親の勤め
「ねぇねぇ~?にいちゃ相当強いだろ~?ちょっとヤろうぜぇ?」
ザ・ワルガキ、みたいな風貌の美形少年がおれにヤンキーみたいな口調で戦闘を求めてくる。
「やりません、それに俺は商人ですからね、戦闘は苦手なんですよ?」
てか、こら。そんな小さな体で狂戦士みたいな事言うんじゃありません。
バカに見えますよ。(失礼)
「う~ん?お兄ちゃんってホントにお兄ちゃん?実はおねa…!むぎゅ!?」
「お兄ちゃん、な?」
次は貴様らの頬を小一時間引っ張るからな。
「「う、ウスっ。」」
あれから食料を配り歩くこと一時間位、おれの回りにはちみっこ達が増えていた。
「お兄さん髪さらさら~!!」
「魔道の深淵、全ては超越の原理なり。」
「ボクの拳は大木をぶっ壊せるんだよ!?」
上から、サラちゃん、ミヨちゃん、キサラちゃんだ。
幼女、サラちゃんは、俺の肩に股がり、おれの髪を弄くり回し、
横を陣取り、俺のバックから本を漁り出した中学位の少女、ミヨちゃんは、また何処か聞き覚えのある発言をしながら本を読み歩き、
格闘家のような少女、キサラちゃんが、俺の前を歩きながらシャドウボクシングを見せ付けてくる。
他の子は無言でおにぎりを貪る子、
かもしかのように俺の後を歩きおにぎりを握りしめ付いてくる子が大勢
なんだこれ。……なんだこれ(二度目)
まぁ、いいや。
「髪は一応、トリートメント欠かさずやってるからねー。」
「とりーと?めんと、、?」
どうやらこの里には髪の手入れするものがないようだ、"人間の国と交易してたのに関わらず"
おかしな話だ、明華から聞いた情報では、テンプレよろしく"異世界勇者"なる者が居ると聞いたが、
偶然?ハッ
ああ、不愉快だ。
「髪をサラサラさせる液体だよ~。」
「そんなのあるの!?魔法薬、ってやつなの!?」
「ちょっと違うかな~?」
後で皆にあげるから使ってみんしゃい、そう言えば「わーい!」と喜ぶ声が後ろからも上からも聞こえる。
「……魔道の深淵、全ては超越の原理なり。」
わかった、わかったから。
寂しそうな雰囲気を漂わせない!
「……原理を統べる王は、栄光を。」
「…っ!!……魔道の深淵を覗く愚者」
「理を離れし者、それ即ち超越の怪物」
魔道の王越、六百七ページの一節だよな。
これ、そうとうマニアックな本だぞ、よく読んだなこの短期間で。
「【死の商人】、流石、我が友」
まって?……え?
今俺、ベイ・ダゼスって言われた?
えっと……確か、ベイが異世界の帝国語で商人、……んで、ダゼスが死の神ダゼネス・ブラを暗示する語源だよね……?縮めてダゼスは死……
俺今、死の商人って言われなかった!?
そして何故か赤の他人から友達にクラスUPしてない!?
それでいいのか…!?ミヨちゃん!?
そしてキサラちゃんはいつまで俺の前でシャドウボクシングをするのかな!?
キミさっきまで床に伏せってたよね!?
安静にしなさい!!!
「大丈夫!!お腹すいて抵抗力が無くなってただけだから!!ボク強いからね!!」
「戦闘力=病原抵抗力としないの、このっ…!脳筋めっ!」
「褒めても何も返せないよ!?」
───褒めてない……!!!
「この一刻で何があったと言うのだ、シロヤ様……!!」
取りあえずなんでもいいから。
「このちみっこどもの相手の増援求む、」
戻ってきたってことは、里のみんなとの話し合いはおわった、と見ていいんだろ?
まぁ、そっちの後ろの人達の顔色を見れば心の整理が付いてないのは、わかるが。
だからこそ
「皆様、子供達の前で、そのような形相だと心配させてしまいますよ?……子供はそうゆうのに敏感、ですからね。」
心配そうにグローリーさんの後ろに付き従う大人達を見るちみっこどもの頭を少し乱暴に魔力の手で撫でる
すまんな、おれには人の心が分からない。
だからこうやって責任や義務で考える隙間を与えない励まし方しか出来ない。
変わらず、無力な事で。




