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番外編「いつかの都にて」

本編よりずっと未来の、いつかの都であった出来事。


「なあ、紫文(しもん)くんや。そろそろ家に帰ってやったらどうだ?」


 午後の穏やかな日差しの中、福兵衛がこぼした言葉に、黒髪に狐耳を生やした少年————紫文は不満げに口元を歪めた。


「……嫌だ。まだ帰らない」


 縁側に横たえていた身体を起こして、紫文はぷいっと福兵衛から顔を背ける。


「だが、椿ちゃんが心配しておったぞ。それに、お前がここに来てもう二日になる。そろそろ紫白が連れ戻しに来るやもしれん」


 福兵衛は困り顔のまま、紫文の隣へ腰を下ろす。


「怒られて無理やり連れ戻されるより、自分から戻った方が良いのではないか?」


 そう諭されて、紫文はぐっと言葉につまった。

 確かに、紫文が家出を決行してから日が経っている。「椿を困らせるなんて、悪い子ですね」と静かな怒りをたたえながら、自分を連れ戻しに来る父の姿が鮮明に思い浮かび、紫文は深い深いため息を吐いた。


「母さんに心配かけるのは悪いと思ってるよ。でもさぁ、ぼくだって家出したくてした訳じゃないの。父さんがあんまりにもあんまりだし、母さんもアレだし、耐えられなくてじいちゃん家に来たんだよ」


 分かってくれるでしょ?と福兵衛へ問いかければ、彼は歯切れの悪い様子で苦笑を浮かべる。

 福兵衛も分かっているのだ。今回の件は両親にも非があると。


 二日前の朝、紫文が家を飛び出したのに深い理由はない。あるのは、馬鹿らしくなるような惚気話だけだ。

 父と母は昔から仲の良い夫婦であった。仕事も家事も協力して行うし、十分な愛情をもって、紫文を育ててくれた。時に優しく時に厳しい二人は、紫文にとって自慢の両親である。

 けれど、そんな両親に対して、紫文はどうしても我慢ならないことがあった。

 それは、仕事中ではない家の中での、二人の言動についてだ。


 例えば、仕事へ行く前に

「はぁ、今日は遠方の信者の方の家まで出向かなくてはいけません……。帰りが遅くなりそうです。椿、僕に元気を下さい……」

「ふふ、仕方ないなあ……んっ」

「っ、ふ……。ありがとうございます。今日も頑張れそうです!」

と、長めの接吻を交わしたり。


「紫文、今日の稲荷寿司とっても美味しく出来たと思うんだけど、食べてみて」

そう母に差し出された稲荷寿司を紫文がほうばっていると、

「紫文ばかりずるいです。椿、僕にもあーんして下さい」

「もう、紫白ってば……。はい、あーん」

「ふふ、やはり椿の作る稲荷寿司は最高ですね」

と、紫文に張り合うように父が割り込んで来たり。


 その上、この前の朝食時ときたら、

「椿、今夜この子達が寝静まったら……良いでしょうか?」

「え!? あ……、うん、もちろん」

と、紫文と妹のいる前で話しだす始末。


 このように、家では常時、甘いあま〜い会話が繰り広げられているのである。

 妹が生まれて落ち着くまで、一年と半年そこそこ。父が母の体調を思いやり、普段より触れ合いを控えていたことには気づいていた。

 だが、大丈夫だろうとふんだ途端、今までの反動のようにあっちでいちゃいちゃ、こっちでいちゃいちゃ……。

 よそでやれとは言わないが、朝食の席で話す内容ではないし、せめて子供達の見てないところでやれ。砂糖のような言葉を吐く父も、それに対して頬を染める母も息子は見たくないんだわ。

