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むっとした顔をする春山。
「嫌だね!そっちが降りてこいよ」
「…お前、俺に命令してるのか?」
空かさず佐摩が春山を睨み付ける。
「はははははっ。君たち粋があって実に素晴らしい!」
笑ってる場合じゃないよ校長!止めろよ教育者!
生徒はともかく、教師なら誰か1人くらい止めに入ってきてくれてもいいものを皆静観している。まるで物語の結末を見守るように。
「お前みたいな奴はこの学校に合わないんじゃないか?今すぐ転校することを薦めてやる。なんなら紹介状でも書いてもらうように俺が言付けしてやろうか?」
「なんだと!!!」
「まあまあ落ち着きなさい。佐摩君、春山君」
春山…君はこれで校長にも名前を覚えられたことは間違いないよ。南無…。
心の中で両手を合わせて春山に黙礼、合掌した。
「君たちは二人とも本校にとって大切な生徒だ。そこでどうだろう?1つ提案だ。本校の成績上位者、つまり勝利者絶対の原則に則り、二人で勝負をするというのは」
「勝負?」
「しても意味がないと思いますが。結果は見えてるので」
「お前…!」
「するなら題材はそちらで決めていただいて結構です。何であっても勝つのは俺ですから」
「うーんそうだなあ…。少し面白味がある方が良いけど…。最上先生。何か案は?」
「…本校で弱いとされているチームプレーはいかがでしょう?」
「なるほど」
「二人一組で3勝負。負けたチームは3ヶ月間勝ったチームの言うことを何でもきく。ただし命に関わることや怪我をすること、本校の名誉を傷つけることは除く。こんなところでどうでしょうか」
「いや~面白いね。それでどうだね?二人とも」
…………………ん?
二人一組?
何故だろう。
嫌な予感がする。
「俺は問題ないです」
「友達との信頼関係か!熱いっすね!賛成です」
「で?お前のパートナーは?」
「俺はこの高校で初めて会った…」
…えっ?
まさかね…?
「友達第一号の…」
待って待って待ってやめて。
違うよね?
…………違うよね!?
「日向と組む!」
盛大に巻き込まれたーーー!
「日向?誰だ?」
酷い!今朝話したばっかりなのにもう忘れてる!
佐摩め…あいつさては頭良くないんじゃないか?
「こいつだ!」
そう言った春山に腕を捕まれ持ち上げられる。
起立…というよりも宙ぶらりんの状態で立つ姿勢になり私は聴衆の目に晒された。