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「構わん。俺は涼介と組む。で、勝負内容は?」
「えー。僕?勝手に巻き込まないでよ」
同意!いいぞ大路!もっと言え!ファイッオー!ファイッオー!
「大路君と………日向君、君達も依存はないかな?」
ありまくりです。
「3ヶ月間何でもかあ…。良いですよ。楽しそうだし。あはは」
楽しくないよ!
さっきの意見はどうした大路!?
とりあえずここで主張しないと…でも私が断ったら春山の面子を大衆の前で潰すことになる。それは避けたい。ううっ…どうしよう…。
「3ヶ月間で願い事を1つだけっていう条件なら参加します」
条件に難癖つけることで、パートナーから外されることを促進する。さらに条件事態を批難することにより、春山のパートナーを拒否したわけではないことをアピールした。学校側としても私に注目がいくのは避けたいだろう。
「へえ…。じゃあ僕もその意見に賛同します」
にっこり笑って大路が続いてきた。うっ!これは宜しくない流れ…。思わず歪んだ顔で大路を見ると、涼しげな顔でこっちを見返してきた。
あー!もうっ!
神頼みするつもりで小さく手を合わせた。
「…僕は構わないですよ。ああ。でも…」
「…?」
「ここでの話し合いは皆様のお時間まで頂戴することになります。先生方のご提案も素敵ですが、あとは僕たちの問題なので後程話し合った上で決めさせていただいても宜しいでしょうか?18時までに話し合いを終えます。結果を先生方に職員室に行った際にお伝えします。それでも宜しいですか?」
ナイス大路!この場の話し合いは目立ちすぎて心臓に悪い。
「…確かに。このままではカリキュラムの進行にも支障が出ます。そうなると他の全校生徒にも教師にも迷惑がかかりますね」
最上先生が大路の案に賛同してくれた。あの先生は比較的まともかもしれない。というか一応カリキュラムあるのか。
「あ…。すみません…」
春山ははっとした様子で謝った。
少し冷静さを取り戻したようだ。良かった…。
「俺もそれで問題ないです」
めんどくさそうな顔をしながら佐摩が言い放つ。
校長は満足げに頷いた。
「では、そうしよう。円満解決して良かった!では、最上先生。続けて」
「はい」
…円満なのか?
「クラスの内訳ですが、組によって各規則性があります。1年生のうちは1~5組が勉学成績上位順に構成される。6~8組はスポーツや芸術等の特別枠の生徒で構成される。1組は一軍、2組は二軍、3~5組は三軍、6組は一軍、7組は二軍、8組は三軍という認識です」
なんて学校だ。
この難関校に入学した者からすれば、三軍に割り振られることはこの上もない屈辱のように感じる筈。
しかもそれをこんな公的な場で断言するなんて。生徒の間で起こるスクールカーストを黙認しますと公言したようなものだ。
「この規律は君達を鼓舞するために作られたものです。良い方向に刺激しあってくれることを祈っています」
最上先生はそう言い終えると、各クラス名簿表らしき分厚いバインダーを広げた。
「それではクラス発表をします」
前の説明により緊迫した空気が流れた。この異常な入学式。クラスによって今年1年の自分の立ち位置を決められる。表彰式と変名した方が良い気がする。
「まずは1組」
1年生の公開カースト通知が始まった。