それより助けるのってこうゆう場面だとお姫様とかじゃないの? lf理不尽
届く、確実に。
これにて任務成功、否。
「舐めんな!!」
魔法使い、逆手持ち、短剣、振り上げ。
筋力不足、速さ不足。
「ぐぅぅっ!?」
弾くの、容易い。
麻痺、痺れを確認
反撃不可能、任務成功。
そう影の中で薄く嗤う暗殺者は、振り上げた短剣を魔法使いの男に振り下ろす。
「お、目標みっけ。」
認識した時には遅かった。影が声のする方角を見たその瞬間、腹をぶち抜かれるような衝撃と共に、背中から何かを砕き埋まるような感覚を影を襲う。
蹴られた、蹴られ……た?
受け身、、失敗、損傷。
剣、距離、十歩先。
対象、、、、不可解。
「あ、やっぱ生きてる、魔力で強化して蹴り入れたけど折れた程度ですんでるのか、受け身上手いね~。」
逃走、63%…。任務成功率51%…。
「ありゃりゃ、無視かね?」
「何者。」
「な、何者……?いや、冒険者ですけど。」
A級、S-級、断定。
勝率23%…。暗殺率93%…。
「同業者。」
「いや、この状況でそれは無理があるくね?」
「先、襲われた。」
「え、マジで?あー、そりゃ悪いことしたな。」
気の低下、確認、油断、慢心、罪悪感。
速攻。
「気にしてない。」
【影の王】《影移動》《背殺》
油断を狙う、決めるなら速攻、そう決めた影はスキルを発動させる、魔力を隠しながら。
それに対して、黒髪の男の娘は頬を少し掻きながら喋ろうと口を開く
それと同時に影は影の姿を残しつつ、背後へ回る、そして発動するのは【暗殺術Lv7】の《背殺》だ、背後への攻撃時、相手の防御力を無視した100000%の攻撃を放つ、背後を取れればそれこそダンジョンボスでも体力を7割は削れる暗殺者の職業が憶える最高峰の技だ
「ああ、そうだ。」
影は驚愕する、発動していた武技が弾かれたからだ。
黒髪の男の娘は下げていた筈の剣を振り上げた体制で影の方角を向きながら、苦笑いで言った。
「暗殺するなら、殺気くらい隠せよな。こっちが気まずいだろうがよ。」
不可解…不可解………不可解…………!!
「まぁ、いいや、じゃ次こっちから行くぞ。」
そう男の娘が言うと影に対し一本の剣で斬りかかる
斬り下ろし、蹴り、斜め振り上げ、両手持ちからの斜め斬り。流れるような綺麗な連撃。
ステータス的に言ってしまえばLv19、影はLv41
動きを見切るのは簡単な筈のステータス差、だが。
それを影はなんとか2つの短剣と身体強化でいなし、防ぐ。
突きを短剣で滑らす様にいなし、もう片方の短剣で心臓を狙いにいく、そう見せかけ、影で隠していた3本目の短剣を蹴りと同時に【投擲術】で蹴り放つ
「………」
顔色も変えずに、掴み取ると男の娘は二刀流として扱い出す。
短剣を下段から滑らす様に振り上げ、避ければ剣で追撃を、即席とは思えない技量で影を追い詰める。
強い、強すぎる、否、上手すぎる……!!
見切れるのに、返せない、斬るタイミング、ステップ、切り替え、返しかた、無駄に見せかけたフェイント。全てが上手すぎる。
だから返せない、ステータスの差は確かにあるのに。
追い込まれ、追い込まれていく、スキルも発動出来ない程に。
───だが途中で棒立ちとなる男の娘
体力の差、先に体力尽きるの向こう、勝負、付かない、諦めた。
そう影は思う、だが一変たりとも気の抜けない。
「あー、まぁこんなもんか、やっぱ剣を抜きながら斬り合う、ってのがどーしても苦手なんだよなぁ」
苦手…?あれで?影は一人恐怖する、それはその男の娘から出る言葉が嘘や強がりからではないとわかってしまうからだ。
投擲術、暗殺術、身体強化、影での攻撃。
それら全て剣だけで対処、それも明らかに自分よりもステータスの低い者がだ。
それが苦手?ふざけてる、馬鹿げている、これ以上があると?
───理不尽だ。
見誤り、暗殺、不可、一か八か、全力で逃げる。
影は、一人ぶつぶつ呟く男の娘の隙を付こうと、影を最大出力で纒い、身体強化を施す。
そこからさらに【逃走術Lv5】の武技《逃げの一手》を発動させ、逃走による運を跳ね上げる
「うーん、逃がして後ろの黒幕への道案内としてもいいんだけど……必要ないしな。」
いつの間にか刀を肩に置きながら、そう男の娘は告げる。
───ずる
走る足がズレる
………逃亡、不可能。
自決。
影の判断は速かった、逃亡が不可能と感じた瞬間奥歯に仕込んだ毒を噛み砕く、
だがそれは口に入れられた鞘によって不可能となった。
「いや、だからって死なれても面倒なんだよ。」
いつの間にか現れた、ヤンキー座りをする男の娘によって。
「だからって、俺が連れていくのも……いや、別に変じゃないか、たまたま帰りに襲われていた3人を助けただけだもんな。
ん?ああ、別に聞きたいことがあるわけじゃないから、気絶してていいよ。」
そう、なんでもないかの様に告げる男の娘、
次の瞬間、影は鳩尾に衝撃を受けると意識を飛ばしてしまった。
「ん~、もうちょい斬り合いに慣れときたいな。」




