日常が崩れる日
――きっと気づいていたコレが何かなど…
空が黒く塗りつぶされて20分。
空のソレは広がり続ける一方だ。
それと同時に人々の不安も膨れ上がり続ける。
雲では無い事は判明している、緊急報道されているニュースでは信じられないことが語られてる。
『突如、我々の頭上に現れた黒い靄の正体が判明しました!映像をお願いします!』
『はい!こちら現場の加糖です!ご覧ください!』
カメラが空をズームで撮しだす。
人々の目に映るのは数えるのも馬鹿らしい量の
――蟲
「ヒッ」
「キャァアアアア!?!?」
「なんだよ…これ…」
アナウンサー達も何も言えず、ただただ喉から引き釣ったような音が漏れるだけ。
人々は混沌の渦に呑み込まれる
慌てて店に駆け込む人の群れ
急いで窓という窓を締める専業主婦達
泣きながら子供を心配する親
あわただしく駆け回る学校の教師
世界の終わりだと叫ぶ者
唖然と立ちすくむ者達
そして何故か車道を走る戦車
▽▼▽▼▽
「ほう?やはり人間そうすてたもんじゃないということかの?」
「へぇ、あの噂だけでこんなに迅速に動けるとは…」
「あらあら、これなら想定より被害を減らせるかもしれませんね?」
△▲△▲△
ニュースが流れ5分も経たずに動き出す自衛隊。
だがあわてふためく人々には映らない。
それだけ異常なのだ、日本全土を隙間なく覆い被す蟲の群れ。
そして映し出される蟲の大きさ、一体一体が人の腰位の大きさはある。
――バン!!
自衛隊が発砲した
人々の意識がようやくそこで自衛隊を認識する。
自衛隊が構え?
――え…?
そう自衛隊は皆の注意を集めるために発砲したのでは無いのだ。
じゃあ何を射ったのか…?
数人はすぐに自衛隊の銃身先を見た。
そこに居たのは醜悪の姿をした緑色の小人が絶命していた。
状況を人々が整理できる前に自衛隊の人が声をあげた
「皆様!落ち着いてください!!状況を呑み込めないでしょうが今は私達に着いてきてください!説明は避難が完了した後に!!!」
ざわめきが広がる
10時16分
――バン!
「【お願いします。】」
重く響く声が人々にのし掛かる。
疑問はあるが不思議と体が動く。
声を発した軍人が空を睨み付ける
「(猶予はそれほど無い……)…いくぞ!!」
「「「「ラジャー!!!」」」」
蟲達は動かない何かに怯えるように動かない
だがソレすら感じ取れない者達は溢れだす今ひっそりと
10時17分
――あと19分
――我々は目を逸らすべきじゃなかったのだ…だから




