7
「さて、新入生諸君。彼等のスピーチからも感じ取ったことがあっただろう。我が校の鉄則。切磋琢磨し、君達がより成長してくれることを祈る。これにて歓迎の挨拶は以上だ」
園上校長の挨拶が終わると、一般教諭らしき男が壇上に現れた。
「初めまして。私は1年1組の担任をする最上です。では続いてクラス発表をします。皆さんの各成績を基に協議の上、割り振らせていいただきました。クラスは1組から8組まであります」
「お~!いよいよクラス発表か!待ちくたびれた~!同じクラスだと良いな!」
「そうだね」
とりあえず平和なクラスに割り振られることを祈るばかりだ。
「…が、その前に、当校の大事な決まりについて周知させていただきます。後程各クラスで学級委員を決めてもらいます」
「学級委員か~。ちょい楽しそう!」
「やるなら図書委員とかの方が良いな」
「えー」
「各クラスの学級委員を束ねる生徒を成績上位者2名に任せます。その2名は生徒会に配属されます」
「生徒会?何か高校生っぽいな!」
「高校生だからね。あと中学生でもあったでしょ。生徒会」
「確かに!」
春山…。
「生徒会は1年生から2名、2年生から3名、3年生から4名、特別枠から3名、以上の構成となっています。特別枠については1~3年生の中で当校が優秀な人材とみなした人物に贈られます」
「うわ~!デタデタ。まーた成績だよ。肩凝るわ」
「春山君成績とか順位嫌いだね。でも君はバスケで一番になりたいんでしょ?そのためにこの高校に来たって言ってたよね。同じことじゃない?」
「全然違うね!一番になるのはすげえことだけど偉いことじゃない。1人しかいなかったら人間は一番になれないだろ?そこを履き違えて勝手に自分が決めた枠で順位つける感じがなんかすごい胸くそ悪い!あーなんだろう。上手く言えないけど…」
なるほど。彼が言いたいことは何となく伝わった。
「…まあでも確かにこの高校に来たのはバスケ日本屈指の強豪校でもあるから。強豪校なら、その分強いやつらと切磋琢磨しあえると思ったから。そういう意味では俺も同じ穴の狢なのかもしれないけど…。なんか嫌だ!」
「…っふくくくっ。ごめんごめん。そうだね。少し違う感じだね。目指すゴールは同じでも考え方の部分に大差があるね」
「そうそう!そんな感じ?分かんなくなってきた。まあいいや!」
春山は少年漫画の主人公みたいな人間だなと思った。真っ直ぐで意外と真面目で芯が通っている。
「生徒会配属されると様々な特典がありますが、生徒会になった人のみその特権について知る権利がありますので生徒会についての説明は割愛させていただきます」
「本当に秘密主義だよな」
「入学式なんていう一大行事にも関わらず、プログラム表だったりを紙はおろか電子媒体ですら教えてもらえないんだ。徹底してるというか、この状況をみると色々納得するというか、もはや感心するよ」
「確かに。まさか8組分1人ずつ名前呼んでクラス発表するとか?」
「まあ一応入学式だしあり得るね」
おしりが痛くなってきた!長椅子硬い…。
カリキュラム表もないしすぐ終わると思ってたのに。せめて座布団持参のご案内ほしかった。…と心の中で校長に呪いの言葉をかけてやった。