西 大木
作者には文面力だけではなく、技名その他諸々のセンスの欠片もないようです……。ごめんなさい。
ヂッ、と空気が震えるのと同時に刀が、白夜の顔を紙一重で素通りする。
パンッ、と床が弾ける様な音が鳴り響き、大木のような漢が、腰を仰け反らせ一太刀を躱した白夜の上へ現れ、振り上げた刀を天から振り下ろす
ズゾンッ、っと音を鳴らし地面を削るような勢いで斬る
それを曲芸師のような動きで避け距離をとる白夜
そして何時のまにか横へ現れる大木、そして ボッ、と音共に大砲の様な突きが放たれる。
そしてソレを刀で逸らす白夜、だがその突きによって発せられた衝撃波により体重の軽い白夜は、少し飛ばされてしまう。
そして互いに距離をとる形になる。
攻め立てていた西 大木は肩で息をし、受けに回っていた白夜は刀を肩に担ぎ、息一つ乱れていない様子。
そして、一時の膠着状況に。
うん速い、今日手合わせした3人もとにかく速いけど、この人は別格レベルで速いな。
西家がそういう剣だって事もあるけど。
北家は、とにかく”一撃重視”、決まらなきゃ死ねってレベルの一撃重視、それしか無いわけでもないけど“霧裂き”とか……
東家は、対応、柔軟、適応、とにかく返せる手札が多い
南家は、意表を突くのが上手い、なんというのか……”戦い上手”、それらを有利にするような技が多い
そして西家は、”速さ”移動も、振りも、斬りも、とにかく”速度重視”その分、それに着いていける様に鍛練してる人でも戦闘から15分もすれば、息が尽きだす。
まぁ、だから、このまま”受け”をしてれば普通になんの面白みもなく勝てる……
けど。
それじゃぁ、面白くない。
ここまでこんなガキに、勝とうとしてくれるんだ、答えなきゃ。
「北一刀」
じゃあ、最初は速さ比べだな。
ま、この構えは二回目だから何が来るのかは、すぐにわかるか。
「”疾風”」
……最初は戦う気がなかったのか。って言う事はないぞ。ただ近接戦闘を勉強してたら受けに回ってただけです……
南 刀弥に放った”疾風”は十分な脱力から放たれた”疾風”だが、今回放った”疾風”はノーモーション、意図が掴めない分、威力は下がるが、奇襲性は上がる
だがそれを腕が微かに斬れた程度で、済ませる大木
ああ、やっぱり動体視力も、反射神経も、速いのね……。
じゃあこれかね。
「南流“霞”」
極限まで気配が薄れた白夜が、霞みのように消え。
それを探そうと、大木は自分の”気”を円城に張り巡らせる。
「東一刀“紫電”」
大木の真正面から、東家が”速さに”対応するために編み出した、速度重視の技“紫電”が振るわれる。
実際には、雷を纏っていないのに、紫色の雷が曲線を描き自分に迫る姿を幻視した大木は、内心は慌てても体は冷静に対処をした。
※ちなみに実際の”紫電”は気術の雷術を刀に纏わせた一撃です。
こんな技量にモノを言わせた「雷と同じ速度で振るったから実質、紫電だろ。(暴論)」みたいな技ではこざいません。
「グッッ……!!」
刀で受け流した大木は思わず呻いてしまう。
それは、一撃があまりにも重すぎたからだ。
その為次の対処に遅れた。
白夜は片手で振り抜いた刀を、振り抜いた先で両手に切り替え
「北一刀“断頭”」
北家の中でも近距離に重点を置いた“断頭”を放つ。
その頭斜めに斬り裂こうと、迫る凶刀を、刀で滑らすように受けた大木は後ろへ突き飛ばされるように吹き飛んでしまう。
あまりにも不安定な体制
それを見逃す白夜ではなく。普段は使わない溜めが必要な技を使う
刀を小指で支えるように握り、四本の指は開き
腕を限界まで、伸ばし垂らす
足は槍投げのような姿勢に
それを見た大木は気を全力で、刀に集め。
振り上げる、そして空中に気を固め、一時的な足場とする。
それを待っていたかのように、白夜の技が放たれる
「北一刀秘奥───“空割”」
音もなく、大木の腕、刀身が宙に舞う。
墜落するように落ちる大木
振り抜いた姿勢の白夜、その場所の地面には振り抜いた過程で出来たと思われる鋭すぎる、斬れ込みが
腕も肩から絶った、刀も半場斬れてる、だけど……諦めないだな。
ま、だよな。その為に”片腕と刀身半分”で済むように流したんだもな。
血を流しながら落ちる大木が、口を開く。
「ッァ…!!ッもう一合いッ!!!」
「ああ、もう一斬り。」
その白夜の返事を聞き、ニィッと口端を上げ笑う大木
落下してたとは、とても思えない程自然に立ち、姿勢を崩れ落ちさせるように、構え走る。
雷光の如く
遅れて、空気の炸裂する音が響く
「西一刀秘奥───速天速断」
「西一刀───瞬反」
白夜は自分の"紫電"を破った技を、大木は西家の秘奥の技を。
互いに放ち
白夜へ背を向け立つ大木、その手に持つ刀は……柄だけとなっていた。
それを見て大木は笑い、顔を天へ向けると。
「参りましたッ!!」
そう満足そうに言うのだった。




