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 鳥木先生の言葉に身震いする生徒達。

 学校は学習の場を提供してくれる。しかし進路は自分で決めろと。結果を出せばそれが私たちの進路になると。極端な話、例えばバスケの推薦で入学した春山が書道に転向しても構わないと。


 結果が全て。本当にシンプルで分かりやすすぎる学校だ。そして、残酷だ。



 予定表を捲ってみると選択科目は多種多様だった。全部で6つ。体育、家庭科、美術、書道、情報、その他。…その他って何だよ。ざっくりしすぎでしょ。


「へー。楽しそうじゃん」

 確かに。


「そうだね」

「あんたは何の選択科目にすんの?」

「うーん。最初はバランスよく均一にとってみようかな」

「ふーん」



「毎回出席あるからな。サボりは退学への第一歩。覚えとけよー。ただでさえ8組だしな」

 頭を掻きながらめんどくさそうに話す鳥木先生。教師ー!!あなた教師だよね?


「うわー。俺選択科目保健にしようと思ったのに。保健室直行」

「勝手に選択科目作らないでよ。あとその言い回し、何か色々意味が変な感じに聞こえるから。やめて」

「あんた初なの?ごめんねー」

「セクハラですか」

「はー?まず保健で変なこととか思っちゃうあんたの方が変態じゃん。生命の神秘だし」


 …落ち着け私。ひっひっふー。

 まあ男子高校生だもんな。

 しかし初というところを否定できないのが哀しい。そうだよ。中学時代まともな恋愛なんてしたことないよ。全て片想いに終わったよ。ううっ…古傷が抉れる…。


「…何急にだんまりになってんの。調子狂うんだけど」

「き、君だって!人のこと初とか言えるの?中学生でそんな、さ!」

「いやあるし。彼女いたことくらい」


 か…彼女だと!!

 まじで!!?聞き捨てならない!裏切り者だ!断罪だ!


 何となく裏切られた気持ちになり、むすっとした顔になる。こんな顔を見られたくない。思わず俯いてしまう。

 日浅が顔を覗きこんできた。



「なに?妬いてんの?」

 はあ!?



 少し傾けた顔。前髪がさらっと右側に傾き、片目が姿を現す。口元は緩み、その目は楽しそうに三日月型に細められていた。





 かっ…!!!


 不覚にもドキッとしてしまった。

 可愛いって。一瞬だけ思ってしまった。

 この前髪か。この前髪がこいつの武器か。ギャップ萌えってやつか。

 恐ろしい!!


「よし。前髪切ってあげる」

「は?」

「その前髪は呪いの前兆だよ」

「意味不明なんだけど。何?ついに頭おかしくなったの?こわいし。あんたこそ呪われてるんじゃないの」

 何だとこの野郎。


「ついにって何だよ。本当失礼だな」

「事実だし」


「ほら!11番、12番。いちゃつくな。次騒いだら減点な」



 前方の日浅を見るとしれっと体を前向きに戻していた。右手を口元にあて、体が僅かに揺れている。


 …ツボが分からない。やっぱり日浅と仲良くなるためには時間を要しそうだ。

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