第一譚 3月16日
僕は、疾患を抱えている。
病名は、分からない。けど、きっと病なんだ。
周りが、大人になるにつれ、僕の心は子供のまま。
いつしか、容姿の成長も止まって150cmで固定された。僕の人生のように。
「辞書で調べてみる。取り残される子供時代に、を
検索しても、切っ掛けは、見つからない。
もう、みんなみたいに届かない現実。
認識している現実が、重なり始めると思う」
こんな独り言を囁いても、僕の身長は、変わらないのだろう。
施設に閉じ込められたことで、現実を体験できなかった。
知識を与えられなかったから、おとなになれない。
独りだから、変わることがない。
完結する世界を、精神が作り上げてしまったんだ。
痛みを背けるために。形を誤魔化すために。自分を守るために。
生きるのが、死ぬより怖いから、
誰か僕の手錠を壊して欲しい。
それか、僕以外の人の優しさを思い出したら、
結果として、生きていけるかも知れない。
サンプル名「うたかた」投薬のお時間です。
昨日と、おなじロボットがかたかたと近付いてくる。
両手も昨日とおなじ、どうせ薬もおなじ、痛みも変わらないだろう。
、
だから、ぼくは最後の抵抗を
世界に示す
最期までの軌跡が、
人の一生を比較させる
「絶対悪」は、
痛みと欲望だと、いいのだけど