無能
ルーカス・マーティン
イケメン 貴公子 人気者 【聖騎士長】 十三聖王の一人
セオドア・ヒューズ
顔”は”イケメン か・お・だ・け・は 無能か愚者か 魔法教会幹部 第七席 【竜の息】
「やあヒューズ、キミもこの魔力の持ち主を見にかい?」
「…マーティンか、ああこのふざけた幻術をかけたアホの面を拝みに…な」
セオドア・ヒューズは嘲笑う、この様な大胆な事をしでかした愚者を
──事は数分前、半径五百メートルに未確認の生命体を魔法師団が、感知した事が始まりだった
「──なに?魔力濃度が跳ね上がった?」
「は、はい!未確認の生命体が感知したのと同時に、周囲の魔力濃度が跳ね上がっていることが判明いたしました!!」
「…ふざけているのか?」
「え」
「…なんだ…聞こえなかったか?私はふざけているのか、そう聞いたぞ?」
「い、いえふざ─」
「けてない、などとは…言わんよな?
もし本気で言っているのなら私は貴様を学園に送り返さなきゃいけなくなる、この意味卒業生の貴様が分からないとは言わせんぞ?」
「っ……」
「はぁ、大気の魔力濃度はいくつだ?」
「……200を越えまし…た。」
「おかしいなぁ?…貴様の話を真実だと仮定して、無能の貴様にも分かりやすく話してやろう
通常、環境によって大気の魔力濃度は確かに変動する、だがそれはあくまで相当な年月を掛けての話だ、それに変わると言っても平均を0.1から最高でも2.03、それが魔法使いが気が遠く成る程の年月を掛けて調査し確定させた数値だ
ここまではいかに無能な貴様風情でも分かるな、これが常識、これが覆せない真実だ初等部で習うからな、分かるよなァ?
そしてここからが私が貴様を無能だと言った理由だ、問題、二十メートルの魔力濃度を0.1から0.2に上げるに必要な魔法使いの人数、階級はいくつだ?
──答え一級が27人、二級が156人だ
そして、今一級魔法使いの人数は全支部を含めても50人が関の山だろう」
「で?貴様はなんと言った?」
「…わ、わた」
「いや、よいどうせ魔道具はそう数値をだしましたとでもぬかすのだろう、 貴様はクビだ師団の紋章を返却し学園にでも戻って初等部からやり直すのだな、ハッどうせ同じことを繰り返すだろうがな」
セオドアは報告してきた部下を嘲笑うと、仕事をこなし指示を仰ぎに来た部下に無能認定とクビを言い渡し、元部下の何かを押し殺した様な泣き声を無視し歩きだす
「ハッ、まさか大気に幻術を掛けたのすら見破れぬとは、これだから血統のなってない劣等種はダメなのだ」
セオドアは知っていた、大気の魔力濃度を騙す方法を、なぜならそれは先代が自分の魔力を大きく見せる為によく使っていた手だからだ
「だが、馬鹿なヤツも居たものだ、自分を強く見せたいなら常識の範疇でやらなきゃ直ぐにバレるに決まっているのに」
セオドアは何度目かのタメ息を溢すと、ああと何かを納得する
「そうか、先程の無能もそうだか知らないだけで
ああゆう馬鹿は多いのかも知れないな」
そう一人納得するとセオドアは、 どれ一つそのアホの面を拝みに行ってやろうか、と最近の鬱憤を晴らす様な道化を期待し、報告にあった未確認の生命体の発見方角へ歩みを進める
△▲△
「……あはは」
「貴様もアホを見に行くのか?」
「うーん、そうだね」
「ハッ、 貴様の部下は試験の準備だとゆうのにいい御身分だな騎士殿は」
そうセオドアは鼻で嗤うと時間を無駄にしたと、愚痴を溢すと歩き始めた
「あはは…(君には言われたくはないかなぁ……)」
「──しかし……幻術…ねぇ?」
ルーカスは天を覆う様な黒翼を見ながらそう呟いた
極僅かだろうが異常事態かもしれない可能性を考えて、ちゃんと最高指令に指示を仰ぎに来た部下かわいそう
セオドア無能愚者に関わらず、少なくともいい上司ではない




