最悪ナ選別
――きっとこの後悔は遅いのだろう。
2020年5月10日 10時36分
世界はこの日を忘れないだろう。
――大厄災
死傷者数えきれず。
行方不明者数えきれず。
■□■□■
「なぁ、聞いたか"あの噂"。」
「聞いた!聞いた!」
「はぁ?あんなホラ話信じてるの?」
「ちょ!親父ィ!あんな出鱈目信じてんのかよっ!恥ずかしいからやめろって!」
「…健太…お前もそう思うか?」
「な、なんだよ?出鱈目だろ?てか誰が信じれるんだよ?ダンジョンだぜ?現実はゲームじゃねぇて話だよ!」
「それが可笑しいとなぜ気づかない!!」
「は、はぁ?」
「聞けば出鱈目、あぁそう思うさ!だがおかしいだろ?何故そんな下らないデマが日本全体で回るんだ?よく考えろ健太、父さんはな、この噂がデマならそれで良いんだ…馬鹿だったなて笑い話で済ませでる…!だが…!こんな出鱈目ぽい、ゲームみたいだから?それで備えないでお前達を失うの方が俺は耐えれない!今の日本は何処かおかしい…揃って政治家達が動き回ってる…」
「親父……」
「健太…もし何もなかったら馬鹿な親父だと、笑ってくれ!大体防犯グッズや保存食なんて備えて、損なんて無いしな?」
「あぁ、ゴメン親父…そう、だよな…おかしいよな…」
「謝るな、健太、普通ならそれで合っている、だがこれは普通じゃないだろ…?」
数週間前に流れてきた噂…出所は不明。
だが何故か日本全体に広まる不自然な噂。
噂なんて知らない奴が居てもそれが正常。
ネットを見ない人。
新聞を見ない人。
テレビを見ない人。
知り合いが居ない人。
外に出ない人。
仕事漬けの人。
それら全ての人が知っている"噂"
聞いた覚えがないのに知っている。
そんな不自然が日本全ての人に起こっている。
それでも頑なに信じない人の方が多いのが現状だ
何故?そんなの、簡単だ。
ダンジョンが全国に出来る。
その中のモンスターが全国で一斉に溢れかえる。
そんな非現実を誰が信じるのか。
大多数はそう声を大にし言う。
今起こっている非現実から目を逸らし。
だがその中でも、"もしかしたら"を想定し備えるもの達がいる。
家族の為に、大切な人の為に。
だが周りの、普通の人から見たら、さぞ滑稽に映るだろう。
そして"異常"を取り囲み笑い者にしてきた、適応できない者達から死んでいった。
日本の人々が最初に目にした厄災は
──空を黒く染め上げる虫の軍勢だった。
――暴食蟲
――皆が…嗤わなければこうはならなかった。
流されたのは自分なのに。




