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月曜日。
学校が始まる。
日曜日に届いたバランスボールに乗りながら朝の軽い運動をする。ふう。腰が重いけどそろそろ行くかな。
1限開始30分前。
教室に入ると、6割位の生徒が既に登校していた。聞こえてくる話題は入部した部活動、おそらく本日決められるであろう委員会、そして生徒会の噂…。
前の席は空席。日浅はぎりぎりに来るタイプとみた。
「おはよー」
「5分前だよ」
「間に合えば良いじゃん」
想像以上にぎりぎりの登校時間に目眩がした。このままいけばこいつ社会人になったとき苦労するぞ。
指摘すべきか迷い抜いた挙げ句、思いを込めて念を日浅に送った。
気付け~気付け~。
…気付かない。スマホをいじってあくびをしている。呑気か。
教室のドアが開き、鳥木先生が入ってきた。
「おーしお前らホームルーム始めるぞ~席につけ」
「日直は出席番号順…だから、1番青山と2番大木」
「はい!起立。礼。着席」
「んーじゃ改めて始める。今週はオリエンテーション期間っつーことで時間割も特別だ。今週分の時間割表の紙は掲示板に貼られてるから後で見とけ」
紙は配ってくれないらしい。
「先生質問ー!それって写メって良いんすか?」
「駄目だ。学校内部の情報漏洩は全面的に禁止されてる。まあルールを知った上で破るのはお前らの自由だが、自由には責任も伴うことを忘れんな」
「はい…」
「つーか話してる最中で止めんな。お前減点な」
「えええ!?」
「今週は1限と6限がホームルームだ。今日はお前らお待ちかねのクラスの委員会を決める」
「うーわ。めんどくさー」
「君は保険委員が良いんだっけ?」
「保健室の先生が美人ならそれで良いけど」
そういう基準!?
「あんたは?」
「図書委員とかが良いな。一番良いのは何もやらないこと」
「そんなの俺もそれが良いし」
だよね~楽したいよね~。怠惰への想いに関しては日浅と意気投合できそうだ。
「なんだ日浅、日向。お前ら学級委員やりたいって話してんのか?」
「違います」
見事返事が重なった。
「私語は慎めよ。次勝手に話したらお前ら余った委員にぶちこむからな」
「はい…」
「委員会は…っとこの9つある」
学級委員、図書委員、文化委員、保険委員、風紀委員、体育委員、広報委員、美化委員、福祉委員。
黒板に委員会の一覧が記入される。
「各2名ずつ必要だ。生徒会にいるやつはこの委員には参加できんがうちにはそんな奴いねえから問題なし」
その通りなんだけど…。私たちの心に鳥木先生の右ストレートは決まった。心の傷が蓄積される…。ストレス発散!至急発散手段求む!
「それにしても2名ずつ×9の18人が委員会活動に従事するのか。すごいな」
隣の席の人が一人言をぽつりと呟いた。私も同じこと思った!結構な確率で何かしらの委員会活動に参加しないといけないんだな。
「よーしお前ら。机の中に手を入れろ」
唐突に言われ、困惑しつつも手を入れてみる。
硬くて四角い何かが手にぶつかった。スマホのような形だけど、何だこれ?
「そのまま中に入っているものを机の上に出せ」
的中。硬くて四角い何かは見た目はスマホと同じものだった。
「電源を入れろ。右側面上のボタンだ」
《welcome to sonoue high school》
画面に初期起動画面が表示される。
《please input your name and student number》
指示通りに氏名と出席番号を入力する。
画面が切り替わり、言語選択画面が出力されたため日本語を選択した。
「よーしお前ら初期設定終わったか?そこに出力されてる数字がお前らの評価だ」
評価…?
「1組~5組ならまだしも分野の違うお前らじゃ適切な序列がつけられない。そのために導入された評価制度だ」
なるほど。
「制度の起源は今言ったものだが、1組~8組全員に適用されている制度だ。次にポイントについて詳しく説明する」
ポイント…。
画面を見ると、四種類のポイント表記がされていた。