補食カウントダウン 4
「ガハハハハッ、では俺も自己紹介といこうか! 破滅の祭りのリーダーをやっている!童鬼、と気軽に呼んでくれ!」
「他の方達は…?」
「うちは数は多いからナァ!外で待たせてる!別に構わんよな?」
「ええ、ですが構成人数だけでもよろしくお願いします。」
「そーだった!そーだった!すまんなっ!うちは俺を入れて12人のパーティだ!少し口が悪りぃが、悪い奴らじゃねぇからよ!」
「了解いたしました。」
やっぱこうゆう場合は、ギルド職員のおねーさんが代表みたいな感じでやるのね。
他の人も各々で挨拶をしている。
俺はもう一通り終わったからなぁ…後は一組。
そして後一組はもう、来てる。
来てるって言うか、来る、の方が正しいか。
白夜はチラリとテーブルを挟んだ向こう側に、視線を向ける、その白夜の変化、それに直ぐに感づいたのは、見られた者達と、白夜だけに気を配ってた紫苑。
そしてそれに少し遅れて童鬼が。
空間が捻れ、待合室に黒い穴が開く。
さながらソレは門
その中から優雅な歩みで歩を進める一人の少女。
「フハハハ、よもや余らを観測出来るものが居ようとは、これだから人と言う生物は面白い。」
黒い軍服を纏い、片目を眼帯を巻く少女が、突如として、待合室に現れた。
その右後ろには、紅蓮のように鮮やかな赤をツインテールにし、露出の多い服に、動きやすさを重視した短パン、そしてニーソ、不自然だが、なぜか不自然には見えないマントを羽織る少女。
そして左後ろには、翠髪を後ろで三つ編みに、そして目には両目を塞ぐように黒い布、黒いシスター服を纏っている少女。
そしてそれらにチラリと視線を向け紫苑は、言う。
「あ、揃いましたね。アレが残りのパーティ伏魔殿の皆さんです。」
「ウオィ!?そこは余がかっこよく名乗りを上げる場面だろぉ!?鬼か!鬼ババなのかグミィ!?」
あ、リーダーぽい子におねーさんの指弾が炸裂した……一応あのおっ3にやってた攻撃は手加減してたのね……。
してなかったら今の威力、おっ3達じゃ死んでたね。
「め、盟主ぅ!?」
慌てる赤い髪の子、大丈夫…?揺らし方が早すぎて盟主さん泡吹いてるけど…!?
「口は災いの元……盟主は何時も一言多い……。」
こっちはこっちで冷静すぎやしない……?
「坊主…あの嬢ちゃんスゲェ怖ええのな。」
あの童鬼さん耳元でぼそぼそやめてください、おっさんにやられると少し背筋が……
「当たり前じゃないですか、あの人の二つ名知ってます…?殺戮者ですよ?」
愛華さんも、耳元は本当にやめてください。
それに……。
お二人方、俺を巻き込んで話さないで下さいます……?
おねーさん、めっちゃこっち見てますから。
ちなみに、破壊者の祭りの皆さんはパーティ名に似合わず優しく気のいい人ばかりでした。
んじゃ、後は作戦立てて、指揮官を決めてダンジョンにレッツゴー、って時に
「どーして、おれは今摘ままれてるのでしょう……?童鬼さん…?」
「なーに、いざ実戦って、なっても本当に実力がAランクあるのか?なんてなったら面倒だろ?」
そう笑い、童鬼さんは「なら手っ取り早く模擬戦だ」っと笑う
だけど童鬼さん……
「その体で話を進めたいなら、その凄絶な笑みは隠した方がいいですよ…?」
「ニヒィ、バレちまったか?」
「ふっ、よく言う、隠す気など毛頭ないだろうに。」
「あ、意識戻ったのですね、盟主さん。」
「お、嬢ちゃん起きたのか。」
「ふっ、少し我が力の封印に手を掛けさせられただけのことよ、ま、我に掛かれば……って聞けよっ!?」
「嬢ちゃんの話はナゲェんだよ。な?坊主」
「……聞いてはいましたよ?」
「それは聞いていただけとゆうオチじゃないか!?」
うおっ!?いきなり男の娘を投げよった!?しかも片手で!!やはり熊か!?
って!?熊が斧を片手に……!!
「ちょっなにする気──」
合図も無しに斬りかかる!?正気か!?
「盟主っ!指示!!」
「ダメね間に合わない。」
熊が投げた男の娘に、走り追い付きそのまま、斧を叩きつけた。
そやつ死ぬぞっ!?馬鹿なのか!?獣だから知性もないのか!?
空気が破裂する……
模擬戦闘を想定され作られた部屋に、鳴り響く轟音
「貴様っ!?なに……を」
笑ってる……?気でも狂っているのか!?
「ガハハハハハハハ!!」
何が可笑しい!?
「防ぐ、避ける、ずらす、幾つか予想はしてたが、斬ったのか!!あの不安定な体制から!?スゲェナァ!ガハハハハ!!」
空気の破裂で飛び散った地面のカスを払うように、刀を振り、無傷で姿を表す白夜。
──無傷だと!?
「いや、だからっていきなり斧叩きつけて来ます…?」
男の娘の言葉を確認するため、余が、熊の振り抜いた手元を見れば、確かに振り抜くまであった筈の刃の部分が、見惚れてしまいそうになるような断面で、確かに斬れていた。
まさかあの一瞬で斬ったと言うのか……?
あの速度の一撃を躱して…?
「違うぞ嬢ちゃん」
「て!先程から嬢ちゃん嬢ちゃんと!馴れ馴れしいわボケェ!! んで、何がちがうのだ!!」
「いきなり豹変すんなよ、こぇえな。
あの坊主は躱してじゃない。俺の一撃と真っ向からぶつかり、斬ったんだよ。」
「は……? 見えたか、アナ…?」
「辛うじて…?かな?おじさんが振り抜いたのは見えたけど…、あの子が抜いたのは見えなかった。」
近接戦闘を得意とするお主でも見えなかった…だと?
「はっ、なるほど、だからランク詐欺な、納得したぜ。しかもスキル、魔力すら使ってないときた、これじゃあAランクでも詐欺だなっ!ガハハハハ!!」
ランク詐欺……?
「黒髪、見惚れそうになる美貌、だが男だ。なるほど──”黒い閃光”だよ盟主、いま巷で噂の。」
黒い閃光だと!?
「ねぇ、おねーさん、おれいつの間にそんな名称付けられてたの…?」
「広めたのはあの三馬鹿です。
そして熊こう貴様はまず正座だ。」
「あ、いや、そのだな?」
「正座」
「いきなり斬り掛かったのは悪いとマジでおもってる!」
「正・座」
「でもなぁ!?」
「せ・い・ざ」
「はいっ。」
さすがに今のは余、自業自得だと思うぞ熊こう……。




