憤怒
まったく、肩透かしにも程がある!
教官が大丈夫って断言してた理由がようやく分かりましたよ!
可憐は試験会場の外に無傷で横たわる男を眺めながら、ふんと息をはくと
苦笑いしながら降りてくる白夜の元へ歩きだす
あれ、なんか黄金の剣をもった銀髪の人が猛ダッシュで何処かに消えましたね?
て、あの人私の試験官になるって話ではなかったですっけ?
あの口だけ男より正直あの銀髪の人のほうが戦いがいがありそうなのですが…
そんな戦闘狂みたいな考えをしていたら白夜が笑顔で可憐の頭を激しく撫で回す
「ちょっ!? 乙女の髪を乱暴に扱いすぎですよ!?」
「はっはっはー! そんな細かい事を!ゴメンね!ま、とりあえずおめでとう可憐」
う、この人の笑顔を見るとなにも言えなくなってしまう。
ずるいですよねこの鬼教官、顔の造形がもう完全に女神とかそうゆう次元なんですよ……それにイタズラ好きですけど性格もよし家柄も最強格、もう無敵か?
「……はい」
「おめでとうございます可憐。」
「はい。」
はい……?え、いま受難様の声が聞こえた気が……
き、気のせいか…?←(幽霊ネタに怯える図)
教官が笑いを堪えてる、はっ!
教官の声マネかっ!!?
可憐の 睨み付ける 白夜には効果がないようだ。
笑顔で流された!この人本当に私より年下なんですよね!?
て、客席が騒がしいですね?
「おお、さっきは挨拶できなくてすまないね、可憐の保護者をしてる式理白夜だ、キミはレデェーネさんの妹さんでいいのかな」
「は、はい!私マキナ・レデェーネと申します!可憐さんの友達をさせていただいてます!」
「そうかそうか、うちの少し頭は残念だがよろしく頼むよ」
「は、はい!」
は!観客席に気を取られてる間になんか親とその友達みたいな会話されてる!?
てか誰が頭残念だ!!?
そしていつから私達友達になりましたっけ!?
などとゆったらマキナは泣くだろうなーと想像できた可憐は口を複雑そうに閉じた
そんな時だった、観客席から不快な声が聞こえてきたのは。
「──不正だ!!!!!」
癇癪の様な怒鳴り声が会場全体に響く
声の発生源を見れば回りに止められている、顔面を赤黒くさせ喚く男がいた。
回りを見渡せば、頭痛そうに手を置く姉御と呼びたくなる風貌の女性、その側にいるショタぽい子供はおろおろと、 金髪の騎士は呆れ侮蔑の表情を浮かべ、 ラナは額に青筋を、アンリは救いようのないとタメ息を、 新たな禁界領域者の誕生を見に来た者たちは好奇の視線を向け、 喚き散らす者の部下は涙を浮かべながら必死に止めている。
それを見ながら可憐は喚き散らす者の部下に同情する
あんなゴミでも自分の上司、見てみぬフリをすればいいものを、クビを承知で恥をこれ以上かかぬようにと必死に止めにはいる。
──それはそれとしてアイツいま、教官の事をバカにしなかったか……?
アホを見てくつくつと笑っていた白夜の肩が びくっり と震えた
何故か?それは横から太陽に迫る熱を周囲に干渉させない程に操り、だが禍々しく放出する可憐が居たからだ。
会場全体の視線が可憐に集まる
それは恐怖がほとんど、驚愕、絶句、憧れ、
そして好意的な視線が一握り
アンリは嗤う、そうだ、今空席になる席をあの娘に譲ろう、これで白夜に献上できる物が増えると
ラナは驚き納得、そうよね、あんたが育てたヤツだもの異常で当たり前よねと、新しく生まれた自分の同胞を歓迎する
姉御肌の女性は恐怖と高揚を
ショタの様な子供は納得と笑みを
金髪の騎士はその熱に見惚れ
銀髪の騎士はまた俺はあんな怪物と戦うところだったのか…と唖然を
鬼メイドはそうでなくてはと珍しく笑みを。←(可憐がキレていなかったら、いの一番に会場ごと消し飛ばしてた人)
マキナは憧れ、そして高揚、好意を
理不尽は少しの唖然を
愚者は恐怖を
愚者が反射的に身を守るために張った結界は
紙を燃やすが如く、容易く焼き尽くされた。
可憐の怒りに共鳴するかの様に、百を越える蛇が可憐の背後から生まれ顕現る
それも幻獣を呑み干したモノを遥かに越える気を渦巻せながら
「───してやる。」
今、灰神の怒りが愚者を焼き尽くす




