1.入学式で出会った女の子。
ここから第1章!
学園に入学します!!
――数か月後。
「えー、春麗らかな本日――」
俺は王都立魔法学園に入学した。
今はその入学式の真っ最中であり、よぼよぼとした学長が祝いの言葉を述べているところだ。場所は屋外の桃色の花びらが舞う場所。
入学する学生はみな一様に、緊張した面持ちで並んでいた。
その中で俺はひたすらに、胸を躍らせている。
「ねぇ、キミ……? すごく楽しそうだね」
「え、そうかな?」
すると表情に出ていたらしく、隣にいた生徒に声をかけられた。
見るとそこにいたのは栗色の髪をした、蒼い円らな瞳が愛らしい、小柄な女の子。ずいぶんと緊張しているのか、可愛らしい顔がガチガチにこわばってしまっていた。
俺はそんな彼女に、こう訊ねる。
「キミ、名前は?」
「え……。えっと、カトレアです」
「カトレアか、これからよろしくね!」
そして、少女――カトレアの手を取った。
すると彼女は驚いたように目を見開き、口を真一文字に結ぶ。握手した手をジッと見つめて、どこか困ったように笑うのだった。
その一連の動作に、少しだけ違和感を覚える。
しかし、その正体が分かるより先に入学式が終わった。
「それでは、今日はこれにて下校となります。気を付けてお帰り下さい」
そんなアナウンスが聞こえて、生徒たちが散開していく。
カトレアも、小さく微笑んだかと思えば手を振って行ってしまった。大半の生徒は出席した保護者と共に帰るのだが、彼女は誰もいない方向へ。
「なんだったんだろ、気になるな」
俺は少し悩んだのちに、彼女を探した。
すると――。
「おう、カトレア! 分かっているんだろうな!」
校舎の角を曲がった時だ。
しっかりと声変わりのした男子の声が聞こえた。慌てて身を隠して覗き込むと、そこにあったのはいつか見たような嫌な光景。
カトレアを取り囲むように、複数人の上級生が立っていた。
「お前の家は、俺たちの家よりも階級が下だ。だからこの学園を卒業するまでは、絶対に口ごたえするんじゃねぇぞ? 分かったな!」
その中でもリーダー格と思しき男子が、縮こまるカトレアに言う。
すると、震える少女はうつむき加減に頷こうとした。
そして――。
「はい、分かりま――」
相手の条件を飲もうと、そう口にした瞬間。
「なにをやっているんだ、こらぁ!!」
気づけば俺は、少女の声を掻き消すように叫んでいた。
間に割って入りカトレアを庇う。
見過ごせない。
これは、間違いなくイジメだった。
俺は上級生を睨み上げると、こう声を上げる。
「俺の友達に、手を出すんじゃない!!」――と。
すると背後で、カトレアが息を呑んだのが分かった。
しかし、それを気にしている暇はない。
「ほう……? まさかの『王子様』ってか?」
こちらを嘲笑う相手から、目を離せなかった。
どう考えても多勢に無勢だ。こうなったら、逃げるしかない。
「カトレア、こっち!」
「あっ!?」
だから、俺は彼女の手を取って駆け出した。
背中に上級生の笑い声を聞きながら。
◆
「追ってはこなかった、みたいだね」
「あの……」
「ん?」
街まで逃げ出した俺たちは、ひとまず広場で休憩。
すると、カトレアは申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさい。私のせいで、キミも目をつけられたかも」
深々と頭を下げる。
それに俺は、首を左右に振った。
「いいよ、無視できなかったし。もう――」
そして、こう告げる。
「俺たち、友達、でしょ?」――と。
するとカトレアは驚いたようにこっちを見て、今にも泣き出しそうな表情を浮かべた。唇を噛みしめて、小さく「ありがとう」と口にする。
俺はそんなカトレアに、改めて手を差し出した。
そう言えば、こちらの自己紹介がまだだ。
「俺の名前は、シャイン! よろしくね!」
「……うん!」
短い返事。
カトレアは俺の手を取って、愛らしい笑みを浮かべるのだった。
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