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 時間は戻って生徒会入りを指名されたあの日の夕方。音楽室。


「じゃあ早速生徒会についてだけど…あ、そうだ。念のためちびちゃんには教育係を設定しようかなあ」

「は?」


 教育係って何だそれ?


「もし良ければ僕が担当させていただいても良いですか?春山先輩」


 大路が割り込んできた。


「あれ?君にしては積極的だねえ。確か入学式の時にも活躍してたし、ちびちゃんお気に入りなのかなあ?」

「ふふ。そうなんですよ。初恋の女の子にそっくりなんです」


 女の子というワードに一瞬どきりと心臓が跳ねる。

 …いちいち心臓に悪い発言するなよ。それにしても大路の初恋ってどんな感じなんだろ。全然想像がつかないや。


「あら!初恋かあ。素敵だね~」

「はい。春山先輩も初恋の相手に係ることには執着心を持っちゃいますよね?」

「そうなんだろうねえ。ハジメテって何事も印象深く記憶に残るからね~」


 にこにこと笑顔で会話がなされていく。そう言えばこの二人で歩いてるところ何回か見かけたけど二人とも生徒会だったからなのか。ようやく合点がいった。


「春山先輩なら僕の気持ち分かってくれると思ってたんですけど」

「こわい子だなあ。諸刃のやいばだあ」

「僕だと役不足ですか?」

「うーんそうだなあ…まあいいよ。しっかり教えてあげてね~」

「勿論です。ありがとうございます」


 にこーっと笑顔になって頷く大路。

 えっ!?何か勝手に決められたけど!何?何を教えられちゃうの!?担当が大路ってだけで何となく嫌な予感しかない。


「スミマセン…ソレガシノイケンハ…」

「えー?却下でーす」


 酷い!


「さて!生徒会の臨時委員会は会長権限で発令されますー!その他諸々あるんだけどそうだなあ…俺説明するの苦手だからぷーぷーから聞いて~」

「え?」

「あ、僕のことだよ」


 ぷーぷー…?え?何でそのあだ名?春山兄の思考回路色々と追いつかない。


「さーて。ひとまず解散だね」

「待て春山。お前が元々この会を開いた目的はなんだ?そこの生徒会を追放された生徒は納得しないぞ」


 早川先輩が鋭い声で問いかけた。


「え~。それはねえ、この学校のためだよ」

「カクシゴト、というワードの意味はなんだ?最初、お前は議論の対象を日向渚だと言ったな」

「ちびちゃんはねえ、カクシゴトをする悪い子なんだあ」

「だからそれは何だと聞いている」

「あはは!俺も知らないよ~」


 え?


「だけど何かあるんだろうねえ。悪い子は近くにおいて監視しておかないとね。平和を守る生徒会!不正は許さない!かっこ良いでしょ~?」

「…お前な」


 はあ、とため息をつく早川先輩。

 いやいやいや待って!カマかけだったの?それじゃ私、生徒会入らなくても良かったんじゃ…?


「あの、すみません!春山先輩、私やっぱり生徒会もがっ」


 誰かの手が私の口元を覆い言葉が途切れる。


「それじゃあ、あとは僕が色々教えておきますね」


 大路がにっこり笑いかけ、そのままズルズル引き摺られて音楽室を後にした。その後の音楽室でどんな会話があったのかを私は知らない。

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