 そのようなことを考える程度に、紫文はませた子供であった。

 紫文は死んだ魚の目をしながら、いつもの三割り増し甘い気のする卵焼きを飲み込んだ。

 そして、沸々と静かに湧き上がってきた怒りのまま、

「もう! いい加減にしてよ!!」

と捨て台詞を吐いて、家を飛び出したという訳だ。

 流石に見知らぬ土地に行くわけにもいかず、福兵衛の好意で現在、福兵衛宅に厄介になっていた。


 一人残して来た妹には悪いが、紫文はまだあの空間に戻りたくなかった。妹はまだ両親の会話の意味を理解できる歳ではないから、勘弁してもらいたい。


「それに、父さんばっかりずるいや。……ぼくだって母さんにかまって欲しいのに」


 赤子を身籠った母に負担がかからないよう気をつかっていたのは、紫文だって同じだ。

 ぼそりとこぼした声を聞き取ったのか、福兵衛は微笑ましいものを見る目で紫文を見る。

 そして、やんわりと紫文の頭を撫でた。


「紫文くんは偉いな。とっても気づかい屋さんだ。だがな、あの二人は少々鈍いところがある故、言葉にして伝えなければ分からないこともあるやもしれん。一度、紫文くんの思っていることを話してみてはどうだ?」

