閑話 夢みるあの頃 創楽と白夜 2
「おい、おまえ。」
黄金の髪をもつ僕が、天使の羽のような白髪をみつあみにする、女の子と言っても過言ではない容姿の白くんに、睨み付け乱暴に言葉を投げ掛ける
口悪いなぁ……。
そんな昔の僕に、視線も向けず、気の操作の修練を積みながら、白くんはめんどくさそうに返事を返す
「なに…?」
「…ふん、まぁいいや、おまえ…いやキミを今日から僕の部下にしてあげる。」
「……なぜ自分よりも弱いヤツの部下にならなければならない…?」
「よし、喧嘩だな!?」
そうだった、この時の僕は友達になろうすら言えず照れ隠しでこんなことを言ってしまったんだ。
……だってしょうがないじゃないか…僕と同じ化物と思える子にあって、一緒に居ても良いと思える子は始めてだったんだ。
親、親戚、兄ですら眼中になかった僕に出来た始めての、友達になりたい子だったんだ。
結局この後何時ものように、喧嘩をして僕がずたボロにされた。
「おまえ…容赦なさ過ぎだよ……一応僕、女の子だよ……?」
「……残念ながら、女の子とは思ってない。」
「……今日一番のダメージを負った気がする……。」
そうこの頃の僕は、エンカウントすれば喧嘩吹っ掛けてくる厄介なヤンキーと同列に見られて、白くんに女性として認識されていなかった……。
この後かな、僕が身だしなみに気を付けるようになったのは…。
あ、でもまって!初日から一週間くらいの服装チェンジは見たくない!!あーー!!!
「ふっふっふっ。」
「どうしたの不審者」
「僕の名前は創楽だ!!ふっ、それよりキミが僕を女性扱いしない理由を少し考えたんだよ。」
「そして全身マント……?流石天災、なにを考えてるのかまったく分からない。」
「ちがーう!!これを見よっ!!」
やめよう、やめてくれ白くん、そんなどうしようも無いものを見る目で昔の僕を見ないでくれ。
「……紐、女性の下着ってそうゆうのだっけ。」
「ふっ、このセクシーな下着はどうていのキミには過ぎたものだったかな?」
「どうてい……? …うんまぁなんでもいいや、じゃあこの後刀の修練あるから。」
「その反応はあんまりじゃないか!?」
うっ、うぅ~、やめてほしいのだ。
これ以上僕の黒歴史を掘り返さないでほしいのだっ
「今度はなに、てか、その治療用具の使い方間違ってない…?」
「胸絆創膏だよ!!」
もう幼女のセクハラ行為だよ!!!
……この後も僕の執念すら感じる執着行為は続いていく……。
「さぁ!勝負だよ!!」
「…なんの。」
「うーん、そうだ、キミ最近刀にハマっているのだろう?なら相手をしてあげようじゃないか、この天災の僕がね!!」
この傲りも即粉砕されたけどね……家に伝わる宝刀ごと…。
「キミの居合い少しおかしくないかなっ!?」
「…? 振るうなら確実に斬るべきでしょ。」
「いや、そうじゃなくてね!?速すぎる!納める姿すら認識できない!終いには不壊の理を付与されている刀を両断する始末!!もうこの天災手に負えないね!!」
うわーー!!理不尽だぁ!!と泣きわめき、抱き締められ無言で優しく撫でられる。
もうこの頃になると、喧嘩が理由じゃなくてこのナデナデが、喧嘩を吹っ掛ける理由になってたなぁ。
その姿に嫉妬した元治のクソジジイに暫く、会わせてもらえなかったけど。
昔はあのクソジジイ、白くんに近付く女は全員虫とか言ってたからな。
まぁ白くんは呼べば来てくれたけど。
「……ぐず…あのボケジジイ、死ね本当死ね。
……つまらない…会いたい……」
「なに、呼んだ。」
「……っ!?……!…?……ッッ!?!?!?!?」
困惑したね、一度も家を教えてないのに、いつの間にか窓に座ってるんだもん。
「ど、どうやって入った!?てかどうやって僕の家を知ったの!?…はっ!これが俗に言うストーカー……!!?」
「帰るね。」
「ごめんまって!謝る!謝るから!!なんなら全裸?土下座してあげる!!」
「凄くイラナイ。」
「んだとこのやろう!?」
……もしかして、昔の僕って、マセガキ……?
確かこの時も密かに興奮してた気がする…。
その後も結構一緒にいたな。
なんなら泊まり込みで一緒に気術の研究とか、秘薬の研究、解明、二人でなんでもやってたな。
その過程で現れる白くんの無自覚サイコパス。
「ちょっ、白くん!!キミはなに自分の腕の皮膚を剥いでるの!? しゅ、止血ぅ!!!」
「…? 内部に術式を編むならこの方が効率がいい。」
「でも痛いだろぅ!?」
「痛いけど…?なに?」
本当にあれはトラウマになる……。
だって気の許した相手がいきなり自分の皮膚を剥ぐんだよ…?
あの時思ったね、コイツぜってーやベーヤツだって。
皮膚を剥いだ、剥き出しの腕の内部に術式を書き出すし、本当、白くんは昔から力を付けることに妥協しなかったなぁ……。
「今度は体術の修練だ、って言うから気になって見に来てみれば、これはなに!?なんで白くん死にかけてるの!?」
「……」
「なんとか言えよ!!なんでキミは何時も何時もこう!自分の体を省みない!?」
「………なんとか。」
「ブッ殺すよ!?」
あの時はイラついたなぁ、なにがって、なにもしてあげれない僕に。
白くんは気術の操作の才能があっても。
気術の属性に適性が無かった。
だからそれを手に入れる為に激痛くらいなら受け入れ、適性を手に入れた
たとえ、それが常人でなくとも即廃人になるような痛みだろうとも。
白くんは刀術の才能があっても。
体術の才能が無かった。
だから白くんは、習得、強くなれないなら死ぬ環境で身を置いた。
僕は見てるだけ、どうしてそんな力を求めるのか、それすら知らずに僕は怒るだけ、ガキのように。
「どうしてそんな辛そうな表情をする…?」
「……うるさい、だまれ、殺すよ。」
「………ごめん。」
「何に謝ってるのさ。」
「なんにも、分からなくて、ごめん。」
「…うるさい。……うるさい。」
「……泣かないで。」




