分身の一仕事
なんとか阻止できた、あの周囲のなんとも言えない生温い視線を受けたが、阻止できたと言ったら阻止できた!!
そうおれは執事服に身を包み、うんうんと頷く、はぁ……
「……」
「どうしたのかしら?そーんな疲れた顔をして、可愛いだけよ?ホワイト。」
「サングラス掛けてマスクまでしてるのによく分かりますね、創楽様」
この分身術?の使い勝手の悪いところ…てか利点…?わ感情も感触もモロに来る所、、、だと思う……いや時と場合によりけりだな。
「まぁね、まぁまぁ分かりやすいもの。」
なに考えてるか分からないとよく言われる白夜さんの考えを分かりやすいと言えるのは、
多分それはキミ達だけだと思う。
「ふふ、また何かあったのね?
まぁ、それは後で聞きましょう、それで、獲物は?」
「北、2つ離れた山から、部隊Eの方角へ猛進中、接触まで12秒」
「へぇ、中級にしては早いじゃない。だってE班」
『ハッ』
メイド達が持っている無線機の一つから返事が返ってくる、のはいいんだけど、毎度の如くなぜメイド服なのキミ達?
いやニッコリじゃなくてね?
強制とかじゃないよね?大丈夫…?
「白夜様」
「ホワイトです。」
「白夜様、我らはこの職場でメイド服を着れることを誇りに思ってます。」
「ホワイトです。」
「ちなみに白夜様、この職場でメイド服着てる者の殆どが趣味です。」
「ホワイトです。」
「白夜様、主人を偽名で呼ぶのは不敬にあたります。それとぶっちゃけ無理があります。」
「ホ、ホワイトです。」
「諦めなさい、しろくん。」
こ、このメイド達苦手だ!!
『だってE班』
我らが総隊長の命に
「「「ハッ」」」
我らは答えるのみ。
「陣形を組め!」
敵は中級と称される”物の怪”
我らの敵ではないとは言えど、油断はならない
特に最近は
「対象確認出来ず!」
”遠目の術札”を目に当てた索敵係が声を張り、
周りに情報を練達する。
「白姫様が2つ離れた山からと言っていた!!ならば獲物は視認の出来ない速度で突っ込んで来ると思え!!」
暗がりからズズ、と人が現れる、
こやつらは周囲にトラップを張ることを任せた面子だ、間に合ったか!
「周囲にトラップ張り終えました!!」
「対空は!?」
「それ含めです!!」
ならばよし!!
「了解した!!即座に”気力回復薬”を服用し、迎撃班に!!」
「ハッ!!」
「皆、聞いたな!?絶対に範囲を出るなよ!!巻き込まれたくなければな!!」
「「「ハッ!!!!」」」
「来ましたッ!!!!!!!!北ァ!!!!!!」
報告のあった方角へ視線を移す、
2つ目の山から降りるように引かれた火の道
「”火車”かッ!!」
これなら我らが姫君達の手を煩わらせずに済みそうだ。
「姿、確認!!必ず仕留めろ!!掛かれェ!!!!!!!!!」
「「「「「ォォオオオオオオオッッ!!!!」」」」」
「おー、うちの部隊も強くなったかな~?」
「そうですね。創楽様、”半色付きの中級”は本来1級が20人部隊を組んであたる相手、それを10名で討滅、それも最近の龍脈の影響を受けた相手をです。十分強くなったかと。」
一人一人が特一級手前かな。
そう仲睦まじく会話を交わす二人から視線を少し逸らすメイド達、
───そこには妖怪とゆった風貌の死骸が山を成していた
メイド部隊、特一級の術者達は、
超越者と言っても過小評価だ、と言われる二人が正確な判断を下す様を見て、微笑む




