混乱 錯乱 混沌
ふむ、まぁ…案の定だな
「正面から入って来いとは言ったが、まさか伝承としてしか記録されていない生物で乗り込んで来るとはな」
アンリはそう白夜に歩き声を掛けると、周囲を見渡す、そこには泡を吹き出し呂律が回らない舌で何かを喚き散らすセオドア
その周囲には汚物を撒き散らし気絶する、セオドアが受け持つ魔法師団
震えを抑えながらも立ち、ドラゴンを見据えているルーカス
ルーカスの周りには全身鎧を着込み、気絶する者、腰を抜かす者が散乱している
「あ、やっほーアンリさん、フィンレー、お久ー」
「あぁやっほーだ白夜、それと白夜よそのドラゴンを泊めるところなど無いからそっちでどうにかしろよ」
「もち、あ、そうだこの子が今回の候補」
ふむ、成る程これは……合格確定だな、全身にびっしり禁術を練り込みながら完全に操作している
「は、初めまして、田中可憐と申します
かの【魔導王】に御目にかかれて光栄です」
これは…フィンレーより強いじゃないか?
そして若様よ、その驚愕の表情はなんなんだ?
「ああ、初めましてだ、可憐くん、キミにも期待している」
アンリはそう挨拶を締め括ると、白夜に手招きをする
「……?」
「──どうやら相当、お前に恨みがあるらしいぞ」
「……………──?」
ん?え、憶えていらしゃらない?
「お前、あんだけの事しただろうが」
「なんかやっちゃいました?」
「やっちゃいましたよ、お前あの泡吹いてるアホの親を廃人にしただろう」
「ああ、成る程山本さんの事か」
「そうそう──誰だソレ」
「じゃあジョンの事?」
「ジョンはフィンレーの犬の事だろ?アイツは今も元気だよ」
「…?じゃあプレライツの事?」
「あれ…お前だったのか……」
「そうじゃなくてヒューズの事だ」
ヒューズ?と首を傾げる白夜
「そんなやつ居たっけ?」
「まぁ、アイツの自業自得とは言え、本当にお前の記憶にすら残らなかったなアイツ
まぁ、アレだお前が廃人にしたやつの息子だから絶対妨害とか、嫌がらせとか、暗殺とかしてくるから気お付けろ、て話だ」
「ほい、じゃあ俺可憐をこの辺案内してくるよ~、また後で~」
「あぁ」
さて、この場の後始末どうしようか
──ああ、そこの青年…?ん何を泣いている、職を喪った?…は?たしか青年は学園優秀で卒業した生徒の筈だ、まぁいい、それなら私の下につけ、これをやる、あ?畏れ多い?いいからソレ持って私の部下達と一緒に初仕事を頼む、これその辺に片付けて置いてくれ 掃除方法は魔法師団と騎士団で分けて纏めとけばいい、起きたら自分達の汚物は自分達で片付けろと言っとけ、あああのアホも含めてな、じゃあ頼むぞ
──はい!!!
──フィンレーは固まって無いでさっさと書類の続きを手伝え……おい、おい? ダメだ気絶してる




