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 考えろ。私がこのピンチを乗り越えられる最高の方法を。


 春山は子どもみたいな奴だから、今持っている興味を上書きできればクリアできる。

 よし。決めた。これしかない。


「そう言えば春山くんってバスケいつからやってるの?」

「え!渚もバスケ興味出てきた!?」


 案の定バスケ馬鹿の春山は身を乗り出して話に食いついてきた。

 よし、イケる…!


「まあ、少し。で、いつからなの?」

「うーんとね。いつからだっけ」


 知るか!


「質問してる人が知ってるわけないでしょ」

「うーー…ちょっと暗い話になっちゃうんだけど…」


 春山が暗くなるって逆にどんな話か興味深い。


「いいよ。聞きたい!」

「あー…でも、うん、いいや」


 何がだよ。


「俺、兄貴いるじゃん?」

「うん」

「今もだけど、兄貴って昔から器用で何でもできるタイプでさ」

「うん」

「勉強とかも昔は頑張ってたんだけど全然追いつけなくて、親も兄ばっかり褒めて、兄貴ばっかりずるい!って思っちゃって」


 春山らしい感想だな。


「それで兄貴がやってないバスケを始めた。それがきっかけ!」

「そうだったんだ」

「でも始めたらドはまりしちゃってさ!兄貴に感謝だな!」


 …この流れはもしかするとチャンスなのかもしれない。



「そう言えば春山くんのお兄さんってどんな人なの?」



 そしてお話は60話まで巻き戻る。



………………………

…………………






 春山の部屋に先程撒いてきた筈の大路の姿が見える。

 幻覚…?

 目をごしごし擦ってみるけどまだ見える。大路が私を見てふっと笑った気がした。



「それで?二人は何の話をしてたのかな」


 あっ!喋った!

 どうやら幻覚ではなかったらしい。


「いや、つーかお前ノックくらいしろよ!びっくりしたぞ!」

「ごめんね。鍵空いてたからついね」


 つい、じゃないよ。個人の空間だぞ。

 珍しくまともな意見を述べる春山に同調して頷く。


「何の話だっけ…びっくして忘れちゃっ…あっ!そうだ!一緒に風呂入ろうって話してた」

「え?」


 キョトンとした顔をする大路。そして、すぐにいつもの顔に戻り、にっこり笑顔で春山に問いかける大路。



「……二人で?」



 あれ?なんか悪寒が…?


「いや、哲と3人で入ろうと思って!大路もくる!?」

「うーん、どうしようかなあ」


 ちらりとこちらを面白そうに見つめてくる大路。助けろ。


「あっ!でも哲にダメって言われてるんだった!」

「…へえ。日浅くんに?どうしてかな」

「さあ~?」


 部屋から立ち去る時に春山に何か耳打ちしてたけどその時に言ったのか?


「じゃあ帰るけど、日浅くんに言っておいて。僕は君の味方にはなれないかもしれないけど、日向くんの味方だよ、って」


 どういう意味だ?


「んお?おう?覚えてられるかな」

「ふふ。よろしくね」


 やっと立ち去ると思いホッと一息ついた瞬間


「あ、そうだ日向くん」


 急に立ち止まりこちらに注がれる視線にびくりと肩が跳ねる。


「これ、渡しておくね」


 そう言うとA4くらいの茶色い封筒を手渡される。


「…何これ?」

「僕からのラブレター」

「お返しします」

「即答?酷いな」

「ウケトレマセン」

「冗談だよ。君の大切なものが入ってる。一人になったときに確認してね。皆に見られて良いなら君の自由だけど」



 本当に何が入ってるんですか!?

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