第12話 極悪の竜騎士
肉を取ろうとしたら喧嘩を売られた無法者達、彼等は兎に角舐められたら終わりなのだ。頭も悪いし腕も立たない、仲間の数と恐怖心を売り物として生活しているのだ。だから喧嘩から逃げれば次の日からご飯が食べられなくなるのだった。彼らに少しばかりの知能や腕が有ればシュガーを見ただけでヤバイ相手なのは分かるのだが、彼等は生まれつき頭が悪かった。そして彼等は田舎の領地しか知らなかったので、竜騎士の装備を付けたシュガーを見ても若い冒険者だと思い込んでいた、そしてシュガーの背中に有る巨大な大剣。彼らには持ち上げる事すら出来ない大剣を軽々と背負っている事にも気がつかないのだった。
「舐めた口叩く小僧だな! 俺達を誰だか知らないのか!」
「知らんな、どうせゴブリンの親戚か何かだろ? いや、オークの子孫かな?」
「「「「てめ~!!!」」」」
シュガーは馬鹿だが煽るのは上手いのだ、ニヤニヤ笑いながら無法者達を煽りまくる。本来なら貴族であるシュガーに逆らった時点で無法者達は殺されても王国では合法なのだが、シュガーは遊ぶのが大好きな人間だった、生まれついての肉食なのだ。
そして肉食獣に目を付けられた哀れな無法者達は頭に血が上ってシュガーに遅い掛かる。
「「「「「シネや~!!!」」」」
轟音と伴に撒き散らされる無法者達の手足、体が2つに成って吹き飛ばされる者、頭が真っ赤な霧に成って倒れる物達。シュガーの超大型の大剣は切るのでは無く相手を粉砕する為の武器なのだ。一瞬で無法者達のリーダー以外をバラバラにしたシュガーは無法者達のリーダーにニヤリと笑って話しかけた。
「おやおや、君達は脆すぎるんじゃないかね? チョット僕が剣を振っただけなのに死んじゃったみたいだよ」
「・・・・・・」
自分は剣を振っただけで、勝手に剣に当たって死んだ無法者達が悪いと言わんばかりのシュガー。仲間を殺された無法者のリーダーは本物の悪人を初めて見た様だった。小銭をせびったり、女を脅して犯したりする事以外はした事が無い無法者は本物の戦士の冷徹さが心底怖かった。目の前の男は人を殺すのが仕事なのだ、小悪党とは違う本物の悪党なのだ。
「シュガー様!」
「何だいコア? やり過ぎたかな」
「食事中です! 埃を立てないで下さいませ!」
「あっ・・・・・・ごめんなさい」
無法者がバラバラに成っている場面でも平然と焼肉を食べているコア、そしてバラバラ死体を見て吐いている子爵様。シュガーも怖かったが無法者はコアがシュガーよりも更に恐ろしい人間に見えた、見た目は綺麗な女性なのだが、死体が転がっている場所でも平気で飯が食える歴戦の兵士の様だった。
「おい、お前達のせいで怒られたぞ! どうしてくれるんだ」
「勘弁して下さい、絶対に逆らいませんから」
無法者のリーダーは必死でシュガーに謝罪する、無法者はシュガーの様な人間には理屈は通用しない事を知っていた。気分次第で自分達の様な弱者は殺されるのだ、そして直ぐに忘れられる、シュガーにとって自分達の様な社会のゴミは虫けらと同じなのだ。
「そう言えば、何しに来たの? 子爵の知り合いみたいだけど」
「・・・・・・え~、あの・・・・・・その」
シュガーに答えたいが、正直に話せば殺されそうなのでしどろもどろになる無法者、どうやら悪党の癖に死ぬのが怖い雑魚の様だ。本物のプロの悪党は死ぬこと等何とも思わないから怖いのだが、所詮使い走りの雑魚悪党であるこの男は自分の身が可愛い様で有った。
「シュガー様、その様な雑事は私にお任せを」
「それじゃあ頼むよコア、僕は面倒な事は苦手だもの」
少し暴れて気分が晴れたシュガーは、鉄串を握ったコアに無法者を任せる事にした。コアは戦闘も料理も完璧にこなす優秀な相棒なのだ。
「さて、あちらで少しお話をしましょう。ふふふふ、逃げたければどうぞご自由に・・・・・・最も逃げても地獄の果てまで追いかけますが」
「うわ~嫌だ~! 助けてくれ~!!」
ニコニコ顔のコアに引きずられてドナドナされる無法者、シュガーには見せられないのか森の奥の方へと連れて行かれた。それから5分ほど悲鳴が聞こえて居たが、段々悲鳴が小さくなりそして聞こえなくなったのだった。
「あの~シュガー様、あの悲鳴は一体・・・・・・?」
「ああ、あれはコアが無法者に教育をしているんだ。きっと今までの生き方を反省していると思うよ、まあ今更後悔しても遅いけどね。僕と違ってコアは容赦しないから」
「あの~あの連中が帰らないと仲間が大勢やって来ますが大丈夫でしょうか?」
「大勢って何人位? 1万人位いると面倒だな、殺すのに1日掛かるから」
「そんなには居ないと思います、200人位でしょうか」
「185人ですシュガー様」
「おや、情報は取れたのかい?」
「あの者が知ってる情報は全て聞き出しました。仲間の数、アジト、そしてアイツ等の頭の名前」
約10分ほどで無法者から情報を聞き出したコアは流石に優秀だった、まあ無法者の姿が見えないのは愛嬌って奴だろう。何でも人間の死体が肥料になった木は綺麗な花が咲くらしいから、あの無法者も世の中の為に成って満足するであろうな。生きてても誰の役にも立たないが死ねば肥料になれるのだから。
「で? あいつ等何しに来たの?」
「子爵印を取りに来たそうです、それが有れば合法的に何でも出来ると言う話でした」
「へ~、領主の印鑑を使って何するんだろうね?」
「それが有れば徴税や人間の移動、そして罪人を裁く事等何でも出来ます、それも全て合法的に」
「あ~成程、国に仕えている連中の真似するつもりなんだね。小悪党の考えそうな事だね」
「あ~、良い事考えついたよ。子爵様、判子貸して、コアは羊半紙出して」
シュガーは物凄く悪そうな顔をすると、コアが差し出した羊半紙に何やら書き出した。子爵は家の中の何処かに隠して有った子爵印を持って来た、これは貴族にとって非常に大事な物なので隠していた様だった。
「シュガー様、それはチョット問題が有ります!」
「え~、どこが? 子爵の判子も有るし、僕の騎士のサインも有るから王国の正式な証文だよ」
「金貨1億枚シュガー様に借りましたって言う所が変です! こんな辺境に金貨1億枚も有りませんから、精々1万枚位に書き直して下さいませ!」
どうやらシュガーは子爵の判子と自分のサインを使って偽の証文を作ってる様だ。偽と言っても子爵と竜騎士のサインが有れば公式な証文を作れるので、相手が幾ら文句を言っても王国では有効なのだった。
「さて子爵様、お金を取り返しに行こうか! 取り返したら半分あげるからね!」
「は・・・・・・はい」
ニコニコ顔で偽造した証文を振り回すシュガー、これから悪党のアジトに行って金貨を奪い取るつもりの様だ。シュガーに目を付けられたらもう御終いなのだ、それを辺境の人間達は今日知ることになる。




