閑話 交流
「うめぇ……」
「ああ、旨いな。」
「おいしい……」
「………」
騒がしくなって、当然なバーベキュー場が、静かになる…。
それは何故か、単に肉に施されていた味付けのせい、と言えるだろう。
それは旨すぎた、旨すぎて馬になるレベルだった(?)…。
その後、みな一言も喋ることなく口に肉を頬張る事に専念した、情報共有や親睦を放置して。
それほど、旨かったのだ。
完食までの時間、僅か8分
それも一人、四人前用意されていたに関わらずだ。
「終わっちまった……。」
「熊公……貴様が食い過ぎたせいだぞ…。」
「いや、元気な嬢ちゃんも相当食ってたろ…。」
そんな責任の押し付け会いが始まった。
まさかの知らぬところで、3パーティー全員の胃袋を鷲掴みにした白夜であった……。
「ふぅ、なんか、酒とか…もういいな。寝るか。」
童鬼がそう言い出す、酒豪で有名な童鬼が、だ。
それほどの満足感だったのだろう。
「いやいや!気持ちは分かりますけど!流石に皆得意な事を共有しときましょうよ!?」
「力つよい、片手斧二本、基本的中階層以上のモンスターは5~6体纏めて斬れる。よし。」
「よしッ!?」
待ったをかけられ、めんどくさそうに手短にそう言う童鬼に、唯一の常識枠のせいで振り回される愛華。
それに続くようにガブリエラが口を開く。
「余は魔法が得意だな、近接はからっきしダメだ期待するな。あと余は封印されし力がある、よし。」
「あ、はい、ってまたよしィ!?」
ガブリエラ(偽名)がそう締め括る、次に口を開いたのは未だ旨味の放心から抜けきらないアリアナ(偽名)だ、
「私は近接得意だよー、あと獄焰魔法が得意かなー、あと私にも封印されし力があるよ、よし。」
「その最後によし。って付ければいいと思ってません!?」
「「「おもってないよー(ない(ぜ))。」」」
「絶対嘘だァ!!」
次に口を開いたのは、無表情なのにどこか名残惜しそうに、皿を見つめるジェシカ(偽名)だ。
「次元を操る事が出来る、それの応用で転移とか位置の調整が得意、あと封印されし力がある。よし。」
「皆さん何故か最後にオマケみたいに封印されし力がある。って付けますけど詳しい説明はないのですか!?」
「「「解き放たれし時、暴走した終焉が世界を呑み込む。」」」
「…それほど強力だと、考えときますね……。」
「うむ」「それでいいよー」「うん」
えー、ごほん、と何処か吹っ切れたような笑みを浮かべながら愛華は口を開く。
「魔法と剣術の合わせ技を得意とし、状況に柔軟に対応が可能です。属性は火や水、雷、氷と言ったものが一通り得意です、ヨシッ」
その場で、片足を上げ地面に向かい指を指すポーズで固まった愛華を、遠目で眺め山田は言う。
「姉御が現場猫になっちまった……。」
「あの濃いメンツに囲まれればそうなる、俺もそうなる。」
「な、なんだか悪いことしちゃったかな……。」
「男が三人揃って情けない事いってないで、早く愛華ちゃんを救助してきなさいな~~。」
「「「ウッス…」」」




