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俺が理不尽です  作者: セロリM
ギルド・冒険者編

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南 刀弥


二刀が踊る様に、こちらの選択肢を潰してくる。


(みなみ) 刀弥(とうや)、南二刀流の使い手

よくも悪くも実力主義な、南家の現当主。


そして、それを忘れてて刀一本を投げ渡した俺……

恥ずかしいっっ!なーにが「どう?」だっ!


一本足りねェよ!!


その後、そく手合わせ始めたせいで言いにくかったらしいし!ハズイ!超恥ずかしい!


「南二刀“鴉”」



思考が戦闘からズレている、白夜の意識外から迫る。南家の秘奥の一つ“鴉”


見えない刀が白夜を襲う、が。

気の流れを感じた白夜はそれを弾く



やっべ。確か南家の“鴉”って、潰される前提の技じゃん



そう白夜が、思い出したのと同時に二振り目が、白夜の胴体を下斜めから掬うように振るわれる


だが、胴を引き、避ける


その後も次々と”見えない刀”“見えていた筈の刀”それが交互に姿を表し消え、を繰り返し


非常にヤリ(つら)い剣を繰りなす、南 刀弥



あ~ヤリ()れェ~!!

剣の速度も常に最速じゃねぇから、タイミングも読めない、なんて思ってると透明な刀が襲ってくる、なんて思ってたらさっきまで見えていた方の刀が消えてるし。


そしてそれだけじゃない、時折他の技も挟み、口にだしフェイント、かと思いきその技を候補から外した瞬間、その技がとんでくる。


ヤリ辛い!上手い!面倒!強ェ!




──だから、此方もそうやろうか。


「”鴉”」


「ッ!?」



そう呟くと白夜は刀を背に着くくらいまで振り上げ、腰を捻り、片手を横凪に振るう。


フェイントだ。小細工だそう確信した刀弥は距離を詰める


だが寸前で足を止め、摺り足で後ろに引く。




つイー、と刀弥の服に線が入り、そこから微かに血が垂れる



「手刀……ですか。」



その言葉に白夜は微笑むだけで、なにも返さない。




そこからは高レベルの剣を交えた騙し合いの始まりだった。


手刀と刀を使った白夜の二刀流、それを、気を使い二刀で受け、少しづつ削ろうと反撃、受けを、騙しを、繰り返す刀弥。


刀弥は勝つつもりだった、これを繰り返し、自分の土俵とも言えるこの勝負(だましあい)で。


掛けてきた年数が違う、刀弥はこの戦法を前提とした忍耐の鍛練を幼少から続けている。


だからこの勝負を続けたらボロを出すのは、白夜の方だ、そう刀弥は確信していた。


なにより、白夜は後一戦控えている、ギャラリーもいるのだ、勝負を早く着けようと焦るのは白夜、ならば刀弥は、その隙を待てばいいのだ。



「(白夜様、この勝ちはズルでしょう、でもこの勝負、勝たせていただきます。)」




なーんて、思ってる顔してる……んぅー、別にズルでもねぇと思うけど。勝負にルールを決めてねぇんだからズルって……真面目だなぁ…


まぁ、でも確かにこれを続けると、、、いや続けてもいいんだけど…ね。


ま、それは時間がある時に、って事で


お望みどーり、短気を出しますか。







刀を下げ、片足を前にだす白夜。


刀弥にはこの構えに見覚えがあった。


派生もない、ただ一刀で断ち斬るのみ、圧倒的な技量で放つ”斬擊”にそれ以外はいらないとばかりの、この構えは───



「北一刀」



「(北家の特徴!)」



北家は、圧倒的な技量の一刀を得意とする家


東家は、気を交えた状況に細やかに対応、圧倒を得意とする家


南家は、戦法や後の隙を突くことで、反撃、騙し、惑わしを得意とする家



そんな、南家当主としては、一刀を撃てば無防備になりやすい北家の技はカモであった。



「(一剣道家としては、真っ向から”受けたい”だが、……勝利を。)」


 

そう覚悟を決め距離を詰める刀弥、脱力をして、無防備な白夜。


避け、流せ、れば刀弥の勝ち。


受けなければいい。





そう刀弥は思い違いをしていた。


北 清三郎の一太刀が見えてしまったばかりに、本元ではない白夜の一太刀を、


北 清三郎のモノより一段上、最悪三段上だと、思い込んでしまった。




「(あの構えの技は一つ、北家の基礎技“疾風”、走る斬擊は一閃、そしてアレは性質上斜めにしか放てない。)」



わかっていれば、避けられる。



「“疾風”」



次に刀弥が目にしたのは、刀を片腕で振り上げた姿勢の白夜だった。



「は……?」



そう認識してしまった瞬間、斬れ落ちる刀弥のもつ刀の刀身、そして血が肩から吹き出す




認めたくない、みっともなくも勝ちに貪欲になったのに、敗けた自分を認めたくない。


子供に敗けたくない?違う、ただ勝ちたかっただけなのだ。


それが、手加減された上で……自分の認識の甘さで、こんなアッサリと?


そう思うと刀弥は悔しさからか、情けなさからか、申し訳なさからか、肩からでる血を抑える手が震えてしまう。



「……」



だが、そうじゃないだろっ、と刀弥は自分を内心叱り飛ばし、笑みを浮かべる。



「っっ、……参りました!」



刀弥が優先したのは、反省でも後悔でもなかった、なにを優先したか?それは勝者への称賛だった。


それに答える白夜。



「「有り難うございました。」」



そう互いに告げると、刀弥は崩れ落ちる。


それを受け止め、即座に治療を施す白夜




第三手合わせ、勝者:白夜。

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