表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/8

プロローグ 少年、拾われる。

新作です。

応援よろしくお願いいたします。







「絶対におかしいじゃないか! どうして、俺がこんな目に!?」

「うるせぇ、シャイン! お前はこの村のルールを分かってないんだよ!」

「そのルールが、やってることが間違いだっていうんじゃないか!」



 複数人から暴行を受けながらも、俺は必死に訴えた。

 こんなの間違っている。他の村を襲って金品を巻き上げ、作物を盗んで生きるなんて、絶対に間違っている。

 それなのに、爪弾きにされるのは俺の方だった。



「聞き分けのない奴だな。――いいぜ? 嫌なら、出て行っても」

「…………!」



 村長の息子は、俺のことを見下しながらそう口にする。

 他の村人もみな、出ていけ、と口々に言った。俺はあまりにも無力で、どうしようもなく唇を噛むことしかできない。

 そして同時に、どうしてだ、と思う。



 間違っているのは、俺じゃない。

 間違っているのは、この村の方なのに、と。



「……分かった、出ていくよ」



 そう考えると、もう限界だった。

 生まれてから十二年。ずっとこの村で生きるしかないと思っていた。

 それでも、これ以上はもう無理だ。良心の呵責と、ふざけたルールに従わないことで受ける暴力。そんな生活を耐え続けるのは、もう嫌だった。



「あぁ! こっちも清々するぜ!」

「…………くっ」



 こちらが村を出ると宣言すると、ドッと笑いが起こる。

 そして、背を向けた俺にこう言うのだ。




「やっぱり、馬鹿の子は大馬鹿だ」――と。




 死んだ両親のことを侮辱する言葉。

 それを聞きながら、俺は一人で村の外へと出るのだった。







 それから、どれだけ歩いただろう。

 俺は森の中で疲れ果て、小さくうずくまっていた。木に背を預けて、ただただ時間が過ぎるのを待ち続ける。

 空腹でどうにかなりそうだった。

 視界もかすんで、良く見えなくなってくる。



「ふむ……? このようなところに、子供が一人で何をしている」

「……え?」



 そうしていると、声をかけてくる男性がいた。

 馬上からこちらを見下ろすその人は、見るからに高そうな服を着ている。髭をたくわえ、首を傾げているが、その顔は良く分からない。

 その人は重ねて、俺にこう問いかけた。



「何があったのだ」――と。



 俺はその質問に、少しだけ間を置いてから答える。

 これまでのことや、村のこと。そして、その村を自分から出てきたこと。すべてを話し終えると、男性は小さくうなってから、こう訊いてきた。



「なるほど……。少年よ、生きたいか」

「え……?」



 それは、あまりにも荒唐無稽なもので。

 少しだけ俺は、唖然としてしまった。

 でも――。



「当たり、前だろ……!」



 すぐに、掠れた声でそう答えた。

 こんなところで死んでたまるかと、奥歯を噛みしめながら。



「あい、分かった。ならば、少年を私の家で引き取ろう」



 すると、男性はあっさりとそう言ってみせた。

 今度は呆然とする俺。そんな俺に、男性は馬から降りて手を差し出す。




「私の名は、ダンケハイム・リーシャスだ。これからよろしく――」




 そして、こう言うのだった。




「我が子、シャイン・リーシャスよ」――と。




 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより☆評価など。

創作の励みになります。


応援よろしくお願いいたします。

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ざまぁはないけど、コメディに振ったお話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