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斜め上の竜騎士  作者: ぴっぴ
第1章 竜騎士候補生
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第1話 竜騎士候補生

 龍の帝国と呼ばれる国が有った。この国は魔族に対抗出来る唯一の国で人間の最後の砦と呼ばれていた。そしてこの国を守るのはドラゴンと共に戦う兵士達、彼らはドラゴンの背に乗り戦うので竜騎士とか竜騎兵と呼ばれていた。そして彼らは帝国中の兵士を集めても全部で100人しか居ないと言うエリート達で有る。その中でも最強の火龍に乗る竜騎士は竜騎士団の団長として帝国騎士の頂点に立っていた。そして竜騎士とは龍に選ばれた人間だけがなれる帝国に住む人間の憧れの職業でも有った。

 そんな帝国の有る竜騎兵候補生の話が今始まる。


「なんだなんだ、情けないぞ! それでも竜騎士候補生か~!」


「は~、は~、もう無理!」


「そんな事で竜騎士になるつもりか、あとグランド10周!」


「うぐ~」


 現在龍の帝国の戦闘演習場では竜騎士候補生5名がグランドを走らされている、彼等は2年間の候補生生活を送って、竜騎士になることが国の法律で決められているのだ。彼等竜騎士候補生は朝から晩まで苦しい訓練を受ける、何といっても竜騎士は国のエリートであり、国を守る要なのだ。


「ミラー候補生! 遅れてるぞ」


「うぐ!」


「根性無しが! そんな事で国が守れるか! 死ぬまで走れ馬鹿者~!!!」


「え~と、シュガー候補生」


「何で有りますか教官殿」


「そろそろ休ませても良いんじゃ無いかな? もう2時間も走ってるし・・・・・・」


「何をおっしゃいます教官殿! 竜騎士は国の防衛の要で有ります。2時間走った位で根を上げるとは言語道断! 1週間ほど不眠不休で戦えてこそ、当たり前でございましょう!」


「「「そんな無茶な~!」」」


「黙れ! たるんでるぞ貴様ら~!! やれば出来る何事も! そうで有りますね、教官殿」


「えっ、いや・・・・・・違うかも」


 キ~ンコ~ン カンコ~ン


「「「おおお~、昼休みの合図だ、助かった」」」


「よし! 皆上がれ、昼飯を食って来い」


「「「「ハイ! 教官殿」」」」


「待て貴様ら、何処へゆく。まだ訓練の途中だぞ! 戻ってこい!」


「シュガー候補生、お前も昼飯を食って来い。昼からは座学だぞ」


「了解で有ります教官殿! シュガー候補生は昼飯に突撃であります!」


 教官にビシっと敬礼をして走ってゆく候補生、彼は移動する時は常に駆け足である。ヤル気が有りすぎる候補生、彼こそはかの有名なシュガー候補生で有る。


 竜騎士候補生は兵士達と同じ場所で昼飯を食べる、周りは龍の帝国の兵士達ばかりだが、将来のエリート候補生にちょっかいを掛ける兵士は誰も居なかった。


「う~、全然食欲がわかない」

「40キロも走った後で昼飯なんて無理」

「ちくしょ~シュガーの奴、覚えていろよ」

「ちょっと、シュガーにガツンと言ってやってよ。あんた貴族の息子でしょう!」


 竜騎士候補生4人はとても中が良かった、普通はイジメとか、生まれの差とかでバラバラに成るのだが、今回は4人の天敵シュガー候補生のお陰でまとまっているのだ。


「おや、僕も同席しても良いかな?」


「「「「ああ・・・・・・」」」」


「どうしたんだい、君達? 食べて無いじゃないか、食べるのも候補生の仕事のうちだよ」


 フルマラソンをしたあとで食欲の無く成った候補生4人を尻目に、シュガー候補生はバクバク食って何時もの様に3分で完食してしまった。


「ごちそう様でした」


「「「「早!」」」」


「早飯は兵士のたしなみだよ。戦場では時間を掛けて食事をするわけにはいかないからね」


「それはそうだけど・・・・・・」

「ここは戦場じゃね~から、ゆっくり食えよ。育ちが知れるぞ!」


「ワハハハ、僕は貧民上がりだからね、食べるのは早いんだよ。早く食べないと取られちゃうからね」


「では又午後の授業で会おう!」


 何時もの様に3分で食事を済ませたシュガーは駆け足で何処かに走ってゆく。どこに行くのか誰も知らないが、誰も彼に追いつけないので彼の行く先は誰も知らなかった。もっとも誰も興味を持って居なかったので気にする者の居なかったのだが・・・・・・


 そして今日は午後から座学。竜騎士は国の代表なので高い教養と知識を求められるのだ、だから普通の兵士よりも教養や礼儀作法等の授業も受けなくては成らない。


「はい! 今日の授業はここまでです、何か質問は有りますか?」


「ハイハイハイ! 先生」


「何もないようですね、では今日はここまでで終わりますね!」


「ハイハイハイハ~イ! 先生~!!!!」


「では又来週! ご機嫌よう」


 そして講師の先生は走って帰って行った。勿論質問したのはシュガーである、これまた何時もの光景であった。


「おい、シュガー。先生を虐めるのはやめろよ。可哀想だろ」


「なんで? 僕は全然分からないから質問してるだけだよ」


「全然一つも分からないってイジメだろ! 全く話を聞いてないしな」


 シュガー候補生はあまり座学が得意では無かった、それに余りに正直過ぎたのだ。大きな声で分からないと言い、先生を質問攻めにして教室から返さないので今では教師は怖くてシュガーに話題を振れなく成っていたのだった。


 これはこう言う、全然融通の効かない竜騎士のお話。

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