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教室に入ってきたのは女の先生だった。美人…!
「はーい。ホームルーム始めるよ。その前に自己紹介。私はこのクソみたいなクラスの担任の鳥木 清子。よろしく」
「はいはーい!先生質問です!」
勢いよく挙手した男子。
「はい却下ー。私の一連のスケジュールこなしたら質問させてやる」
「担任がクラスのことクソとか言って良いんですかー?」
「はい、お前場所的に…出席番号26番。担任教師の話遮ったから減点な」
「げー!」
…なんというか中学の時には見なかった新しいタイプの先生だ。
でもそっか。男子校の担任やるんだから、あれくらいサバサバした感じの方が良いのかもしれない。
「ちょータイプなんだけど」
日浅がぼそっと呟く。
…こいつドエムか?…聞こえなかったことにしよう。
「お前ら出席番号一番から順番に自己紹介しろー。一人1分以内な。あとこれも評価に入るから。ほれ始め。一番」
トリッキー過ぎるわ!!
……
………
……
結局担任の先生の個性が強すぎて、皆無難な自己紹介をして終わった。
「なんだよお前らつまんねえな。8組は個性で勝負だろ?どうせお前ら何かしら問題ある欠陥優等生なんだからよ」
欠陥なのか優等生なのか。褒められてるのか貶されてるのか訳がわからなくなってくる。
「まあいい。ほんじゃ授業予定表配る。後ろに回せ」
授業予定表をみて驚いた。午前中は一週間に各教科の授業が入っているが、午後の授業は全て選択授業だったのだ。
「パンチ効いた事項多すぎるでしょ。ここ」
「君がそれを言うの?」
「どうでもいいや。それよりあんたのせいで部活どうするか決められないんだけど」
「春山君に言ってよ」
「えー。あんたあいつの友達でしょ?」
「君だってそうだろ。むしろ君の方が仲良いだろ」
「だってめんどくさいし」
「そう」
結局、入学式が予定より長引いたせいで部活紹介プログラムはカットされたらしい。
「あとは自分の足で確かめろとか酷いし」
「まあでも学業以外の人は皆入るクラブ決めてるし、学業優先の人はどこでもいいって考え方なんじゃないかな?」
「おい11番。12番。なんか文句あんのか?」
喧嘩売ってんのかと言いたげに話しかけられた。チンピラか。
「いえ、何も」
見事に声を揃えて返事をした日浅と私。しかし氏名じゃなくて出席番号で呼ばれるのか。斬新だなあ。
「あー。選択型のものについては、二枚目のプリントに書かれてる選択科目から自分が好きな項目を各々選んで良し。毎週違うものを選択しても構わん。お前らの取るべき成績は学業以外であれば何の成績をとっても構わない。とれば勝ちだ。お前ら自身の選択によって伸び方も変わってくるだろう。ただし…」
鳥木先生はにやっと笑った。
「選択を違えるなよ?」