第六試合と第七試合
第六試合・自称メンディーVS宝前清隆
「燃やし尽くせ〈鳳炎花〉!!」
宝前が札を自称メンディーに三枚投げ、突如なげられた三枚の札が三枚の花びらを描きながら燃える
それを自称メンディーは5つのVSを自分の眼前に展開し防ぐ
そしてその二人の心境が重なる
─「「(なんで俺この舞台にたってんだろ…)」」
二人とも世間一般ではそれなりに強いし、憶えていれば特一級と呼ばれる《複重術式》も憶えている。
だからこの試合でも優勝まで行かなくても準優勝位なら狙えると睨み
出場した、そしたらどうだろう…
自称メンディーは最初のブロック戦の5目で脱落してしまった。
だが何故か本戦に出場出来ることになってしまった。
何故だか第一ブロックが一人以外棄権してしまったのが原因だとか…
その時は純粋に喜んだ、"よっしゃラッキー!!"と。
「(何がラッキーだ!こんちくしょう!!)雷鳴の名のもとに灰と帰せ〈雷葬〉!!」
やけくそ気味に投げられた8枚の札から雷が矢状に為って宝前に向かう
それを宝前は17枚の札を地面に押し付けると諦め気味の表情で対術式を発動する
「災害を退けよ〈障壁・災〉!」
二つの術がぶつかり合い火花を散らす、数秒後二つの術は役目を果たした、かの様に消える
ふたりは睨み会う
ちなみに宝前清隆、自分の実力に絶対の自信をもち、家の格もよし、顔もよい。
控えめに言ってナルシストであった。
すう時間前まで…今はただの顔と家の格に自信があるナルシストだ。
その後何の進展もなく消耗戦となり、傭兵家業みたいなことをしている自称メンディーと家の格が高かった宝前清隆の札の枚数が勝敗の分け目となり、宝前清隆の勝ちとなった…
ただ勝った者と負けた者の表情は真逆だったと、噂が流れたとか…
▽◇▽◇▽
第七試合・安倍清華VS芦谷由井
白い陰陽師の様な服を改造した服を身に纏う清華、銀髪をショートに顔の横に三都網を垂らし、鋭い目元の黒子がまた魅力を掻き立てる
──完成された美形
そんな言葉が出てくる程の美女
そんな安倍清華に相対するのは
黒赤の微かに陰陽師服の影がある衣装を身に纏う、これまた美女。
肌は褐色に黒い髪を後ろで三都網を作る美女
──異国の舞姫
こちらはそんな印象を受ける
芦谷由井
安倍清華は油断なく赤い文字がミミズの様に走る札を指に8枚挟み構える
芦谷由井はだらりと腕を垂らしその両手には二枚の黒く大きな札
先に動いたのは由井だ、地面に体が付きそうな程、屈み
──消える
だが清華は構えを解かない、後ろに回ってくるのはわかっているからだ─
──ズゥゥ
清華体が黒い大きな札に斬られる
清華の斬られた体が無数の札に変わる。
次の瞬間、ゴウッッッと白い炎が天に登る
その白い炎のなかで由井が呟く様にこちらを観ている清華を見つめ言う
「幻術…か」
その言葉を境に白い炎が消え失せる先程まで焼け焦げていた地面の焼き跡ごと。
「幻術でも実態をもつ幻術なのだけどね…?暑くなかったの?それともその黒い札の効果かしら…ね?」
「……」
「そう、無口なのね。」
「…その不甲斐な視線をやめろ…」
「やめさせてみたら?」
次の瞬間、清華の後ろに黒い札を斬り抜く姿勢で現れた由井
「そうさせて貰おう」
そう言葉を告げると黒い札を振り抜くだが、やはり幻術。
「無駄よ?」
「……」
振り抜いた場所から赤い斬撃が飛ぶ、大地に大きな亀裂をいれる程巨大な
赤い斬撃に当たった大地が割られ腐る
「成る程逃げ場を無くそうて話ね?」
何処からと無く清華の声が由井の耳に不快に響く
「──少し真面目にやりましょうか?《操り空》」
空が歪み堕ちて来る、由井目掛け
それを無情に見つめ黒い札を横に凪払い唄う
「……《黒鏡》」
堕ちてきた空が押し返される様に戻る
それを少し驚いた様な声で清華が言う
「あなたのその黒い札、歪められた事象を強制的に戻せるのね、効果はその黒い札を歪められた事象に振るう事って、ところね?」
「……」
「ほんと無口ね。…んぅ
──なら見えないものに意味はないわね。」
ゴンッ由井の体が横に吹き飛ばされる
吹き飛ばされる由井はぐきぐきと空中で骨を鳴らすと地に猫の様に着地する
パン!!由井が着地した地面の後ろが破裂する。
由井は今ナニかに殴られ吹き飛ばされた瞬間から空中で自分の体内で衝撃を逃がし続け地面にその衝撃を逃がしたのだ。
その逃げた衝撃が地面で破裂とゆう形で現れた。
立ち上がった由井の口に少しの血が滲み出る
「プッ……流しきれなかったか……それに…空気か…」
「あら、今から種明かしをしようかなと思ってたのに、頭回るのね貴女?」
「………」
そっと由井は体をずらす、次の瞬間先程まで由井が立っていた場所が上から押し潰される様に砕ける。
「女狐…答えて欲しければ声に呪詛を流すのをやめろ」
その言葉に清華は口を歪め開く
「あらやっぱり気が付かれてたわね。ごめんなさいね癖なの」
そう何とも思ってない様な声で清華は嘘を付く
「………」
もう何も言うまいと由井は無言になると消える
━━━バチバチバチッッッッ!!!!!
