決勝戦 下
狂っていても大切は大切なんだ
★◆真央那奈◆★
戦闘はそこから更なる激化の一途をたどる。
──那奈が異様に細い腕を振れば放射状に全て粉砕され
──魔法を放てば疑似異界を軋ます程の厄災が何千と降り注ぐ
それらの厄災を白夜は飄々と一刀の下に━━━━斬り捨てる
「っ──互いに決定打にかけるか…」
嘘だ分かっている……決定打が無いのは此方だけ。
我が契約者は明らかに手加減をしている
その証拠に
「──【常闇の千剣】【穿ち射ち】」
那奈の背後に大きな空洞が出来上がる、底から覗くのは刀身の全貌が見えない程の大きさの剣だ
【常闇の千剣】那奈オリジナルの魔法
"闇魔法:level10"の段位に位置される超位魔法
紫色の魔剣を千本、異界より召喚せし魔法。
それを千、中に浮かべ白夜に全剣の照準を合わせ、那奈は"投擲術:level8"で覚える【穿ち射ち】でその巨大な剣を亜音速を越える速度で射出した。
【穿ち射ち】通称山穿ち。小石だろうが短剣だろうがこの武技で打ち出せば山を穿つと謳われる《武技》、それを持って放つソレは大地を抉り断つ災牙そのもの──
──山より大きな紫色の魔剣が雨霰と白夜に降り注ぐ。
だが、
白夜の周囲が一瞬真っ黒になると、白夜に降り注いでいた筈の、山より大きな紫色の剣が全て消えている
「無駄か、やはり…」
我はあの無数の斬撃を攻撃に転じられでもしたら、とても受けて立っていられるとはとても思えない…
なんなら原型すら残らないであろう事は想像に難しくない。
今は意識が此方に集中仕切れていない…だから助かっている……切り札を切る…か?いや我の目標は我が契約者を倒すこと──
───ではない、残念ながら。
残念ながら我がそれを夢見るには何もかもが足りな過ぎる。
今追える目標、それは我が契約者の強さをもっと引き出す事だ。
……だが今のままではそれも到底、無理な話だろう。
レベルが上がるに連れスペックが高くなった脳をフルで回し高速で熟考する。
我が契約者は先程から魔力や気が減っている様子はない、こんなにも戦っているのに、だ。
……無限魔力…?違うな我が契約者の魔力や気は回復もしていない、ちゃんと消費はされている……成る程、我が契約者は先程から戦えば戦う程技量が上がっている、否。飛翔している様に見える…術式の無駄を常に省き続けているのか…!!
今の我が契約者の魔力や気の消費量は秒間──00000.1
これはどんな術を使ってもだ。
どんな魔法でも固定値しかMPを消費しない、さらにHPも防御力も唯一出し抜けそうなプレイヤースキルも遥かに上な敵って、それってどんな無理ゲーだ……??
いかんいかん!弱音が出た、だがこのままでは我の魔力の方が先に尽きる…
消耗戦は無理
速攻か…?我では絡め手は、我が契約者の足元にも及ばんしな……
やはり速攻…なら……ば仕方があるまい……
「【黒き感害】、【戦魔斧━━覚醒】、【覚醒】。」
【黒き感害】で那奈は自分の姿、魔力、気を完全に世界から隠す
その中で【戦魔斧・覚醒】で自分の義手のようになっている武器の力を更に引きずり出す。
そして最後に【覚醒】これは勇者の覚醒とはまた違う効果だ。
───勇者の覚醒は逆境覚醒と呼ぶべきもの。
那奈が使った【覚醒】は生物としての基礎スペックを跳ね上げる、覚醒だ。
自分の全レベルを犠牲に自分に進化をもたらす。
ちなみにスキルを見た那奈や白夜が覚醒ではなく進化では?と疑問視したが、智核曰く【スキル】の名称の殆どが乗りと語呂と雰囲気だそうだから考えるだけ無駄である。
──飛躍的に上がったステータスとスキル
だが此処まで来て奈那の’’常時発動させていた【スキル・魔王】に含まれていた【鑑定】,,で読み取ってしまった白夜のステータスの’’一部,,
そのあまりの桁の数値に一瞬折れそうに成る心と、白夜が何故縛りをいれる理由の全貌が見えた那奈は、それでも立ち向かう。
見てみたい。
そんな心から意地で白夜の強さをもっと引き出そうと躍起になった那奈
だがまあこれもしょうがないだろうと思う那奈
だって好きな人の事は全て知ってみたい
こんな下らない理由だと知って我が契約者は呆れるだろうか?
