補食カウントダウン 18
階層を降り、真っ先に目が惹かれたのは、
宙に浮く五つの大地、そこから流れる幻想的な大滝
そして、
───それらを台無しにするような、真っ赤な無数の死骸だった。
「うへぇ、こりゃ踏み殺されたのか?」
「ふ、魔に属する者共とも言えど所詮は獣、こんなもんだろうよ。」
そう盟主さんは、キメ顔で言ったけど……童鬼さんにはいまいち理解が出来なかったらしい…。
大丈夫、盟主さん、俺は何を言ってるのか分かるよ、こう言う言い回しする嫁さんが居るからね
「なに言ってんだ…? この嬢ちゃんは…?」
「わー!ぐろーい!」
「ここで目を輝かせる盟友のそうゆう所、 ジェシカちょっと分からない…。」
こっちは驚く程呑気!
いや、全員結構呑気だな。
真面目に観察してるのは紫苑さんと、愛華さんの二人くらいだな。
「………」白夜)
「………」岡村)
「………」ガブリエラ)
岡村さん!あなたの敵はそこら辺にいっぱい居るモンスターよ!だからおれに向けて戦意を滾らせないで!? まったくこれだから剣術家とゆう人達はまったく(なんだかんだ乗り気)
あと盟主さんは、そんな落ち込まんで…?
「飴食べます…?」
飴さん上げるんで
「男の娘、汝、余をガキ扱いしてないか? いや飴は貰うが。」
シテナイヨ。
「まったく、皆様もう少し真面目に調査してください。」
「「「はーい。」」」
紫苑さんに怒られちゃった。
んー、て、言っても。
この階層の様子じゃあ予想が当たってる。
て事しか分からんくない?
大きな青い身体をもつ蛇のような、死骸を魔眼で見つめるジェシカさん、それを後から見ていた盟主さんがジェシカさんに情報が取れたか尋ねる。
「どうだ?ジェシカ、どの段位の魔獣か当たりは付けれたか」
「うん…盟主、レベル11、種族名は劣海竜、この強さなら……56から58。」
その会話を聞いていた辺りを警戒する岡村さんが背を向けながらも会話に入ってくる。
珍しい……
「……死因は、身体欠損、ナニかに喰われた、と思う。」
「ああ、命からがら逃げた、そう感じる事のできる死に様、こりゃぁ坊主と姉御の推測が当たり、ぽいな。」
その岡村さんの結論に、童鬼さんが返答する。
ん、ダンジョンの"モンスター"が逃げる……ね。
「どう?山田。」
辺りを探ってきた山田さんに愛華さんが、どうだったか、を聞く。
「姉御…、ああ、他の場所にもコレに似た死骸が幾つかあったぜ、全部止めを刺された、って感じはしなかったな。 そこんところも同じく。って感じだ」
「ありがとう、悪いわね危険な事を頼んで。」
「え?おっぱb──さぶへぇ!?」
っぱい、を言わせず神速が如く、山田さんの懐に、そして愛華さんの見事な捻りの入ったアッパー!
おー、ぶっ飛んだ。
「昨日のモンスターの推定階層が42から44、どう見ますか、ハクヤくん。」
「うーん、多分明日はもっと下の階層から少数だけど、逃げて来るんじゃないかな?」
俺がそう言うと、みんなが真剣に考え込む。
ふふふ、いいねぇ、こんな子供が言ったことだ。と侮らない所が特に。
「でも、多分全部来たとしても死にかけ、かな?」
取り敢えず、無難とも取れる楽観的な意見を言う。
「それでも他の奴らには、脅威には変わらないだろう…? 男の娘よ?」
「ですね。」
そう盟主さんと話していると、真剣な顔の童鬼さんが
「坊主、楽観的な意見はいい、誤魔化さないでお前が考える、──最悪を言ってくれ。」
ま、誤魔化せんよね、まぁ聞いてくれてよかった。
あんま自分から喋り過ぎると…ね。
ガバが怖い(本音)
「では、まず、このモンスターに致命傷を与えたのは、今回の元凶では──”ない”、と俺は考えます。」
この時点でパーティーのリーダーを担ってる三人が、その可能性を思考し、顔をしかめた。
「だ、よなぁ」
「その可能性も”ある”ではなく、そう、だと考えといた方がいいだろうな。」
「あ~キッツいなぁ!」
「あのモンスターの身体に出来てる傷は、全てあのモンスター達が共通で覚える魔法です。
そうですよね?ジェシカさん。」
「うん。」
「ならあのモンスター達はナニかに怯え逃げ、錯乱状態の同士討ちの状態でこの階層にたどり着いた。そう考えるのですね?ハクヤくん。」
「はい。」
「傷の具合、魔力の残滓、うん、多分その推測で当たってる、その思考をジェシカは後押しする。」
そこで、山田さんが手を上げる
「意見いいすか?」
あ、他の人にはそんな喋りかたなんだ……大概気絶してるか気絶してるから知らんかった……。
「はい、皆様も遠慮せず。」
「なら、洗脳、または精神や本能を乱す魔法を使うモンスターの仕業、だとも考えられないすか?……まぁ可能性は限りなく少ないとは思うスッけど。」
「その可能性はジェシカも考えた。けど、この場合は”残念だけど”と言葉を使う。」
「スッか……。すんません続きをお願いします。」
「はい、では単刀直入に。最悪、存在するだけで40階層から60階層のモンスターすら逃げ出してしまう程のナニかが、この30階層に向かってます。
そしてその場合高確率で、残虐なモンスターです、でなければ」
「逃げる、なんて選択肢がでるわけがないスッね、それだけの殺意を振り撒いているモンスター。って訳スッか……。」
「はい。そしてそれと戦闘になったモンスターがそれこそ”逃げて”来ます。」
「40から60階層のモンスターをモノともしねぇ、化物とやりあえる、または戦う。って選択肢があるモンスターが、か。」
「はい、これは有名な話ですけど、ダンジョンのモンスターはごく稀に負けそう、または死にそうになれば逃げます。」
「モンスターが通れる道があれば、て話よね?ああ、お誂え向きの通り水があるわね…、」
「はい。──ですので、最終日、俺達は高確率でそれらのモンスターを同時に相手をしなければいけません。」




