決勝戦 上
「《【魔王の一撃】》ォ!!!」
那奈が戦魔斧から、赤黒い魔力と気を融合させた一撃を放つ
触れたもの全てを塵に変える一撃が大地を塵に変え
疑似異界の忠実に再現された山や谷、海を全て塵芥へ帰す
だが白夜には届かない
だがそれでいいのだ。盤面を全て破壊したのには訳がある、いや有ったと言うべきか。
「ちっ」
「ぶい」
中に立ちながらV字に指を曲げる白夜、それに当てがハズレたと言いたげに舌打ちをする那奈の姿。
「空中に立つのだ魔力をそれなりに消耗する…筈だったのだがな我は、我が契約者の技量を低く見積もりすぎた様だな…」
そう那奈が狙ったのは、白夜のナメプのステータス。総エネルギー、魔力や気を合わせてもぴったり3000と言う低さ。
その低さ地盤が無ければ飛ばなければいけないそれには少なくとも秒間、どんな達人だろうが150の魔力や気を消費する。
だがそこは那奈の計算によれば白夜の技量なら中に浮く位なら10の魔力や気の消費だろうと、計算していた。
だが現実は。
「多く見積もっても十秒000.1か…このアホ技術め…」
「お褒めに預かり光栄だぜ魔王様?」
「ふむ…どうしたものか…」
「ん?万策尽きたわけじゃねぇだろよ?どしたのさ?」
「いや手札を先に見せた方が負けると言う法則が…」
「うんうん、あの漫画好きだよ?だから著作権に引っ掛からん様にね?ばん○い!とか魔王様出来そうだから…」
「我は静かに告げる派だ!」
「わかる。」
「うむうむ、しょうがないごり押しするか!」
「んう?なんでそうなった?」
問答無用とばかりに那奈は戦魔斧に手を乗せる
「──【戦魔斧━━解放】」
溢れ暴れる赤黒い魔力が先程までとは別次元だと証明する様に那奈の右腕を魔力が侵食し、武器と那奈の身体が一体化する
溢れ暴れる魔力が晴れた先には大きすぎる異形の機械仕掛けな右腕。
もうそれは斧とは呼べず指となる五本に付いた刃物の形状からしか辛うじて元の武器を辿れる位だろう。
その異形の腕を眼前で開いたり握り締めたりと動作を確認し那奈は不敵な笑みを浮かべ、白夜に言う
「我が契約者よ…お主も出すが良い"終末武装"を。」
「…………ふっ、分かったぜ?(え、終末武装て…?ん?鑑定…おい、おれの愛刀の武器ランク欄に終末武装て追加されてんだけど…!魔王様の発言力考えろよっ!?)」
そんな突っ込みを置いといてノリのいい白夜は手をパン!!と合わせ抜くような動作で黑い長刀を【無限空間】からだす
〈:職業"終末武装の担い手"が追加されました。〉
「(さて、アレも虚仮威しじゃねぇだろうし、てか新しい職業追加されたし、もうわけわからんがノリで逝ってしまえ…)」
少し遠い目をしながら白夜の本格的な戦闘が今始まろうとしていた。




