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2.潜在魔力測定での一幕。

色々と無自覚。









「えっと、入学後のオリエンテーションでは身体測定と――」

「おはよう、シャインくん!」

「あぁ、おはよう! カトレア!」



 入学式翌日のこと。

 割り当てられた教室の中で予定を確認していると、元気よくカトレアが挨拶をしてくれた。昨日とは打って変わって、とても明るい女の子になっている。

 きっとこれが彼女の本来の性格なのだろう。



「やっぱり、カトレアは笑ってる方が良いよ」

「そ、そうかな……!」



 なので、素直に感想を述べる。

 するとどういうわけか、カトレアは顔を真っ赤にしてうつむいた。

 その理由が分からずに首を傾げていたが、考えても仕方ないと思い、こんな質問を投げてみる。



「ねぇ、カトレア? この……【潜在魔力測定】って、なに?」



 それというのも、オリエンテーション資料に書かれていたこと。

 身長や体重などの測定は分かるのだが、その項目については何も分からなかった。こちらが首を傾げていると、少女は気持ちを切り替えるように説明する。



「その人の中に、どれくらいの魔力が眠っているのか。あるいは、どれだけ魔法に適性を持っているのかを測定するんだよ! 魔法学のクラス分けは、それをもとに決めるの!」

「へぇ……。なるほど、そうなんだ」



 あの村にいた頃、身体能力に自信はあったけど。

 魔力というものについては、自分の中のことなのにまるで分からなかった。これは中々に楽しみで、少しだけ怖い検査になりそうだぞ……?



「おーい。それじゃ、オリエンテーションを始めるぞ!」



 そう考えていると、教員の男性が俺たちを呼びに来た。

 カトレアと目配せして移動を開始する。

 そして――。







 ――いよいよ、潜在魔力測定の順番だった。

 先にカトレアが、測定の水晶というものに手を翳している。

 するとそれは、力強く輝いて教員のみんなを驚かせた。こちらとしては意味が分からないが、戻ってきたカトレアの表情を見る限り、良い結果だったらしい。



「みて、シャインくん! 私――Aランクだったよ!」

「Aランク……。わ、一番上じゃないか!」

「えへへっ!」



 話を聞いてみると、やっぱり好結果。

 嬉しそうに笑うカトレアを見て、こちらも気合が入った。



「それでは、次の生徒!」

「あ、はい!」



 そんなわけで、次は自分の番だ。

 水晶の前に立って、手を翳すように指示を受ける。

 深呼吸をして意識を集中させると、水晶が輝き始めた。同時に身体の芯の部分が熱くなっていくのが分かる。感覚は、掴めてきたぞ……!



「ふぅ……!」



 それでは、ここからはさらに集中力を高めるだけ。

 俺は息を深く吸って、吐き出しながら、体内の熱を指先に集中させた。



 すると――。



「へ……?」



 一瞬の出来事。

 カトレアのそれよりも強く輝いたかと思えば、水晶が割れてしまった。

 教員たちはみな、目を丸くする。他の生徒たちも何事かと、口々に話し合っていた。呆然としていると教員から、震える手で結果の紙を渡される。


 そこに、書いてあったのは――。



「上限突破のため、対処法的にAランクとする……?」



 良く分からない文言だった。

 カトレアに訊いても、首を傾げるばかり。



 とにもかくにも、俺もカトレアと同じクラスだった。

 その結果だけで不思議と嬉しかったのである。







 

「史上二人目、か……!」



 でも、その時の俺は知らなかった。

 一人の教員が、こちらを見て肩を震わせていたことに……。


 


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「ざまぁはないけど、コメディに振ったお話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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