いや笑ってくれるに違いない
さあ今の我が出せる全力全開だ──受け取れ我が契約者よ
──終末第七法・淵天終墜
音は無かった。
赤黒い螺旋が星を掻き消し
疑似異界が壊れる程の攻撃が来るとは思ってなかった白夜に、星を終わらせる一撃が──
────直撃した。
「──これでもダメか…」
別の星まで白夜を殴り飛ばした那奈が悔しそうに、そう笑う。
「いや、届いたよ。立派な魔王様になったな…那奈ちゃん。──ついステータスの縛りを解いてしまった」
晴れやかに少し悔しげにそう笑う白夜
「?だが…」
それに対し那奈は疑問に思う──魔力や気が一切感じられない……その様な事があり得るのか?
その疑問に対し少しキメ顔で白夜は言う。
同じ漫画好きなら通じるだろうと
「文字通り次元違いだからな、感じさせようとさせなきゃ感じとれもしないさ。」
一瞬呆けた顔をした那奈は直ぐに意味に気が付き納得すると意地の悪い笑みを浮かべる
「──フッ、ハハハハっ、なら我の勝利でいいな!」
縛りを最後までやり通せなかった事を盾に勝利をもぎ取ろうとする魔王
「は?それとこれは別なんだが?」
「いや~?これは我の勝利だろう!」
「違うが?」
気の知れた仲の様なやり取りに満足のいった那奈は魔王スマイルから恋する少女の笑みに変わり、ふらっと白夜に突き立てていた拳を除け、こつんと白夜の胸に頭突きを一つ落とす。
「フッ冗談だ、我ももうくたくただ、勝者よ我をヤリ部屋に運ぶ事を許可する」
そうして出てきた言葉はザ下ネタだ。
「するな。」
「……傍観者共の前でか…?少し恥ずかしいぞ…我が契約者」
「俺の周りには性に忠実な女性しかいない件について、──さてこのご都合主義にしか見えない物語を書いてくれたのは誰かな」
白夜の言葉に奈那ちゃんは一瞬目を見開き、「お見通しか。」とでも言いたげに にへら と笑い次に無駄に凛々しく決め顔を作りこう言った。
「──フッ、我にこの計画を告げた謎の女はこう言っておった。──『お仕置きプレイを期待しておりe』ぎゃふん!」
超手加減のスキルを試用しながら那奈の頭に手刀を叩き込む。
チョップとも言う
決まり手:恐ろしく速い手刀e
『優勝者・式理白夜様選手ゥゥウウウウ!!!!』
☆◆白夜◇★
謎の女ってなんだよ謎のって無駄に物語性を作ろうとしやがって那奈ちゃんめ…
おのれ智核…無駄な知識を面倒な奴に詰め込みよって…
「お望み通り足腰立たなくしてやる3日位……て、なんか毒されてる気がする…考えたら負けかね…」
無表情にダブルピースを添えた嫁を幻視した白夜は頭を痛そうに抱える。
影響を受けやすいのは直した方がいいのだろうかね…。
しかし、それがおわったら俺の?トラウマ処理だな…面倒な精神不安を残しとく気は俺にありませんと。
その前に
目を回している那奈のおでこを撫でる白夜
「ありがと…那奈ちゃん」
最初は雫ちゃん、その数週間後に那奈ちゃん。
雫ちゃんは言葉を教えてくれた。 字を教えたくれた。
初めて楽しいをくれた。
那奈ちゃんは俺に夢と言うものを教えてくれた。
数時間…でも初めての大切だったんだ
だから何の守る力の無い俺は弱さで記憶に蓋をした。
また喪うのが怖かったから。
こんな所だろうな。本当に
━━━━殺したくなる程に、弱いな白夜。
悲嘆にでも暮れたいか? 過去のことを何時までもグジグジと、気色悪い。
──化物を殺せるのは愛情か。
ちなみにスキル【覚醒】についての補足ですけど、レベルを全て犠牲にしても職業枠は残ります。要は強くてにゅーげーむですね。
今回のお話、下地はメモで書いていたのですけど、無駄を省きたい!と何か勘違いした作者のせいで物語、進め方見てらんないくらい酷かったですね…申し訳ない。
この章のお話はまた時間がある時にちょこちょこと直しますね、それに無駄な文面削り隊《勘違いバカ》のせいで読み直して追加設定かな? と思う所が多かったので、開き直って過去の話にこっそり伏線みたいに挟み込んで来たいと思います。
えーと、書いててなにをコメント残したかったか忘れてしまいました…取り敢えず、えたりませんよ! とだけ。 投稿がない時は十中八九忙しく、キリのいい所まで書けてないだけなので、適当にお待ちください!




