木と木と木で森
あの神経質そうだが何処か優しそうな後ろ姿は。
「あ、おねーさん!」
「はいはい、どーかしましたか、ハクヤさん」
ここでも、何時もの俺の悪い癖が出てしまった。
「おっさん3匹と暗殺者?一匹、拾ったよ!」
「………、ハクヤさん。」
「はい!」
「元居た場所に棄ててきなさい。」
「「「まって?」」」
おねーさんがそうゆうならしょうがない。
「ごめんね。」
「少女よ!まつのだ!」「考え直すんだ!」「一万やろう!!」
よし、棄ててこよう。
「やめろーー!!」「無言で引きずるな~ー!!」「十万ならどうだ!?この欲しがりさんめ!!」
「ちゃんと拾った場所に棄ててくるのですよ。」
「はーい!………9階層あたりだったかな?」
「「「コイツら目がマジだ!!!?」」」
視点.おねーさん。
まったく何をしているのでしょうか、このアホ3人組は。
粘性のダンジョンに潜る中でも上位に位置する実力者……の筈なのですが。
今は見るも無惨なおっさん3人結びと化してますね。
そう縄で一つに括られている3人のおっさんを見下ろしタメ息を吐く、受付嬢。
その瞳は絶対零度の如しだ。
3人組はなにかに目覚めそうだ!
「で?森3はなぜ縛られているので?……趣味ですか?」
「森3?」
横から可愛らしい瞳、この期待答えましょう。
「森3とはこのおっさん達のアダ名ですよ。」
受付嬢はランスを背中の服に入れられているおっさんを指差す。
「職業、前衛職ランサー、Bランク、疾風のナオキ」
「ふむふむ」
次は双剣を、何故か頭に器用に角の様に飾られているおっさんをを指差す。
「職業、前衛職ハンター、Bランク、双獣のマサキ」
「ん、?うん。」
次は杖を、昔話キノピオの様に鼻に飾られているおっさんを指差す。
「職業、後衛職魔法使い、Bランク、魔賢のコウキ」
「あ。」
何かを察した様子の白夜、頷く受付嬢。
「名前の最後のキを3つ合わせて、森。3人組、森3です。」
「なるほど、よく燃えそうだ。」
「そうですね。」
「まって、なぜそう行着く?」「萌えそうって?ゆった?」「いやまずこの女、そうですね。って笑顔で言ったぞ。普段ピクリとも笑わん癖に。」
よく吠える雑草共ですね。
「なんだか、興奮してきだぞ?」「食用なら喜んで。」「いいや騙されるな…!アレは雑草とか思ってる目だぞ!」
はぁ……
「それで、コレがホ3を殺った暗殺者ですか?」
「うん、それを後ろからドーンてね。」
Lv41の暗殺者の職業、確かに職業の特性的に防御力は伸びにくですけど、不意打ちとは言えど一撃で? いえコレでつめることは出来ませんね。
「ホ3ってなんだ?」「木とホを間違えただけだろ?」「いや明らかにアホのホだと思うぞ?」
うるせぇなコイツら。
「ハクヤさん、今回の件、私から感謝をさせていただきます。 ”こ ん な ん”でも、一応うちの上位勢ですから、ありがとうございます、改めて後日……」
「いやいや、不意打ちでなんとかなっただけだからそんなお礼言われてもっ!」
「それでも、3人を拾ってきてくれなかったらダンジョンのモンスターに殺されていたことでしょう。ですからありがとうございます。」
わたわた、小動物みたいで可愛いですね。
「わかった!わかったよ!」
「ごめんなさい、一応後日、お礼と一緒に事情も詳しく聞くことになると思います。」
「あー、はい、大丈夫!です!いつ頃から来れば……?」
「朝頃迎えを出させていただきます。」
「いえ、ちゃんと来ますよ…?」
「いえ、此方の不手際で迷惑をかけるようなものですから。」
「………はい。」
ふふふ、賢い子ですね。
「それでは、この話は置いといて、今回の成果は売却されていきますか?」
…これにも気が付きますか。本当に…賢い子ですね。
「はい!」
この子は親切にするだけすれば、うまく付き合えそうですね。
「なぁ、こんなんでもって」「こえー女狐こえー」「アレ脅しだよな?証拠として売れよって言う」
「「「こえー」」」
……………
「…お姉ちゃん!ちゃんと餌も上げるから!散歩もちゃんと連れていくよ!!だから!ポチとタマ、それにジョン・ドウを殺さないで!」
「ダメよ、その○○○○共はハクヤの悪影響よ、いま殺しとかないと。」
「順番的に俺がポチだろ?」「俺がタマか。」「そうしたら俺が身元不明の死体じゃねーか!!」
いいえ、今から3人全員身元不明の死体よ。
「口は災いの元……」
賢い子です。
ちなみに暗殺者は口に竹を咥えさせられています。
息を吐くとスピーと音が鳴る、こだわりの一品です。




