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 食堂につくと10人位の部員と思われる面子が椅子に腰かけていた。


「おっ。部長やっと登場ですか!」

「そう~部長登場ですー」


 どうやら春山兄は吹奏楽部の部長だったらしい。


「あれ?その子は?」

「俺の彼女~」

「あははは。部長つまんないですよ。どう見ても男じゃないですか」


 一応女なんですけどね。

 地味に傷付いたけどバレてないことには安心する。ううっ。複雑…。


「でも頑張れば女の子に見えないこともないんじゃん?」


 ありがとうございます。心の中で深々とお辞儀をする。


「はあ~?お前男好きな訳?」

「ばっかちげえよ!」

「でもちょっとあの子に似てない?えーっと何だっけ名前忘れた。モデルの…」

「あー確かに!ヒヒちゃんにちょっと似てね?」

「あ!言われてみれば確かに似てるかも!」


 部員達は口々に盛り上がっている。楽しそうだな。


「はいはいみんな~注目~。部長のお出まし~。冗談はさておき、この子1年生の子。昨日見学来てくれてそのまま入部してくれたの~」

「おー!よろしく。名前は?」

「日向です。楽器はやったことないですし、幽霊部員になるかもしれませんがよろしくお願いします」

「初っぱなからストレートな自己紹介だな」

「そうそう~オブラートに包もうねちびちゃん」

「はあ…」


 何でも良いけど色んな意味で自由な人達だ。


「とりあえず部長も来たことだし仕切り直ししますか?」

「良いね~」

「こら!お前らが仕切んな!3年生は部長含めて俺ら10人、2年は12人。今日来てる3年生は俺ら3人ね。2年はこの三馬鹿3人組」

「なんですか早川先輩その紹介の仕方ー!」

「そうだそうだー」

「意義ありー」

「はいはいトリオうるさい。1年は3人だね。全体に関しては今日来てない奴も含めたらもうちょい増えるけど主要メンバーはこんな感じ」


 少なっ!やる気なさすぎでしょ!


「土日は外出許可出れば外出れるし出席率悪いんだよ。あー俺もデートしてー」

「お前彼女できたことねーだろ」

「なっ!お前こそ年齢イコール彼女いない歴だろ!」

「だからうるさい!トリオ!」

「えー赤城と神田しか騒いでないのに巻き添えくらった~」


 謎の親近感が芽生えた。同志よ…。


「じゃ、1年3人改めて自己紹介頼む!」

「ヨッ!」


「…えっとじゃあまずは俺から。1年7組の堺です。中学の時はサックス吹いてました」

「1年2組の山田です。音楽は経験ありませんが、よろしくお願いします」

「日向です。同じく音楽は経験ありません。よろしくお願いします」

「なるほど。日向君は何組なんだ?」

「あ、すみません。1年8組です」





 沈黙。





 あれ…なんだこの雰囲気。少し嫌な感じ…。

 沈黙を破ったのは春山兄だった。


「…………うんうん良い面子だねえ。部長の春山でーす。3年生でーす。部長っぽくないでしょ~?さてさて1年生の子の自己紹介だけで良いかな」

「駄目に決まってんだろ馬鹿」

「え~俺部長なのにその言い草はあんまりだ~泣いちゃうー」

「俺は副部長の早川。春山と同じクラスの3年1組だ。顧問は門倉先生。今日は来てないけど平日は来てくれるよ」


 なんと!

 ということは春山兄も1組ということか。驚いた。


「続いて俺は山田。3年3組」

「吹奏楽部のおかんだよ~」

「春山やめろ!」

「おかーさん恋しくなったらマーマに抱きついて良いよ。マーマおかあさーん」

「だからやめろって言ってんだろ!」

「痛いー暴力反対~」


 仲良さそうだな。一瞬だけど8組と名乗った時のさっきの反応といいクラス格差あるかと思いきや良い意味で期待を裏切られた。


「続いて俺ら2年4組!赤城、神田、ベイトでーす!覚え方はアッカンベーでお願いしまーす!あ、ベイトは帰国子女なんだ!」

「よろろ!見た目はハーフだけど中身ばりばりの日本人デス~。あっ俺は彼女いまーす。でもまだまだ募集中でーす」

「はあ!?お前この裏切り者!」

「おほほほほほ」

「うっぜー!首締めの刑だぞ!」


 3年、2年共に仲良さそうだ。

 1年の雰囲気も最初はギクシャクしていたが、先輩たちの雰囲気の良さからか、食事が終わる頃には打ち解けることができた。

 その後は皆で部室に戻り、ドラムの練習をさせてもらった。足も手も使うので意外と難しかったが、楽しかった。


「じゃあ自分はそうそろ」

「お疲れ~また来てねーちびちゃん」

「失礼します」


 充実した1日だったなー。フンフンと鼻唄を歌い、ハッとした。春山兄のがうつってる!!

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