燃えないゴミ
やる気がない少年たちを、叩き直して欲しい。
そんな依頼がもう、数え切れないくらい山ほど来た。
本当は、そんな誰かを叱るなんて出来やしないのに。
本来の僕は、人を叱っていいような人間ではないから。
ようやく貰ったテレビドラマの役。
それが、少年たちを諭す近所のおじさんだった。
その練習を部屋でしたことで、隣人に勘違いされてしまった。
間違えるくらいに、演技が上手かったと考えられればいいのだが、そうはいかなかった。
断りきれない性格で、だらしなすぎる貧乏生活を送る、ただのおじさん。
役のおじさんとはかけ離れすぎている。
それが逆に、役になりきれた要因となったのかもしれない。
今まで、中途半端に演技に取り組んで、ダラダラと過ごしてきた。
まさに僕は、燃え上がることの出来ないただのゴミなのに。