見当外れな悩み
──契約
なにかを守るから、だからおまえはコレをやぶるなそんな口約束を魔術によって強制させるのが、一般的な契約。
そして上位者、神、天使、悪魔、精霊、などと。
契約する場合は自分のナニカを差し出して、常識を越える力や知恵を授かるのも、一般的とは言いがたいが契約。
今回、ラナやアンリが白夜と結んだ契約はこの後者の契約だ。
白夜が夜風に当たるように、総議会の屋根へ座る。
そこで白夜が微妙な表情で座るのは、結ばされた契約が問題だからだ。
白夜にとって不利な契約を結ばされた?
違う、有利過ぎる、そんな契約を結ばされたのが白夜にこのような表情をさせているのだ。
アンリの差し出すもの
【自分の時】【自由】【権限】【身体の全て】【貞操】
得たもの
【白夜との時の共有(実質永遠)】
【愛以外の絶対的な自由】【無尽蔵の魔力】
【契約によって白夜が許可したモノ以外の拒絶(実質的な絶対防御)】
【神気+転移のスキル】
ラナの差し出すもの
【自分の時】【体】【貞操】【自由】
得たもの
【白夜との時の共有】【絶対防御】【魔力+神気】
【マキナへの豪運】
明らかに貰ったモノとの釣り合いが取れていない。
そう悩む白夜。
時、時を奪うなんて、そんな訳にはいかない。
ならば、どうするのか、時の拘束。
そして時の拘束に釣り合うモノを渡さなければいけない
契約は万能ではあるけど全能ではない。
時に対して、知恵をとは出来ない。
無理をすれば俺なら出来るけど……望んでないみたいで出来なかった。
だからこそ共有での膨大な時間になっあわけだが……問題はその共有先が俺なんだよなぁ……
俺の場合、寿命や死なんて、あって無いようなモノだし、下手しなくても無量大数なんて年月を付き合わせてしまう。
いや、そうなる前に契約を返せばいいか。
だが他にも問題が自由。
これもマズイ。
自由なんて縛るつもりはないからいいけど……だから渡してきたのかな?
でも恋人や夫、第一子、~子までの自由なんて渡されてもどうすりゃいいのさ。
許可制…?報告されても困るンよ。
てか貞操って、イランって言ったらどつかれたし。
しかしマキナさんの豪運って、ラナさんらしいかな。
それ以外に無頓着過ぎて困るけど、それに
「はぁ…」
権限なんて渡されても仕事増えそうな気がしかしないし……。
白夜は気が付かない、この契約によって何を縛り付けたいのか、何に縛られたいのか。
そう見当外れなことを悩み混んでいる白夜には気が付けない。
だからこそのこの意味不明な契約なのかもしれない。
そうこうして悩んでいる中、白夜に近付いてくる者が一人。
黄金の杖を付きながら、長い髭を撫で歩いてくる。
「ふっほふっほ、白夜くんでもそう悩むことがあるのだな」
「……?」
「いやマジか…!!?この短期間で忘れられたの!?儂ぃ!!?」
ああ、可憐を悪く言ったクソジジイ(言ってはいない)
「まだいたんですね。」
「冷たい!!」
だって、いい印象ないんだもん、マジで。
「で?なんです?」
「いやーほんと冷たいなー、裏で動いてるヤツの事、忠告しようと思ったけど!どうしようかなー?」チラッ)
──イラッ
「……【転移門】」
自分には発動しない、このウザイクソジジイに発動する。
「ちょっ、まッ───」
───ァァァァァァァァァァァァァ
どっかの海に開いたけど。夜の海は寒いだろうなァ
「悪は滅びた。」
転移門から聞こえ小さくなるメイガスの声に少し笑いを誘う白夜。
少し小さく笑うと屋根から降り、家への転移門を開く
「言われなくとも知ってるよ。」
そうだれにも聞こえないだろうその言葉を発して、門へ消えた。
【神気】
魔力や気と言ったエネルギーの最上位のもの。
魔力や気とぶつかり合えば絶対的な優位を取れ
神気を魔力や気で押し返そうとすれば
1の神気に対して10億の魔力や気が必要となる。