「…………」

「……あの二人は紫陽花が好きだったはずだ。ちょうど見頃の紫陽花があるから、少し持っていくといい。きっと喜ぶ」

「……うん」


 福兵衛に諭され、逡巡したのち頷く。

 会話のきっかけになるようにと、福兵衛から手渡された庭の紫陽花を大事に抱えて、紫文は福兵衛宅を後にした。



*******



 とりあえず家に帰るとは言ったものの、やはり気は重い。

 家までの道のりを遠回りで歩いていると、この辺りでは見たことのない狸が、道の端に転がっているのが見えた。


「あ! もし、そこの方……」


 豆狸というのだろうか、小さな狸は紫文と目があった瞬間、涙目でこちらへ手を伸ばしてくる。


「あの、おたすけくださいまし……」


 厄介ごとの気配に立ち去ろうとして、「ちょっと! なんで去ろうとするんですかぁ〜〜!!」とぼろぼろ泣き始めた狸が、紫文の足元へ勢いよく転がって来てぶつかった。

 足首にしがみつかれて、身動きがとれない。


「ちょ、何!? 離して」

「お願いです、行かないで! わたし、もうお腹がへりすぎて力が……きゅう」


 わあわあと騒ぎ立てた狸は、急に静かになった。

 お腹が空いたというのは本当のようで、気を失った様子の狸の腹からは、ぐ〜きゅるるると絶え間なく音が鳴り続けている。


「もう、なんだっていうんだよ……」


 先程から道行く人の視線が痛い。

 紫文は仕方なく、紫陽花を片手に持ち直し、空いた方の手で狸を小脇に抱えた。

 連れて行くのは馴染みの茶屋だ。


 紫文は店の前に座る猫又に挨拶し、奥の方の席へ腰掛ける。

 そして、最近腰を痛めて療養中の女将に代わり、店番をしている化け猫へ注文を頼んだ。

 紫文が母に聞いた話では、この化け猫の女性は猫又の友人なんだとか。人語を話さない猫又とは違い、彼女はとてもお喋りだ。


「あらあら、まあまあ! 紫文くんじゃにゃいの。今日はどうしたの? お父さんとお母さんは?」

「今日はぼくだけ。それより、この子に腹持ちのよさそうなやつちょうだい。お腹の減りすぎで、行き倒れてたんだ」

「まあ、可愛らしいお友達じゃにゃいの。わかったわ、腹持ちの良い品ね。少々お待ち下さいにゃ〜」


 化け猫は猫耳と尻尾を揺らしながら、機嫌良く店の奥へ消えて行く。

 少しして、甘い香りが店内に広がり始めた。隣で眠っていた狸の鼻がひくひくと動き出し、ややあって「ふがっ!?」と目を覚ます。


「甘やかなよき香りがします〜」

「うん。とりあえず、よだれふいたら?」


 幸せそうな表情の狸の口元には、先程まで流していた涎の痕がついている。「はわ、お恥ずかし〜」と狸が涎を拭っているうちに、香りの発生源が紫文達の前へ運ばれて来た。


「お待たせしにゃした、ぜんざいですにゃ〜。お餅大盛りにしておきましたにゃ!」


 紫文は化け猫へ軽く会釈すると、目を輝かせている狸にそれを食べるよう促す。

 狸は一瞬、本当に食べていいのか紫文へ目で尋ねたものの、誘惑には勝てなかったらしい。

 勢いよくぜんざいを啜り始めた狸を見ながら、紫文は疑問の声を上げた。


「それで? なんであなたは、あんな所で行き倒れてたの? あ、それ飲み込んでからでいいから……うん」


 はふはふと器に顔を突っ込んでいた狸が、「んぐぅ!?」と苦しそうな声を出したので、落ち着くのを待って返答を促す。

 狸はつまりかけた餅をお茶で飲み込んでから、口を開いた。


「ふ〜、失礼しました。わたしが行き倒れていたのは……まあ、簡単に言うと迷子になってしまったからなのです」

「迷子?」

「はい。遠くの山からはるばる都へやって来たものの、慣れない人混み、見知らぬ広い土地。持ってきていた食料もそこを尽きて……疲れと空腹で変化も解けてしまい、もうダメだと諦めかけていたところを、あなたさまが助けてくださったのですよ」


 本当に助かりましたと口にする狸は、先程の自分の言動を覚えていないのかもしれない。

 助けたというか、助けることを強要された気がするのだが、まあ感謝されて悪い気はしないなと紫文は思った。

 ぽり、と頬を掻き、紫文は世間話のつもりで話を続ける。


「ふーん、遠いところから何でわざわざ都へ?」

「あ! それ、聞いてくださいます!?」


 前のめりに身体を机から乗り出した狸に、紫文は余計なことを言ってしまったかもしれないと口をつぐんだものの、後悔先に立たずである。

 紫文はこの後一時間以上、押しの強い狸の話を聞き続けるはめになった。



*******



 げんなりしながら歩くこと数十分、紫文は当初の目的地であった神社の前にいた。

 片腕の中には、疲れたので運んで欲しいと言ってきた豆狸を抱えている。


 茶屋で聞いた狸の長話をまとめると、彼女は最近日照り続きで元気のない森を救うべく、旅の巫女から教えてもらった、水の加護を与えてくれるという神社を探しに都までやって来たのだという。

