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俺が理不尽です  作者: セロリM
超越者

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怒り 復讐 愚か


竜の息(ドラゴンブレス)


全てを焼く赤い線を放ち、着弾と共に国を覆い隠す程の炎が解き放たれる


対処法はなし。


着弾までの赤い線は超高熱、触れれば溶かされ


着弾後はどうしようもないと言われている。




その常識が今覆された。


白夜に迫った赤い線は白夜の目の前に迫り、握り潰された。


──可憐の手によって。



「…?なんですかコレ、初級魔術かなんかですか。」



可憐はまたもや教官に、と怒りそうになる寸前

あまりの握り潰した魔術の弱さに呆気にとられた


唖然とするセオドア


自慢気に微笑む白夜


相対する陣営の感情は真逆であった



「っ、っぁあああああ!!?」



混乱の感情のまま、拳を握り締め白夜に殴り掛かるセオドア


混乱していようともそれでも殴りかかる程の憎悪は本物なのだろう



だがそれを可憐が見逃すかは別の話である



一般的に見れば洗礼された拳だろうが、可憐からすれば自分が受け持つ、気術部隊の後衛にすら劣る拳でしかない。


なけなしの魔力を使い身体を強化し白夜に迫るセオドア


それをデコピンを放つ構えをセオドアに向け放つ可憐



──ゴシャ

クッキーが砕かれるような音が鳴りセオドアの姿が消える



「おー、…グロイ」



何処かシーンとした雰囲気の中、緊張感も思い遣りも罪悪感の欠片も浮かばない声で白夜はそう言う



だがその一言で周りの空気は少し軽くなる


──可憐はその限りではないが



可憐が中へと手を伸ばすと二次試験で見せた大剣が現れる


それに対し、慌てるのはセオドアの部下や協力してた者たちだ。


──このままでは殺されてしまう。


部下は何故ここまで心配や守ろうとするのか……自分たちでも分かってはいない。

冷静に考えればそこまでする必要は無いのかもしれいだがそんなことを考える時間はなかった


協力者たちはセオドアがここで死んでしまったら、ここまでやらかしたのだ、セオドアの遺品調査で十中八九、自分達がセオドアと共にやってきた不正の数々もバレるだろうと焦りだす。



「お、お止めください!い、命までは!!」



そう抑えようと部下たちは、可憐に近付こうとするが可憐の気に押され近付けない。



「や、やめたまえ、確かにヒューズ殿はやってはいけないことをしたかも知れないだが、それは法に則り裁くべきではないかね!?」



あくまでも上から、自分たちには権力があると盲信してるものたちはそう上からものを言う


言ってることは曖昧だが。


それでもまかり通り当然だと思う連中だ、仕方がないだろう。


それに続くように声をあげる者たちが出てくる




───だが関係ない。


可憐には関係がないのだ。


可憐たち部隊長は、必ず孤児から拾われる

そして厳しい訓練の先に召し使い、または部隊に所属、あるいは政治を、


そうしてその中の一握りから部隊長が生まれる。


特に可憐の同期たちは、不治の病を、身体の欠落を、特異な体質を。


それらを白夜に救われた者たちだ。


孤児から拾われたが可憐はある特異な体質のせいで、命は残り僅かだと思われていた。


可憐は生まれた頃から火に巻かれ生きていた、母を焼き殺し、父に捨てられ、式理が管理する孤児に拾われた。


だが年々と強くなっていった可憐を巻く火は、

遂には可憐へと牙を剥いていった


肺を焼き、皮膚を焼き、目を焼き、遂には命も燃やそうと……


そんな時に白夜はやって来た。


白夜は記憶にはあるが憶えてはないだろう、何人もの死に伏そうとしていた、特異体質の持ち主や不治の病の者たちを治し、救ってくれた事など


どれだけ感謝したかなど。



それをコイツ(セオドア)なんと言った?

塵だと?卑怯者だと?クズだと?無能だと?



可憐の少し沸いた呆れはとうに怒りへ呑み込まれた。



あぁ、あの教官だ気になどしないだろう。こんな些細なこと、だけど我慢できない。


恩人だ、 命の恩人だ、 尽きる命を待つだけだった私をここまで強くして、そして楽しいと、生きててよかったと思わせてくれた恩人だ。


憶えてはないだろう。


でもムカつくんだよ、教官が気にしてなくても。



そう怒りのまま、可憐は大剣を振りかぶる。


周囲の雑音を焼き斬るように。


灰へと還すように。










ぐいっ


「へ?」



後ろから引っ張られ大剣が斜め上へとズレ、きめ細かい白い手へと止められる


スっ、と優しく


可憐の目に映るのは困惑顔の白夜の顔だ。



「どうどう、どしたのさ?そんな怒って、別に可憐が(・・・)殺しまでしなくていいだよ?あんなの。」



そう宥めるように可憐へと言う白夜。



「で、でも!」



ほっとするセオドアの部下や協力者たち

きっと白夜はセオドアが死んだ時の影響力を考えて止めたのだろうと


冷や汗を流しながらもにこやかに白夜へと近付こうとする者たち









───だが勘違いだ


何が勘違い、そう聞かれたらほぼ全て、だろう。



セオドアが死んだ時の影響力?

別にどうでも出来る白夜が?なわけがない。


別に気になどしないだろう?

まぁ、白夜は自分に言われたことなど気にしてないだろう。


じゃあ怒ってない?

……


セオドアは試験を合格した可憐を不正扱いした。

それがどんな陰謀や復讐心からしてもだ、可憐を大衆の前で不正扱いしたのだ。




怒ってないとでも?





白夜の影が真っ直ぐセオドアへ伸び


次の瞬間


影は形を急激に武具へと変えセオドアを串刺しにした。


それも形が残らない位に



どたん、誰かが尻を着いた



「ひっ、ヒィィィィィ!!!??」


「し、式理くん!?キミは何をしたのかわかっ──」



恐怖し悲鳴を上げるだけの者たちは放置

後で決めればいいのだから


だがこの期に及んでまだ自分たちが部外者を(よそ)おえると思ってる奴らは生かしておいても無駄だろう。



そう考えた白夜によってできたのは尻から串刺しにされた何十の死体だった。



「ほら、可憐合格の証貰いにいくよ、まだこの場所も案内したいし、な?」


「は、はい!」



そう優しげに瞳を可憐に向ける白夜


だが可憐は見てしまった、チラリと塵へ向けた黒い黒い黒すぎる瞳を。


ちょっと漏らしそうになったのは秘密だと、心で思う可憐であった。



「あーあ、みろ、レデェーネ、あのゴミの護衛共の直立不動の敬礼を」


「人って混乱次第ではああなるのね。」



染々とそう二人は呟いた。






《ツッコミ不在のため謎テレパシーから、この智核が、こほん、そうはならんやろ》





1~15歳まで火に巻かれ苦しめられた過去を持つ、可憐ちゃん、幼稚園も学校もほとんど行けなかったぶん少し子供っぽい所が目立つ。


今はそれを感じさせないように周りが気を遣い馬鹿扱いしている。


でも素は普通に馬鹿より。

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