プロローグ 少年、拾われる。
新作です。
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「絶対におかしいじゃないか! どうして、俺がこんな目に!?」
「うるせぇ、シャイン! お前はこの村のルールを分かってないんだよ!」
「そのルールが、やってることが間違いだっていうんじゃないか!」
複数人から暴行を受けながらも、俺は必死に訴えた。
こんなの間違っている。他の村を襲って金品を巻き上げ、作物を盗んで生きるなんて、絶対に間違っている。
それなのに、爪弾きにされるのは俺の方だった。
「聞き分けのない奴だな。――いいぜ? 嫌なら、出て行っても」
「…………!」
村長の息子は、俺のことを見下しながらそう口にする。
他の村人もみな、出ていけ、と口々に言った。俺はあまりにも無力で、どうしようもなく唇を噛むことしかできない。
そして同時に、どうしてだ、と思う。
間違っているのは、俺じゃない。
間違っているのは、この村の方なのに、と。
「……分かった、出ていくよ」
そう考えると、もう限界だった。
生まれてから十二年。ずっとこの村で生きるしかないと思っていた。
それでも、これ以上はもう無理だ。良心の呵責と、ふざけたルールに従わないことで受ける暴力。そんな生活を耐え続けるのは、もう嫌だった。
「あぁ! こっちも清々するぜ!」
「…………くっ」
こちらが村を出ると宣言すると、ドッと笑いが起こる。
そして、背を向けた俺にこう言うのだ。
「やっぱり、馬鹿の子は大馬鹿だ」――と。
死んだ両親のことを侮辱する言葉。
それを聞きながら、俺は一人で村の外へと出るのだった。
◆
それから、どれだけ歩いただろう。
俺は森の中で疲れ果て、小さくうずくまっていた。木に背を預けて、ただただ時間が過ぎるのを待ち続ける。
空腹でどうにかなりそうだった。
視界もかすんで、良く見えなくなってくる。
「ふむ……? このようなところに、子供が一人で何をしている」
「……え?」
そうしていると、声をかけてくる男性がいた。
馬上からこちらを見下ろすその人は、見るからに高そうな服を着ている。髭をたくわえ、首を傾げているが、その顔は良く分からない。
その人は重ねて、俺にこう問いかけた。
「何があったのだ」――と。
俺はその質問に、少しだけ間を置いてから答える。
これまでのことや、村のこと。そして、その村を自分から出てきたこと。すべてを話し終えると、男性は小さくうなってから、こう訊いてきた。
「なるほど……。少年よ、生きたいか」
「え……?」
それは、あまりにも荒唐無稽なもので。
少しだけ俺は、唖然としてしまった。
でも――。
「当たり、前だろ……!」
すぐに、掠れた声でそう答えた。
こんなところで死んでたまるかと、奥歯を噛みしめながら。
「あい、分かった。ならば、少年を私の家で引き取ろう」
すると、男性はあっさりとそう言ってみせた。
今度は呆然とする俺。そんな俺に、男性は馬から降りて手を差し出す。
「私の名は、ダンケハイム・リーシャスだ。これからよろしく――」
そして、こう言うのだった。
「我が子、シャイン・リーシャスよ」――と。
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