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誰も信じれない  作者: Ryu
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私を信じなさい!

          人は誰もが嘘をつく


 そんな当たり前なことを誰もがわかっていることである。


 だがこの世の人間たちはそんなことに気づいていないふりをしている。

 

 それはなぜだろうか?答えは簡単だ。


          自分の事を守るため

 

 嘘に気づいてしまえば、今ある関係が壊れることがある。今ある立場もなくなることだってある。


 それを人はとても恐れている。だから気づいていないふりをするのだろう。


 そうだから俺「中屋朝陽」は誰かを信じることはできないと思うのだ。


 

 高校2年生であるわたくしは次のテストのために図書館で勉強をしようとしつつ、運命的な出会いを待っていた。


 まぁ〜図書館で勉強をしている理由は、2人しかいない友達が2人とも部活をしているためである。


 べ、べつに寂しいから、図書館で勉強している訳じゃないんだからな!


 と誰に言い訳するわけでもなく、ただ勉強をしていた。


 「もうそろそろ帰るか〜」


 今日も運命的な出会いなしかと思いつつ、夕飯の買い出しをすべく図書館を出た。


 「そこのあなた」

 

 「…」


 「…」


 「なんで無視するのよ!」


 「あ〜俺に言ってたんですか」


 「そうよ。なんか文句あるかしら?」


 「別に。でなにか用ですか?ティシュならいりませんよ」


 「違うわよ。あんた、私のこと知らないの?」


 「さぁ…誰ですかね?あなた」

 

 さて本当に誰だろうか。全く見覚えがないぞ…


 引っ越ししていなくなった幼なじみとかか

いや、俺には幼なじみはいなかったはずだ。じゃあ本当に誰だ?


 「俺と同じ制服…」


 「そうよ。私はあなたと同じクラスに転校してきた

'天堂凛'よ」


「そういえば居たな。転校生」


 確かあれは2週間前ぐらいだっけか…。なんかクラスのやつが騒いでいたが、あんま気にしてなかったな。


 「あんただけ一度も話かけてこなかったじゃない」


 「はい?」 


 「とぼけるんじゃないわよ」


 「マジで意味が分かんないんですけど」


 「この絶世の美少女である私に話かけてこないなんて、そっちのほうが意味がわからないんじゃない?」


 なるほど〜。これは本当に意味のわからないことになったぞ。

こいつ、自分で自分のことかわいいとか言ってるし。


 いや、待てよ。確かにこいつは普通にかわいいぞ。

さぁ…どうする中屋朝陽。考えろ〜、考えろ〜


 「じゃあ、これであなたの用事は済みましたね。ではまた学校でお会いしましょう。それでは〜」

 我ながらうまいかわし方だったな。さて、さっさと夕飯の買い出しに行くとするかな。


 「待ちなさい」


 「まだ何かあるんですか?」


 「あなた、この後なにかあるかしら?」


 「いや、べつに…」

 待てよ。これはデートに誘われるパターンじゃないか。

まぁ、こんなナルシストに限ってそれはないか。


 「なら、これから遊園地に行くわよ」


 「…はい」

 流れに任せて返事したけど、これ返事しちゃいけないやつじゃね。


 「もう夕方なんだけ……」


 「さぁ、行くわよ!」


 「人の話、最後まで聞いてよ〜」


 

 そして美少女 天堂凛 との謎の遊園地デートがはじまったのだった。


 

 

 「着いたわよ」


 「えーと、ここはどこですかね…」


 「ここは、どこかしら?」


 「あんたもわかんないのかよ」


 「名前で呼んで…」


 「なんですか?」


 「なんでもないわよ」


 「そんなふうに言ったほうがきになるんですけど」


 「だからなんでもないってば…」


 「だから、そんなふうに言うと…」


 「だ.か.ら、あんたじゃなくて、名前で呼んでって、言ったのよ。」


 「……」


 「なんで黙るのよ?」


 「いや、外見以外ではじめて可愛いと思っちゃったから…」

 

 これは本当にドキッとしてしまった。いや〜いかん、いかん。

しっかり深呼吸してから、


 「ほら行きましょう。遊園地」


 「ちょっと待ってよ。ねぇ〜、ねぇ〜ってば〜」

 という彼女は少し頬が赤かった気がした。


 中に入るとなんだか見たことあるものばかりあった。そして思い出した。一度だけ両親と来たことがあると…。


 「わぁー、とっても広いのね〜」


 「で、どれから乗ろうかしら」


 「……」


 「ねぇ、なんで無視するの?」


 「あっすみません。ちょっと考え事を…」


 「こんな美少女とデートしてるのに、私以外のことを考えていたのかしら?」


 「そうですけど」


 「むぅ〜そこは嘘でも'あなたのこと考えていました'って言いなさいよね」


 「はいはい、すみません。で、どれ乗ります?」

 


      


こうして2時間ほどたった時に急に彼女が立ち止まった。

 

 「どうしたんすか?」


 「ちょっと話があるのよ」


 「手短にお願いしますよ」


 「やっぱり私あなたのこと好きだわ」


 「はぁーそうだと思ったんだよな〜」


 「えっ、どういうこと?」


 「なんかの罰ゲームですか?」


 「はぁ…」


 「だっておかしいと思ったんすよ。こんな美少女が俺とデートしている時点もわかってましたよ。」


 「いえ、私は本気よ!」


 「またまたご冗談を。罰ゲームは成功したとでも言っといてください。では今日はこのへんで…」


 そう言って帰ろうとした俺の腕を彼女は力強く止めた。


 「なんで帰ろうとするの!」


 「私は本気って言ってるじゃない!」


 「なんで信じてくれないので!」


 彼女はずっとこの3つずっと繰り返していた。なんで俺がこんなに人を信じられないのかそれは…。


 まだ小学生だった俺は両親に捨てられた。俺は別に捨てられたから人を信じられないんじゃなく、その理由のせいでこうなってしまったのだろう。


 その理由は 


 俺は家族と遊園地に来ていた。普通の家より少しお金のなかった俺たちは初めての遊園地を楽しんでいた。そして家族である約束をした。それが、


 「これからもずっと家族で幸せに過ごしていこう」と

 だが、それも打ち捨てられることになる。遊園地からの帰り、俺たち家族は事故にあった。両親と'お腹の子'は無事だったが、俺だけは怪我をした。それも重症と言われるものだ。


 両親はすぐ救急車を呼んだ。俺はすぐに手術が必要だったらしい。だが親はためらった。なぜならその手術が自分たちでは到底払えないものだからだ。そして両親は俺を見捨てた。俺はその後どうなったかわからない。でもなぜか生きている。



 といつの間にか彼女に語っていた。彼女は何か決意したような顔していた。

 

 「これでわかっただろう…こんな目にあったから俺は誰も信じれないんだよ!」



 「十分わかったわ…」


 「なら今日からは私を信じなさい!」


 「はぁ…話聞いてた?」


 「聞いてわよ。聞いてた上で言ってるの。私はあなたを信じてもらえるように努力するわ。だから私を信じられるように努力しなさい」


 「……いいのかよ。こんな俺で…」


 「そんな君がいいのよ」


 「いいぜ。やってやる。お前を信じれるようになってるやる!お前と付き合ってやるよ!」



 こうやって彼女とお付き合いが始まったのだった。


 


 「こいつなら信じていいかもな……」


 「今なんて?」


 「なんでもな〜い」

 

  

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