清華の常時展開している結界と由井の二つの黒い札が斬撃を加えぶつかり合い青い雷を周囲に撒き散らす。
「先程だ…っ!!」
「成る程、問いかけられる前に答えるのね律儀ね嫌いじゃないわ」
先程とは違い本心から笑顔で告げる清華
「……っ《災姫》!!」
由井は結界を破れないと判断すると黒い札を結界を滑らせる様に斬る動作をすると
──"大規模術式"を発動される
それに目を見開くのはスクリーンで見ていた閑却達だ、優勝賞品また普通なら国宝とも扱われるそれを持っている事に。
だが清華は眼前に迫る腐敗を撒き散らす大津波をみて冷静に笑う
一滴でも大地に触れれば大地が腐り堕ち
そこから連鎖的に全てを腐敗に堕おす世界を滅ぼし兼ねないソレを理解をしながら清華は笑う。
「《天上ノ白炎》」
清華は笑い結界から手出し、腐敗の大津波に手を突っ込み握り潰すように手を閉じながらそう呟く
すると次の瞬間、白炎が腐敗の大津波を丸め込む様に握り潰す様に、腐敗の大津波包みを燃え尽きさせる。
そして油断している清華を背後から襲う
二つの黒い凶擊
「──武技【バックアタック】、スキル【背面から襲う凶刀】、スキル【結界殺し】」
バリン!!!そんな音と共に清華の結界が食い破られ。
──清華を赤い斬撃が飲み込む
そう思ったやさきに、ギンっ!鉄が擦れる音が響く
「チッ…っ!!やはり貴様は女狐だっっ!!」
「あら?私は近接が出来ないとは言った記憶は無いのだけど?」
由井が何とか防いだ一撃の先を見ると、実にイヤらしい笑みを浮かべた清華が拳を握り締め身体に白い術式が浮いている姿が見える。
ゴン!バン!腰のはいった清華の右ストレート左フック、それを何とか凌ぐ由井反撃に転じようと距離を取ろうとした瞬間──
べきべっ横腹に回し蹴りが入る
「ぐっ……ぎっ!!」
吹き飛ぶ由井それに空中から下に殴り付ける清華。
落下する由井に向かって怒涛の連打連打連打連打
ゴオオン!!!!!!!地面に叩きつけられボロボロの由井
「げぼっ…」
飛んでもない量の血を吐き出す由井
それを中に浮かび周囲に七体の白い龍を浮かべる清華
「わたしの勝ちね?」
「っ、ああ、やられたよっ女狐…っ完敗だまさか縮地まで使えるとは…っ」
由井は自分が距離を取ろうした瞬間を思い出す、縮地で距離を半ば離した由井に、由井より格段に完成された縮地で回し蹴りを食らったことを。
「また殺りましょうね?」
「もうこりごりだっ──」
そう言い由井は七体の白い龍に呑み込まれ
『第七試合・勝者っ!!安倍清華選手ゥ!!!』
そんなアナウンスを聞きながら清華は思う
つぎはあの人とか…
「敗けかな……勝てる未来も理由も見えないよ…」
遠目に白髪の男の娘を見ながらそう呟く




