怪物VS怪物
ふむ、、、
常識
理
法則
何のその、自分こそが理だ。
と ばかりに時間をすっ飛ばして突進してくる鬼を横目に、ちらりと目を周囲に向ける白夜。
そこには何処からともかく跳んできた鬼の着地によって粉砕され、なんとか契約の理によって形を保つ天空大地、総議会の姿。
一応、惑いも結界も何千と張ってあったが、この鬼の前じゃ薄氷と変わらないか。
ならここじゃマズイな。
何が?と聞かれれば、一言で表すなら
世界が だろう。
新しく創る?かねぇ?いや、この鬼の世界に叩き込めばいいだろ。
方針が固まった白夜は思考加速のスキルを緩め、
突撃してきた鬼(一応女)に”男女平等キック”
そう呼ばれるモノを叩き込んだ。
ちなみに【脚術Lv3】の武技だ
「───ごぉっ!!?」
「容赦ない一撃はいったわね…」
「白夜があそこまで容赦ないのは珍しいのではないかね?」
よし、このまま鬼界に叩き込むか。
鬼界、 別名:鬼の世界
総勢万を越える鬼、そう呼ばれる種族、が住む世界
現代を狭い、脆い。そう考えたある鬼が創りし世界だ。
「ギィ!!?ヒヒヒヒヒヒヒヒヒッッ!!!!」
空間に指を掛け、その場に止まろうとする鬼
その口からはとても奇妙な笑い声が漏れる
だがそんなことにお構い無し。とばかりに拳を握り締め白夜は振り抜く
───万通天撃
最近白夜がハマっている武技、そう呼ばれる技を。
音が消えた、そう錯覚するような衝撃と共に鬼の体が掻き消える。
「相変わらず、なーんも無いところだな」
崩れかけの山に家?かろうじて…家?みたいなが、大分遠くに見えるくらいだしな、なにかあるのって
「ぐひっ」
すげー、肉片しか残って無かっただがもう再生したのかよ。
鬼の体って丈夫だし再生も早いよな。
本当に。
「アッハッハッハッハッハッ!!!!」
この笑い声だけで空間を破壊してくのマジで向こうじゃやめてほしい。
ああ、そうゆえば。
「昔もそうやって笑ってたっけ。」
何が楽しいのか、未だにあんまわかんねぇけど。
闘いが楽しい。って所かな。
一方的過ぎる気がするけど。
「楽しい、楽しいィゾ!!白いのォォ!!!」
再生し、衣服も消し飛んだその姿のまま、拳を大振りする鬼。
白夜はその姿を見下ろす様に眺め、迫り来る
万物を破壊する衝撃波を蹴りで掻き消す
だが、その被害はでかく、それだけの行動で天から見える周囲は消えた、塵も残さずに。
だが、鬼には構わない、そんなことは。
自分が”創った”世界だろうとも。
構わない。
この一瞬の身を焼くような高揚感に比べれば、
いや比べる事すらモッタイナイそう感じる
鬼は暴れる様に、まるで今までの不自由な空間にいたかの様に力を振るう。
生物が意識すら出来ない刹那の間に
何億と拳を振るい
そして何億と壊されるのだ。
白夜が補強していなければ等の昔に人の生きる世界、そしてその他の地球にある世界をも何億と壊せるだけの力を存分に振るい
鬼は笑い狂う
その状況を楽しんでいたのは意外なことに
鬼だけではなかった。
白夜も少なからず楽しい。
そう思えてしまったのだ。
白夜は正直な所、……殺しは好きじゃない。
元来の善性から来るものか、それとも相手の先を読もうとして、相手の負の感情を感じ取れてしまうからか。
またはその先の相手の家族まで想像、いや読めてしまうからか。
その全てか。
とにかく殺しは好きじゃない。
好んで殺ろうとも思わない。
だから今までもこうゆう戦闘はなにも思わない様にしていた。
自分から挑んで、策を弄して、此方を恨み死ぬ
クダラナイ
そう思っていた。
だがこの鬼は本当に楽しそうに笑う、死なない
戦闘を戦闘として純粋に楽しんでいる。
それが幾ら一方的過ぎるだろうが、楽しみ笑い。
感謝をぶつけ、そして本気で悔しがり、勝とうと
何度も立ち上がる。
それを見て白夜も那奈や雫を思い浮かべ、そして
───戦闘”は”楽しい。
そう思いだしていた。
それが例え先を読んだ末、感情を読み取ってしまったからだとしても。
白夜は嬉しかった。また一つ皆と同じ感情を抱ける。
そう色々な思いを浮かべ、白夜は戦闘が始まって
初めて笑みを浮かべた。
クソムシを潰した時のような冷たい笑みではない
純粋な笑みを。
「くっはっ」
「グッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!!!!!!!!!!」
溢した笑みに呼応するかの如く
重く重く重い、黒い魔力が世界に悲鳴を上げさせる程の量が白夜から鬼へ降り注ぐ様に溢れでる。
それを押し戻す様に拳を振り笑い声を上げる鬼
だが拮抗は一瞬も無かった。
鬼は押し潰され、黒に呑まれる。
それでも尚鬼は諦めない、
いや諦めるなんて考えもしない。
ただ ただ楽しい。
鬼にある感情は今はそれだけだ。
体が崩れる、再生が追い付かない。
知らない。
拳を振るう、足を振るう。
大声を上げる。
まだ、やりたい!やりたい!やりたい!!!
鬼は等の昔に自分の神格を跳ね上げる第3の瞳は開いた。
神気も使っている。
鬼の感情に体が付いてこない。
──べきン
そんな音が世界から鳴った気がした。
『アハッヒッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
白夜は微かに笑みを深くした
進化した、この場面で今。感情だけで自分の存在、理を押し上げた。
俺と一緒か……。
鬼の体は変化していた、より細く、より筋肉が無駄を絞り、第3の瞳の奥には花柄
角は三本に
体には角、目、を通り紋様が赤く浮き出ている。
「ふふっ、楽しい、うん、楽しいよ。」
『ハハハ!!やっとわかってくれたかッッ!!』
ああ、でも
「今日はここまでだな、これ以上は世界の法則がぐちゃぐちゃになってしまう。」
そんなこと貴女には関係ないだろうけど。
俺は一応困るんだ。
だから一旦ここまで。
ぐしゃり。。。
世界を容易く壊せる力をもつ鬼を。
──白夜は魔力で容易く押し潰した。
復活を出来ないくらいに、徹底的に。
「だが、それでも貴女は笑って復活するだろうな。またやろう、場所は創っとくよ。」
白夜は空間がネジ曲がり今にもナニカが復活しそうな場所を見ながらそう言った。
誰もが見惚れる様な笑みと共に




