おふざけ性格のくせしてシリアスする理不尽様
団員を皆帰し、その後、白夜は訓練が終わったことを元治に報告していた。
「──そうだね、うん結構強くなったよみんな、うん、位を龍位まで上げてもいいと思うよ。うんそれと…可憐の事だけどね、俺も推薦状書くから……
──禁界領域者? だっけ…? あっ、ありがとう合ってた…よかった…うん、に可憐を候補として登録お願いできないかな…? …ありがとうお爺ちゃん!うん! 俺が付き添いするよ! ありがとうね! うんじゃあきるね?、、、」
「主人?主人?その…きん…かいりょう…いきしゃ…?てなぁに?」
主人だけ異様になめらかに、それいがいが少しつたない言葉で質問する常世。
言葉を覚え、それも修行をしながら、この短期間で覚え発音できるようになった常世に、白夜は感動を胸に抱え、質問に答える。
「んー…確かほら昨日可憐が使ってた術あるだろ?」
「うん!おぼえてるよ!きんきの術、きんじゅつだよね?」
胸を張り褒めて欲しげに頭を押し付けてくる常世を柔らかく撫で頷く白夜。
「そう! あの術ちゃんと発動できなきゃ危ない術だからさ? 使うに許可が必要なんだよ…ま監督が居れば使っても大丈夫なんだけどな? であの術をちゃんと一人でも扱えますよーの証明書みたいな物だな、それがあると普通は持ってちゃダメな武器も持てるようになるから、持ってると便利な……んー…称号…スキルかな?」
「それが…きんかい…りょういきしゃ?」
頷き微笑む白夜は良くできましたと常世の頭をなでる。
「そう! 家の嫁覚えるの早い……!」
「イエス。でもそう見てると親と娘では……」
「娘に手をだす親………」
常世の頭をなで微笑み半分でガチへこみする白夜
器用である、、、これが器用値上がり続けてる者のなせる技…!
「ノー。気にしすぎですね旦那様は…」
「わふぅぅぅ」
「こう、昔学んだ世間の倫理観? が記憶に根津いて……人の心を理解するには~てね…」
その学ぶだけのつもりの倫理観に縛られちゃ、世話ないけどね〜、タハハ……、と顔が微妙な感情により複雑な表情になる白夜。
そんな白夜の表情に含まれた意を読み解き、智核は頷き言う
「それで後から気付いたのですね…」
「「そう言えば家の幼馴染み達に普通て通じなかった……」と」
元と言えば家の部下の心を理解しようなんて思ってたけど、どちらかと言えば幼馴染み達を少しでも多く解ろうと、参考にならないものを習得してしまった白夜。
「…はい……私めこの前お爺ちゃん家で会ったとき真正面から会うのは久しぶりだけど…」
「常に家に気配が在ったから…久しぶりとあまり感じなかったわけですね…?」
フッと目が遠くなる半分の表情
「理由が…ね…、皆目検討もつかなくてね…それでね…一人暮らしだから…心配してくれてる…! ね、馬鹿なんじゃないかなぁぁぁ…」
頭を抱える白夜へ、無表情ながらに、ニッコリ、と擬音が付きそうな雰囲気で智核は屈み、言う。
「旦那様は適度に抜けてますよね? 奈月の件もしかり。」
「…はいごめんなさい…、と後で謝っとかないと…。」
謝罪の必要など無いだろう、と思いながらも、それが今、旦那様に思い付き、実行出来る、精一杯の誠意なのだろうと、人の情に疎い智核は余計な口は挟まず、その行動を後押ししようと決める。
「ふふふ、後日皆様も来るのですから…ね?」
「はい、頑張ろう!!」
苦手分野だけど!
──なでなでなでなでなで。
そんな自己反省と後の行動方針を固めてる間も撫で続けてた事をすっかり忘れ、撫でられ過ぎた常世が久しぶりのブラックスライム化を遂げている。
「常世はブラックスライムに進化? し「久しぶりだなっ!? このやりとり!? 戻るんだ常世ォ!!」」
「わふぅぅぅぅ」
一生懸命、常世の形を人へ直す二人であった
△▲△▲△
「そうだ…智核…」
少し憂鬱そうな顔になる白夜。
そんな白夜の表情を読み取りなにが聞きたいかを、全知たる智核は感じとる。
「これから向こう側から来るダンジョンてさ、、、此方にきてどう…どっち…かな?」
留まり猶予があるのかそれとも……
────溢れるか。
ダンジョンからモンスターが溢れる現象、
──【 暴走期 】
そう呼ばれる現象がある事を智核から予め聞いていた白夜は、”敢えて”今まで聞かなかった事を聞く決意をした。
「妹達の上の方は多分…いえほぼ様子見をします。
───でも下の妹は……溢れさせると思います。」
「最高どれくらいかな…?」
勘で分かるそれくらいの事…、だが自分の信頼してる者から聞きたかった。
「──雑魚含め最高個体数380億。最大存在300位です。」
世界の総人口を軽く上回る”数の暴虐”、それに加え、ステータスシステムと同時に現れるにしては”強過ぎる個”
「そ、、か…」
──何れ程の命が、消えるのだろうか。
想像もしたくない。
「旦那様……、仕方ない事ですそれでも旦那様はよくやってます…。」
安い慰めなんて、言ってる智核が一番、わかってる。
だが、智核は言う、告げる。
厳しい事だろうが、理屈じゃなかろうが、大切な人が、数億年掛けて巡り会えた大切が少しでも心を痛めないように。
───智核は、聞こえの良い言葉を口にする。
「少しでも”犠牲を減らそう”と、それでいて”人類が自分のせいで成長を止めない”ように、と…、ですが抗う術を教え、影ながら支えてます。(でも旦那様は心の何処かで自分を責めるのでしょう。 何れ程言い繕うと、壊れたフリをしようと、旦那様の根は”呪いかと見間違う程の善”、まともな環境で産まれていれば聖人と成ったであろう人。)」
──だがどうしようも無いじゃないか。
白夜が全部守ってどうにかすればいいのか?
