月に成り代わる者
白夜、紫苑、静一、紅の4人は、湖の全体が見える、瓦礫の上に腰を下ろしていた。
「お、童鬼さんのアッパーが鮫の腹をぶち抜いた。」
「あそこは斧での一撃がよかったんじゃねぇか?斧なら今の入り具合からしてワンチャン殺れてただろ」
「おバカ、そんなことをしたら他のメンバーの方々があの魚類の一撃をもろに貰い何人か死んでましてよ?今のは距離を取らせることも視野にいれればアレが正解ですわ。」
「ああ~成る程、アイツらのレベルじゃあ今の攻撃はキツいか。」
「手伝ってあげますか、白夜くん?」
「そんな事したら童鬼さんが怒っちゃうから、パスです、危なくなったらにしましょう。」
もっとも、その理由は次のモンスターに備えるためとかではない、と言うより、眼中に今はない。
今ある興味は大鮫と、童鬼達、破壊者の祭りの勝敗だけだ。
そんな時、ふと紅が白夜に話を振る
「そういやですけど、グラマス。」
「グラマス?あははっ、紅さん僕はグラマスなんて大層な存在ではありませんよ。」
「まったく、隠す気があるのかねぇのか、まぁ、そうゆうことにしとくか、で、なんだけんさ?さすがに実力、もうちょい隠した方がよかねぇか?」
お忍びだろ?っと紅が言う
「わはははっ、なんの話か分かりませんが、まぁこれでも初期からやり直してこれなので、これ以上縛る気はないですかね~、って、あはは冗談ですよ?」
「はいはい、そうゆことそうゆうこと。
──で?実際のところどうなん?紫苑…さん?」
「あ、ズルい!」
「白夜くんは可愛いですよ?」
「…偽名はハクヤじゃなかったか?グラマス……」
「ぼくはタコだよ~」
「誤魔化し方雑かこの女誑しっ!いて!?なにしやがる氷結女!?」
「そんなわたくしのことをスーパーに売ってる缶酎ハイみたいな名前で呼ばないでくださいまし、お殺しになりますわよ。」
「テメェ”お”を付ければなんでもお嬢様口調で済ませれるとおもってんじゃねぇよっ!?」
「お草が生えますわ~」
「白夜くん、最近の流行りはおハーブのようですよ」
「あれ凄いよなぁ登録者数100万早かったもんね」
「もう別の話題で盛り上がってやがる!?」
うがー!!と吠える紅の叫び声が──
───ナニカの雄叫びに掻き消された
───■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッッ!!!!!!
湖が揺れる、水が荒れ狂い、湖の外周の大地がひび割れる、そして
ギチギチとナニカの腕が湖から出てきた。
「あ、おいでなすった」
「毛むくじゃらですね。」
「あら、水属性って話では無かったですの?」
「揃いも揃ってガン無視か!?泣くぞ!?泣きわめくぞ!?」
わっはっはー、と無表情で笑う白夜
だが瞳はその這い出た腕を見つめていた。
「お、消えた。」
「確かにあるのに、気配、魔力が感じられませんね。」
「今や居るのを証明できるのは、あの湖の外周大地がいまだに砕けているのでしか証明不可能ですわね。」
「俺は消えてねぇのに放置されてるがなっ!これぞ放置少女ってか!?」
くるん、と3人の顔が紅を見つめる
「「「少女……?」」」
「ブッ殺★」
湖から浮き上がるように、出てくる月のような球体、それは鈍く光り、空へ上がってしまえば月としか見えないだろうことが簡単に想像がついた。
月に成り代わる者は湖からそっと体を起こし……
次の瞬間、拳型の魔力にぶん殴られた
初擊は理不尽な、怒りの鉄拳(狙ったのは別のヤツラ)




