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自室に戻るとどっと疲労感が増した。
なんだったんだろう…。今日一日で色々ありすぎて頭が痛い。キャパオーバーだ。
シャワーを浴びてから何気なくスマホを見るとメッセージアプリに2件新着メッセージが来ていた。
ひなたと楓とのグループチャットからだった。
《ひなた:入学式終わったよー(^o^)友達できなかった…(;_;)疲れた~二人はどうだった?(^-^)》
《楓:終わったー!ひなたどんまい。笑 そのうちできるやろ!私は良い感じやった!高校生活楽しめそう~♪》
そっか。二人も今日が入学式だったんだ。
楓は流石だな~。ひなたは少し人見知りだけど優しいし徐々に打ち解けていけるだろうな。
正直色々あったから二人に打ち明けたい気持ちで山々だったけど最初から心配かけられないよね。
《渚:お疲れさま。私も色々あったけど何とか頑張れそう》
ピコン、と着信音がなる。
早いな。さては二人とも暇だな。
《楓:そっかそっか~どうやった?イケメンおった?笑》
《ひなた:楓ちゃん…笑 なっちゃんが一番心配要素あるもんね。男の子だらけなんて大変だよね(;_;)大丈夫?》
隠したつもりだけど二人には私の不安が文章だけで伝わってしまっていたみたいだ。伊達に付き合い長くないなあ。
《渚:なんとか今のところは大丈夫だよ。一応友達っぽい人もできたし。ラッキーだったよ》
《楓:っぽい、とな!?これは怪しいですね~男の匂いがしますぜ。どう思いますひなた警部?》
《ひなた:ええ!?でもバレちゃ駄目なんでしょ?あっ!まさか!もしかして男子校特有っていうあの噂の禁断の恋…!?本当にあるんだ!》
一瞬、先程日浅にされたことを思い出し顔が熱くなる。
文字列の会話で良かった。私の動揺は悟られずに済む。
《渚:楓やめて。ひなたピュアだから真に受けるでしょ》
《楓:ごめんて笑》
《渚:分かれば良いよ》
《ひなた:でも友達っぽいって確かに面白い表現だね~》
《渚:まだ知り合って間もないから。友達って言えるのか分からなくて。ごめん明日早いから寝るね。おやすみ》
《楓:おやすみ~。無理しんときや》
《ひなた:おやすみなさい。何かあったら相談のるから遠慮なく言ってね》
スマホをパタンと裏返す。
二人に少し、嘘をついてしまった。
本当は頭の中が予想以上に混乱していて、自分の中で整理する時間が欲しいと思ったのだ。
まずこの高校独自のルール。
上に行ける自信があったのに8組配属だったこと。
春山、大路、佐摩、日浅。
そして鳥木先生の言葉。
まさかの吹奏楽部への入部ーーーーー。
楽しいと感じた瞬間、緊張した瞬間…一日で感情の動きが多過ぎて疲れた。それに色んな人と関わった。
明日が休みで良かった。
色々整理する時間を作れそう。
走馬灯のように今日一日の出来事が流れていく。思考が追い付かない。ぼーっと考えているうちに、意識は真っ暗な闇に飲まれて消えた。