だがそれでは、目に見えた危機を感じた時、何かの拍子で自分達がステータス持ちにしては弱いと知った時、
──きっと人々はいつか言うだろう、お前のせいで自分達は戦えなくなったと。
その”成長出来なかった理由を押し付けた”お陰で生き長らえた人々は声高々に言うのだろう──お前の責任だ、と。
じゃあ人々をコレクションの様に大事に大事に仕舞って、囲い、守ればいいのか? 白夜が? 一人で?
──きっと仕舞われた人々は言うだろ自由を返せと、自由と言う聞こえのいい”自己責任”を求めるのだろう。
戦う術を教える? そんな力があるなら白夜がどうにかしろ、なんで守ってくれなかった。
──そう無責任に叫ぶだろう。
無責任? ふざけるな旦那様に責任など無い。 力を持った一個人に、なんの関係も無い有象無象を護る義務も、責任も無いだろう、だって旦那様は金を貰った訳でも、国に所属する警護団体でもなんでもないのだから。
それを”やらない偽善よりやる偽善の精神”で護ろうとも、ダンジョンは目に見える脅威として最悪を増やすだろう、それを目の当たりにし、人々はどんな行動を移すか、──”半全能”たる智核には、見えてしまう。
だから智核達にとって人々が幾ら死ぬ事、心底──
──どうでもいい。
──白夜の心が無事であれば、傷つかなければ。
きっと此れからは汚い物、足を引っ張る者から死んでいくだろう、そう原初の女神から産まれた姉妹達は、人類が”嫌いが為に”そうすると決めているから。
ただ気がかりなのは、それでもこの何処か底抜けで優しい旦那様は、何処かで心を痛めるだろう。
なんの解決策にもならないが、これは嘘ではない。
確かに自分は誰が死のうと構わない、だけど白夜には嘘を絶対に付かない。
「大丈夫です。旦那様、母は一人でも犠牲を減らすように(お詫びも入っているのでしょうが)勇者の職業をばら撒くようです。」
「勇者の職業? あれって、ばら撒けるんだ…。」
勇者と名の着く職業の効果を”知っている”白夜は少し唖然とするように呟く。
「イエス。”○○”の勇者、と言う感じに。 ”善性が高い者”、”適正がある者”にばら撒くようです。
旦那様も知ってますよね、アレが”集団で”どれほど真価を発揮する職業か、を。
ですので大丈夫ですよ?(人類が協力すれば、と枕詞が付きますけど。)
それに式理家の皆様で”噂を撒く”のですよね? ならそれを聞いて対策すらできない者、不自然に広がる噂に備えられない者、死んだって自業自得ですよ。」
備えておけば”助かる手筈が整っている”のですから、十分でしょうと言葉に含ませる智核。
「し、辛辣ぅ……。 でもありがと、うじうじ悩んでるからキツめに言ってくれたんだろ? いつもありがとう」
そう無理にでも笑みを浮かべる白夜に、智核はムラムラッとクル。
結局の所、智核はこうゆう迷い、葛藤する白夜”も”愛してるのだ、──ガシッ。と智核は人外の膂力で白夜の両肩を掴み、グイッと赤みの掛かった顔で近付き言う。
「イエス。オッケイです襲われたいですね?今日この後予定無いですもんね、何故襲われたか明日までに考えといてください、そしたら何か開けるはずです、では、頂きます」
「まっ、シリアスくんを殺すの早いッ!!!」
「あ! 逆レ!」
「や、やっぱり智核教育に悪いよッ!!」
「今さら〜です。 諦めましょう。」
その後、人目も無いので抵抗する気の無かった白夜は魔王城に引きずられていった。
その後に合流した奈月に見られ第二回戦に突入したそうで。。。
5/6(土) 怒涛の誤字報告を機に、一応物語で重要となるこの話を、説明不足、描写不足が目立っていたので修正しました。
誤字報告を下さった何方か、誠にありがとうございます! 自分では気が付けない部分が多く大変助かりました! のですが、すみません。 誤字報告を下さった方の名前を確認せず”修正する”で修正してしまったので名前が分かりません……、ですので、この”あとがき”にて感謝を、ありがとうございます!
2023年5月5日~6日の間に誤字報告下さった方、この話まで見て下さっているか分からないのですが、ありがとうございます!