 神社の特徴は、祭神が仲の良い夫婦神であり、男神が天狐の化身とされていること。

 その神社に思い当たる節しかない紫文は、頭を抱えた。

 あわよくば知らないふりをしようと考えたものの、めざとい狸は紫文の反応にハッと目を輝かせ、

「もしかして、知ってるのですか! 連れてってください〜。ね、お願いですよ〜ぅ」

と、うるうるした目で訴えかけられ、断りきれずに現在に至る。


 もともと、家に帰るつもりではあった。

 けれど、心の準備も出来ないまま帰るはめになるなんて。まるで、何かの強制力でも働いているかのようだ、と紫文は思う。それこそ、天の神様の力とか。


「さ〜、さぁ〜、行きましょう! 逢魔時までに行かないとしまっちゃいます〜。ほんとは午の刻までに来たかったんですけど、迷っちゃったんだから仕方ないですよねぇ〜」

「あのさ、いい加減に自分で歩きなよ! いくらちっちゃいからって、重さがある以上ぼくも疲れるんだけど!」


 腕の中でジタバタと手足を動かす狸に、やや語気を荒げてそう言えば、狸はぴゃっと頭を丸めて「ごめんなさいです……」と俯く。

 しかし、次の瞬間には元気を取り戻して、するりと紫文の腕から抜け出した。


「ありがとです、狐のおにいさん! 流石に神様の前で狸のままは失礼かもなので、人に化けるのです!」


 えいやという掛け声と共に、白い煙が立ち昇り、豆狸が小柄な少女へと姿を変える。


「な!? 歩けるんなら初めからそうしろよ!」

「ひゃ〜、ごめんなさ〜い!」


 軽やかに駆けていく少女の後を追い、鳥居をくぐれば、見慣れた母の背中が見えた。

 母は柔らかな笑顔で少女に対応すると、少女が目的としていたであろう、水の霊力が込められた護符を手渡す。

 少女は母と何事か話すと、感激したように涙を浮かべた。

 母を拝む少女と、そんな彼女に困惑する母。

 完全に入る機会を失ってしまったな、と紫文が鳥居の前で佇んでいると、馴染みのある大きな手が紫文の頭に触れた。


「やっと帰って来たんですか。全く、椿を心配させるなんて悪い子ですね」

「父さん……」


 顔を上げれば予想通りの言葉を紡ぐ父と、父の腕の中に抱えられた妹の姿。

 紫文は何と声をかければ良いか悩んで、父の目から視線を背けたまま口を開く。


「父さんは……母さんのこと好きすぎだと思うよ」

「は、「おにいさ〜ん、案内してくれてありがとでしたーー! またお礼参りに来ます〜。今度はみたらし団子が食べたいです〜!」」


 呆気に取られたように発された父の言葉に被せて、狸の少女が紫文へ手を振った。

 彼女のせいで消えたお小遣いを想いながら、「今度はちゃんとご飯代も持ってきなよ」と手を振り返せば、少女は黙って微笑む。

 あれは絶対、今度も紫文に奢らせる気だ。紫文はこめかみを抑えた。

 豆狸姿にもどって四足歩行で鳥居の先へ走っていく少女を見送っていると、紫文に気づいたらしい母が早足でこちらへ向かって来る。


「紫文! 帰って来てたんだ。さっきの子はお友達?」

「友達っていうか、成り行きで連れてきたここの参拝者っていうか……」

「そうなの? でも、次に会う約束をしたなら、それはお友達でいいんじゃない?」


 嬉しそうな母の言葉に、紫文は少し考えてから頷く。

 とてもお喋りで押しの強い狸ではあったが、まあ、たまに会う分には話しても良いかも知れない。友達の定義なんて、ゆるくていいと福兵衛も言っていた。

 紫文が心の中でそう納得していると、先程話を遮られた父が、母を窘める。


「椿、紫文が帰ってきて嬉しいのは分かりますが、何故家出したのか本人の口から聞きませんと……」

「あ、そうだったね」


 二人が紫文の顔を見て、静かにその答えを待っている。

 紫文は両親と目を合わせると、意を決して口を開いた。


「母さんと父さんの仲が良いのは知ってるよ。良いことだとも思う。……でも、でもさ限度があると思うんだ」

「限度、ですか……?」

「うん」


 疑問の声を上げた父を一瞥し、紫文はここ最近の日常を思い浮かべながら言葉を紡ぐ。


「毎日毎日、いちゃいちゃべたべた……。一昨日の朝なんてとくに最悪。ぼく達の目の前でいやらしい話するのはやめて欲しい。両親の夜の事情とか知りたくないし、牡丹(ぼたん)のじょうそう教育?っていうのにもよくないと思う」


 父の腕の中にいる妹を見やれば、何も理解していない様子できゃっきゃっと笑っている。

 両親は、揃って顔を見合わせた。気まずそうな表情の母が、憮然とする父を小突く。


「ご、ごめんね、紫文。まさか、あなたがそんな事思ってたなんて知らなくて……」

「僕らの会話から、一体何を想像してるんですか。この、助平」

「こらっ、紫白! あなたが場所も考えずにあんなこと言ったのが原因なんだからね。ちゃんと紫文に謝って」


 母に促され、父はやや納得がいかない顔で紫文へ謝罪の言葉を述べる。


「はぁ……、すみませんでしたね。でも、家出するほどのことでしょうか?」

「もう! 家出するほどだったから、二日も福さんのところにいたんだよ。今度お礼の菓子折り持っていかなきゃ」


 今度は母が父を嗜めて、そして母も紫文へ向け「ごめんなさい」と口にする。


「私がもっと紫白を止めれば良かったね。つい、雰囲気に流されてしまって……。確かに情操教育に良くなかったかも。ごめんね、紫文。今度からは気をつけるから……、許してくれる?」


