正式名称が長くタコとしか表記されなく……
中に浮き泳ぐ巨大な鮫が、自分に張り付く破壊者の祭りの皆さんを鬱陶しげに、振り払おうとその巨体を揺らす
だが、魔力で鮫との皮膚と自分達の足を引っ付くように固定でもしているかのように誰一人として落ちない、てか、かのように、って言うよりそう固定してんだろうな
付与魔法、《適地》の応用かな…?
あれは本来人が立てもしない大地に立てるようにするための付与術だけど、それの性質を利用して、あの鮫の肌を大地として見立て、適応するようにしたのか。
そんでべしべきざんざん、やってる姿見るとあれ、あれを思い出す、あの敵に投げつけて引っ付く攻撃するやつ。
「なんかピク○ンみたいだな~」
ブフォ、て何か吹き出した音が複数、背後から聞こえた。
お、やっと落ちた、って、あんだけベシベシ食らってたらそら魔力も維持できなくなって落ちるか。
落ちた鮫を畳み掛けようと、童鬼さん達が空中で付与術を解除、そこから落ちる力を利用しての一撃を放つ気だな全員。
でもあー、やっぱり
鮫が地面に激突する前に、”地面”を水に変えやがった。
そんでやっぱ地面と水じゃあ力の入り方も違い、浅い傷を付けるので精一杯っと。
あっちはまだまだかかりそうだな~。
んー、気配探知したけど、今回のボスがこの階層にくるまであと2時くらいか、
今回の元凶が31層にいるモンスターを食べ始めた。
んで、満身創痍のモンスターが一体こちらに向かってきてる、んぅ…このレベルだと……PALETTEの皆さんで行けるか。
静一さんか、紅さんを付けようかと思ったけど、相手が予想以上に弱ってる。
この弱り具合だと逆にPALETTEの皆さんの邪魔になるな、二人の攻撃は。
ん、てかタコのほうがもう終りそう……
「ふむ、まぁこれは余達が強すぎたな。」
そう言うガブリエラの前には、無数の傷を作り暴れまわる紫色の巨体をもつタコ。
そのタコの触手が”また”一本消し飛ぶ
「弱ってる、だから余計に。」
そうジェシカは言うと、指を縦に振る
次の瞬間、見えないナニかがタコの巨体に大きな切り傷を付ける。
たったそれだけの動作で傷が出来た、だが。
この場合の異常はタコの方だろう、満身創痍、魔力も底を尽きかけている、その状態で本気でもないとは言えど、”次元を断絶”する一撃をくらいながらも
”切り傷”ですませるタコはまさしく伝説に記されるモンスターなのだろう。
その切り傷を見ながらジェシカは感心するように眉を少し動かし自分の推測を口にする。
「なるほど、触手は欠損しても魔力で再生できる。だけど胴体?はそうもいかない、それを理解する知性。」
一人納得するように頷くジェシカ
そして怒り狂い触手を振り回し暴れるタコ。
そのタコがドムッと衝撃を押し込めたような音共に、くの字に中に一瞬浮き上がる。
それを成したのは拳を振り上げた体勢のアリアナだ。
「うぇ~!なんかヌメェってするぅ!!」
「盟友、ちゃんと魔力で拳を覆わないと。」
「フハハハッ、ドジったなアリアナ、…どれアリアナそこをどけ、墜ちるぞ?」
うぇ?とアリアナが空を見上げれば打ち上げたタコが中に止まる姿
ガブリエラが中に浮いたタコを重力魔法で固定した姿だ。
そしてその上に見える景色の歪み、それは槍の形をなしていた。
それを確認したアリアナは、ひや~!と慌てジェシカの側へ避難する、そしてそれを見計らいガブリエラはタコの重力を元に戻すと、そのまま重力の槍を放った。
放たれた重力の槍はタコの頭を貫き、轟音と共にダンジョンの大地を貫いた
だがまだ息のあるタコ、
最期のあがきとばかりに、触手を振り回し暴れる。
それを見下ろしガブリエラは手をくいっと天に向け
「ふむ、生命力は豊富と見える、ではあと13だ。」
そう薄く笑いそう告げると天へと向けていた手をスっ、と下げた
そしてダンジョン30層に響き渡る十三の轟音
残ったのは頭部に14の穴を開けピクリとも動かない死骸と、その穴をなぞるように穴の空いた大地だった。




