人類の奮闘
――結局起こったのは醜い言い争い、こんな我々を神は助けたいとも思わないだろう。
10時35分
「避難状況」
『1_9、完了いたしました!』
『10_17完了18.19が難航しています。』
「此方は移動
―――ゴン!!!!!!!
そんな音と共に自分達から見て、10家以上は離れてる家がうち上がった
10時36分
避難していた人々が口を開け絶句する。
「走れぇぇぇええええええええ!!!!!」
家を打ち上げた怪物が地面を支えに地上に上がる
それに危機感を覚えた部隊は銃を怪物に向けて乱射する。
「構うなッッッ!!!護衛最優先だッッッ!!!」
響き渡る銃声を、かき消す声が銃を乱射してる部隊にのし掛かる。
「「「「イエッサーッッ!!!」」」」
護衛…そうだあれで終わりじゃない
▽▼▽▼▽
奇怪な小人が人々を追い回す
追い付かれたものは食い散らかされ遊ばれる
海から首の長い何かが此方を見る
首の長い何かは口を大きく開けると陸に突き刺さる
その下には多数の命が
空を飛ぶ石像がビル内部に群がり
暫くすると口や手を真っ赤に染め上げまた飛び立つ
二足歩行の狼が無尽蔵に走り回り家を粉砕していく
その狼は弱者をいたぶりなぶり殺す
その大きく赤く染め上げた口を歪に吊り上げながら
そんな地獄のような光景がそこら辺で見られる
さらに多種多様にこんなの一部でしかない
それらに何とか対抗する者達が現れる
光輝くバットを片手に小人を殴り殺す者
自衛隊
スッコプで人々を守りながら戦う者
車で引き殺す者
家族を守ろうと奮闘する者達
最初は一匹殺すのもやっとだった、だが殺せば殺す程動けるようになる。
それに不思議がりながらも無我夢中で獲物を振り回し守り殺していく。
だが別に人類が怪物を押してる訳ではない
被害は増える一方だ
それでも当初の被害よりかなり抑えられている。
最初の予定では備えることも出来ずに全滅に近いはずだった。
だが鶴の一声で状況は変わった。
まぁ、それでもこれは大厄災と呼ぶに相応しいのだろう。
▽▼▽▼▽
これは幸運だったのだろう
本当の怪物達は目覚めた自我に戸惑い、そして刻まれた暴走期が機能しなくなった事により人間を襲うとゆう本能に、セーブが掛けられた、、、いや本当は襲って踊り食いをしても良かっただが、この気配の主に近寄りたくなかった。自分達は動けば殺されるだろう、事実最初に走り出した雑魚共は気配の主に近寄った瞬間消えた。
あぁやめようアレは無理だ自分達に刻み込まれた記憶にある神と名乗る者達より遥かに強い。
いや比べる事すらしちゃいけない
幸い戻ることには危機感は感じない
――戻ろう偉大なるダンジョンの元に
▽▼▽▼▽
「おや…じ…?」
目の前の光景を信じたくなかった
優しかった親父
厳しかった親父
100点を褒めてくれた親父
自分の夢を応援してくれた親父
誰よりも先を家族の為に見据えた親父
そんな親父が何故……下半身が…アレ……?なんで…?
「にげ……ろっ…けん…だっ…ッォ」
下半身…親父の……下半身?
「げ"ん"だ"っ"」
アレ親父の足?なんで喰ってるだよ?
大きな蜘蛛が器用に足に刺しながら貪り食らう
「まってて親父、親父の足返して貰うから」
そう言う息子を霞む目で見上げることしか出来なかった
(たのむ…にげてくれよっ、健…太)
黒い靄が蜘蛛と健太の前を横切る
だが蜘蛛は足を黒い靄に横から叩き斬るように振るう。
「邪魔」
――パン
そんな音と共に蜘蛛が風船のように膨らみ破裂する
「ぇ?ぁぇと?あ、足、足足親父の……」
健太は錯乱し蜘蛛の血溜まりの中を掻き出し足を父の元に戻そうと何度もくっ付ける
泣きながら泣きながら思い出を語り何度も
そんな姿を黒い靄がチラリと見ると健太の襟を引っ張りなげる。
そして下半身の無い健太の父に手を向ける
「や"!や"め"て"ぐ"れ"!!!!」
健太は必死に手をのばす
が届かない
黒い靄の手には純黒の何かが集まる
そして純黒のそれは健太の父を覆う。
「や"め"ろ"っ"――――――!!!」
「?」
純黒の何かが晴れるとそこには無傷の父の姿
「あ、あれ?」
「治療終わった、じゃ」
短く短決に言葉を言うと黒い靄は手を横凪に振るう
そして次に映ったのは何故か先に避難してるはずの母や妹
「健太!?お父さん!!?」
「え!?お兄ちゃんとお父さんも!?」
「母さん!!??瑠璃!?!?」
「うるせぇぞ!健太ァ!!」
――コン!?
「何で俺だけっっ!?!?」
▽▼▽▼▽
「んぅ?まぁ8割方死んでたけど…今さらか…はぁ、今からでも蘇生しまくっちゃダメかなぁ」
『まぁまぁ我慢せい、そんなことすれば付け上がるのが人間じゃからの!後から罵声なんか浴びせられても白夜は平気かもしれんが嬢ちゃん達が傷つくぞ?』
「んんん、そう言われると……はぁ、約束は守るから大丈夫だよ、おじいちゃん。皆が俺の事思って言ってくれてるのも分かるしね……」
『物分かりの良い孫じゃ、まぁ3秒ルールと言うしの?さっきのもノーカンでいいじゃないかの?』
「うん、さて早く次いきますか……」
――あの日を境に全てが変わった。此からは適応できない者から死んでいく