 紫文はその言葉に答えるかわりに、ずっと後ろ手に持っていた紫陽花の花束を差し出す。

 そして、"言葉にしないと分からないこともあるぞ"という福兵衛の言葉を思い返し、ずっと言えなかった想いを口にした。


「母さんと父さんが仲良しなのは良いんだよ、本当に……。でも、たまには、ぼくのこともかまって欲しい」


 気恥ずかしくて、尻すぼみになる言葉。

 紫文が思わず紫陽花で自分の顔を隠せば、暖かな体温が紫文を包み込んだ。


「重ね重ねごめんね、紫文。母さん達、紫文が良い子でしっかり者だから、つい甘えちゃってたのかもしれない。あなただって、まだこんなに小さい子供なのにね」

「母さん……」


 紫陽花ごと抱きしめられて、安心感から紫文の瞳に少しだけ涙が滲んだ。

 背後から躊躇うような気配がして、ややあって別の体温が紫文の頭を撫でる。


「寂しかったなら、初めからそう言いなさい……。貴方が家を出て行って、心配していたのは何も椿だけじゃないんですよ」

「紫白ったら、素直じゃないんだから。紫文が家を飛び出して行った後、急いでどこに行ったか探してたくせに」

「ちょっと、椿! それは言わない約束だったじゃないですか!」


 両親のやりとりに、紫文は気づかれないよう鼻をすすってから、

「家出して、ごめんなさい……。ただいま」

と呟いた。


「おかえり!」

「おかえりなさい」


 両親が嬉しそうに紫文を出迎え、ちょうどよく妹の笑い声が響く。

 紫文から紫陽花を受け取った母が、長い黒髪をなびかせながら、にこにこと微笑んだ。


「お花ありがとう、紫文。紫陽花かぁ、昔を思い出すね」

「そうですね。あの頃の貴女は幼い容姿ながら、とても可憐で美しかったです。勿論、今の貴女も充分すぎるほど素敵ですけど」

「も、もう、紫白ってば。……あ、そうだ紫文。お腹空いてない? あなたの好きな揚げ出し豆腐を作ってあるの」


 また甘い空気を漂わせ始めた両親に、紫文が白けた視線を送っていると、母が話題を変えようと紫文の方を見た。


「紫白と二人で作ったんだ。ね、紫白!」

「ええ、貴方の好きな甘めの油揚げを使ったものです。好物を食べて、今日はたくさん僕らに甘えるといいですよ」


 二人が紫文を見る目は、とても優しい。紫文は、自分のやさぐれた気持ちが解けていくように感じた。

 俯き気味に「ありがとう」と頷く。

 そしてあることを思い出し、ハッと顔を上げた。

 紫文には、もう一言だけ、両親へ物申しておかなければならないことがあるのだ。


「あのさ、一つ言い忘れてたんだけど……。ぼく、まだ当分次の弟妹(きょうだい)はいらないからね」


 釘を刺すような紫文の言葉に、父と母は再び顔を見合わせ、


「「善処します」」


と口にしたのだった。



<小ネタ>

*豆狸に神社のことを教えた旅の巫女は、例の桜色の髪の彼女。各地へ山神信仰を広めつつ、困っている者を助ける旅を続けている。側には長年連れ添ったぶっきらぼうな彼もいる。


*紫白と椿の子供は二人とも霊力持ち。普通の子より、産まれるのも成長するのも遅めだと思われる。

紫白と椿の外見がうまいこと混ざっており、

紫文→黒髪に紫の目。

牡丹→白髪に赤い目。

あと、霊力持ちの赤子をみれる医師がほぼおらず、忍が定期的に往診に来て成長具合をみている。

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