三回目くらいの全焼事件(人は無事でした)
さてさて、数十秒の安全が確保できたし、どーすかなー、これ出来れば人の手で頑張って欲しいんだけど。
いや、おれが殺ってもいいけど、この先こんなのわんさかと当たるハメになるんだから殺れる人材を育てたいのよね……。
手伝いはするけど、いやでもなー。
二人に魂に干渉するスキル無いしなぁ
「さぁて、どうしましょ。」
俺がそう呟くと横にいる紫苑さんが、高濃度の死の魔力で編まれた黒い糸を滴しながら首を傾げる。
「私がやりましょうか?効くとはおもいますよ。」
あー、今回は紫苑さんにまか──
──ん?なんだ……転移門の魔力…? ジェシカさん?
『ジェシカの盟友が持ってる、それじゃダメ…?』
しゅ…主語を抜く人だなぁ……でも何となく分かる自分がイヤには…ならんな特に……
えーと、魂に干渉できるスキルをアリアナさんが持ってるよってことでいいですよね?
『会話が楽…、そう。』
「ならお願いします。……タイミングは見えている、ですよね?」
『…楽すぎて少し怖い。』
そう言い残し、”転移門”が閉じられる…。
んー悩み事解決。
「解決したようですね。」
「はい、ありがとう紫苑さん。」
構いませんよ、と微かに微笑む紫苑さん、……
そのー私達体を重ねたのですがもう恋人認定してよろしいのでしょうか……と言う疑問が頭をよぎるけど、これは問題が解決しだいでゆっくり話そう。
一回体を重ねたくらいで彼氏面とか言われたらどうしよう……。
「グラマス…」
「ぅん?、ってグラマスではないハクヤさんですよ?どうかなさいました闘戦さん。」
「あの……首と腕のない毛むくじゃらの胴体が突進してくんだけど、こえぇよ。」
ん…?うわぁ本当じゃん。
あ、紫苑さんの糸に引っかけられて転んでる。
てか転んだ勢いで跳ねながらこっちに来てる……。
「あのお毛毛、お臭そうですわね……《氷壁》」
あ、山より大きい氷の壁に、べっしゃり、とぶつかった。
グロいなぁ……。
てかコイツもしかして、腕とかしか【水化】をまともにつかえねぇんじゃね?
「ええ、私もその意見が正しいと思います。」
「あ?なんの話だ…?」
「グラマスは考えたのですわ、あの偽満月、実は腕とかしか【水化】まともにつかえねぇんじゃね?と。」
「わー、俺の思考筒抜けだぁ……」
「ア?…そういや胴体は水蒸気にするか、実体にするしかやってこねぇな…。」
てかさっきからグラマス連呼やめておくれ、ジェシカさんの盗聴にノイズを入れんの面倒だから…。
「あ、上。」
「ああ、ついに気が付きましたか。 あの猿、実は実体化させてあの巨体とレベルで暴れまわった方が強いと。」
「バカじゃねぇの?」
「今さらですの…?」
いや…、どうなんだろ
あのモンスターからは、愉悦の感情、怒りの感情、微かな知性を感じる。
それに狙ってくる箇所から考えて、俺達の手足を捥いでから遊び殺したかったんじゃないかな?
それがただ自分がいいようにやられてキレてるように感じる。
まぁこの考察なんかどうでもいいんだけど。
取りあえず落下してきてるこの巨体どうふっ飛ばすか。
お、紫苑さんがやるみたい。
巨大な手状に編まれる無数の糸、それが巨人を思わすモンスターの巨体を握り潰した。
「吸水性の糸です、では白夜くん、あとはお願いします。」
おお、お見事、これなら出れんなぁ
よしなら。魔力を軽く暴走させて、最高率で魔力を魔法へと変化させる、よし火の魔法-Lv8
「はーい、《天炎の怒号》」
はいなんの捻りもない、異世界の魔法そのままです。
でも威力はお墨付きよ?
現に今も結界貼らなきゃ生存できる領域が無いくらいの炎が30階層の大地を覆ってるもん。
………今の俺程度の魔力でも最高率で魔力を使えばこんな威力になってしまうのですね……。
「グラマス……やりすぎだ…。」
「やっぱりグラマスですわね……。」
「この一撃で前の三体のモンスター、一掃できましたね。」
「本当にすいません…。」
ジェシカさん達の方からも無言の抵議が……本当にごめんなさい……。(三回目くらい)
皆さんに結界張っといてよかった……。
今度から効率落として使おう…




