしないし、そもそも鑑定で出てたから。」
「……色々納得出来ないですけど。抱き締められるだけで落ち着く安い女になってあげます。」
「はいはい、と」
顔を白夜の胸に沈める智核の顎を白夜は優しく持ち上げ──
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「許します。」
無表情を赤く染めそう言う智核に白衣の女性は言う
「スゲ~なっとくできない」




