第四試合
初撃は正義の聖光を纏った一撃から始まった。
その聖光を纏った剣一撃を片腕で容易く止める那奈
自分の一撃を止められる事は予想はしていた。
だがまさか片腕で止められるとは思わなかった正義は剣を止められた姿勢で、ほんの一瞬止まってしまう。
那奈はその止まった一瞬を見逃さず片腕を正義の顔面に振り下ろす。
ガン!!そんな音と共に殴り地に落とされ、受け身を取れずにバウンドしてしまう。
宙で体制を立て直そうと剣を握り締め魔力を込める正義だが。
殴り落とされバウンドした正義にそれをするだけの時間が有るのだ那奈が何も準備してない筈もなく。
体制を立て直そうとしていた正義の横腹に小さな拳が突き刺さる。
──べきべき
あばら骨が折れる音が嫌に正義の耳に響くようだ、だがそれを無視し込めた魔力を、吹き飛ばされる寸前に剣を地に触れさせ暴発させ那奈に【光の柱】をお見舞いする
「しかし、ここで勇者VS魔王の戦いが見れるとはなぁ~」
その二人の戦いを眺めそう言う白夜、それに見た目が勇者と魔王ぽいだけだと思っていた加菜恵や田之助が少しびっくりした表情で加菜恵が白夜に聞く
「あの二人てそうなの?」
「うん、ばっちし職業に勇者と魔王があるからね。」
「しかし、格好までソレぽいとは本格的ですね…て言うより異世界の住人とかでしょうか?たしかダンジョンの中にいた住人はこちらに来てしまうとかだった筈ですし。」
「んや?ふつーに此方産の勇者と魔王みたいだね、てかあの聖剣て…」
少し疑惑の目で勇者?が持つ聖剣を見つめる白夜
「大厄災の日にある聖域から紛失したて、連絡が来た聖剣に似てるような……」
「白夜様奇遇ですね私も先程からそうなのではと疑っていたところでした。」
「だよね……まぁ後で連絡でも入れとくか…」
『ゴンッッッッッッ!!!!!』
正義魔力を込める聖剣と、那奈の拳が交わる音が大地を抉る形で残る。
何十メートルのクレーターの中心で正義は剣を残像が見える位の速度で繰り出し、それを那奈は多きな戦魔斧を背負いながら捌く
那奈に捌かれた剣筋は斬撃となりクレーターを切り刻む
だがその残像が見える速度の斬撃も、強者同士でなければ分からない隙がある。
その隙那奈に突かれた正義は脳天に踵落としを食らい地面にめり込んでいく。
「…そしてもう一方は中二病を極めすぎて魔王になった女の子か…ふはっ」
面白い物を見つけたと言いたげな表情の白夜
その表情が特に見覚えのある加菜恵と田之助がチラリと元治を見て白夜に視線を戻す
「なんじゃ?言いたい事あるならきこうじゃないかっ」
「いえ、何にもありませんのよ」
「ええ、ほんとに」
そんな三人を置いといて白夜は奈月と喋る
「中二病を極めるだけで魔王になれるものなのですねぇ…」
宙に浮いていた那奈が拳を握り締め、次の瞬間拳を振り抜いた姿勢で止まる
「まぁ、ありゃ異能力はあると信じてそれだけで、独自で裏にたどり着いて魔術や気を納め、理想の魔王に成れるように頑張ってる系の女の子みたいだな、称号に"頑張りやさん"があるからな」
次の瞬間、コマ落としの様に、正義が埋まっていた大地が無数の拳状に穴が穿たれる。
「成る程、それでステータスで覚醒した感じなのね?」
「そうそう、あの"勇者"はレベル35職業も<剣士><下級魔術師><魔術師><中級剣士><勇者>て感じだけど、
あの女の子はレベル128職業は、<魔人><魔闘士><魔王><黑翼之魔王><魔皇帝><魔斧の担い手><第七天魔王>て感じの、
ガチのザ・魔王を極めました見たいな職業してるからな…あと称号の"中二病始めました"てなんなんだ…たまに意味がわからん称号あるよな…。
しかも称号スキルは"演出する者"とかゆう、それぽい事をするほどステータスや技の威力が絶大に上がっていくとかゆう、ぶっ壊れスキルだし…。」
「おー、でも頑張った結果なんだろうなて思いますと純粋に応援したくなりますね!」
その奈月の言葉に頷く白夜
「確かにな、このまま行けば俺と当たるのはあの娘かもしれないな」
「でも…勇者の職業スキルは強力無比なものが多いと聞きます、しかも…逆境な程…」
スクリーンを見ればずたぼろな正義の姿、それを無傷で眺める那奈。
次第にゆっくりと立ち上がる正義の姿、そして曇りと設定されていた疑似異界の雲がゆっくり晴れ正義を照らし出す。
そして正義の体を光輝くオーラが溢れだし、光輝く剣を眼前に構える正義。
その姿はまさしく─
─勇者
「勇者のスキル【覚醒】か…自分の逆境を撃ち破る概念スキル、心が覚悟が強ければ強く矛盾してない程一時的に極限的に強くなれるスキルだったな。
──だがなぁ…?あの勇者擬き、たまたま聖剣を火事場泥棒して勇者の職業に就けただけの一般人だよ?」
「え…?あんな勇者ぽいのに?」
「うん、それにほらあの娘いまだに魔力も気も使ってないじゃん?アイツの範囲で強くなっても概念破壊のスキルを持つあの娘には勝てないぜ?」
その白夜の断言をそのままを表すかの様に
那奈はがっかりするように顔に手を当てると背中の多きな戦魔斧を──
──スッ━━━━━
とゆっくり横に凪払う
それだけで高度に再現されている疑似異界の山や森を消し飛ばす那奈であった。
もちろんそんな破壊の一撃に勇者擬きが耐えられる筈もなく。
『第四試合!勝者!真央那奈選手ゥ!!!』




