冒険者登録と、繋がり。
日刊総合ランキング3位になったり、ついにポイントが4桁いったりと、ありがたいことばかりです!
本当にありがとうございます。
それと、様々な感想やご指摘有り難うございます。
それらを糧に私はもっと成長していきます!
その後結局3人で冒険者ギルドに向かうことに決まった俺たちだったが、その道すがら俺はふと思い出した疑問を鈴に投げかけてみた。
「そういえば鈴はどうやって俺を見つけられたんだ?」
「そりゃあだって、今の蓮くんはこんなに気配が濃いんだよ?気づかないわけないじゃん」
「影が濃い? 一応今気配遮断っていうスキル使われてるはずなんだけど……」
「そうなの?……うーん、でもやっぱりリアルよりかは断然気配が強いよ?」
じゃあやっぱ気配遮断もレベル1じゃあそこまで効果がないのかもしれない。
まあそのおかげでサラさんに声をかけられることができたんだから、感謝していいのかなんなのか。
っていうか、鈴よ。気付かないわけないってことはないだろう。
まあでも確かに鈴は小さい頃から俺を見つけるのが得意だった気がする。
俺は体の成長と比例するように影も薄くなっていった。
それにも関わらず、鈴は俺の居場所がなんとなくわかるらしいのだ。
例えばかくれんぼをしている時、俺はいつもあっという間に見つかってしまうし、ある時遊園地で俺が迷子になってしまった時も鈴がすぐに見つけてくれたらしい。
他にも水族館で迷子になった時やパーキングエリアで迷子になった時、学校の帰りに公園に寄ったら帰り道が分からなくなった時など数多く。
そしてその大体の場合鈴が見つけてくれたらしいのだ。
「蓮くんがどこかに行っちゃった!」と大騒ぎする母さんを、鈴が「多分こっちにいる!」と言って連れてきてくれたらしい。
っていうか俺迷子になりすぎだろ。今ざっと思い出しただけでも5、6回はあるぞ。これはあれか。道が俺を見失ってるんだな。俺が方向音痴なわけないしね。うん。
なんで俺の居場所がわかるのか鈴に聞いたことがあったが、曰く本人にも何故だかわからないらしい。ただなんとなくこっちかなーと思った方向に俺が居るって言ってた。
うーんわからん。
「っていうか、それゲームの中でも同じなんだ」
「うーん……そうみたいね」
一体なんの特殊能力だ。
そんな会話をしているうちに、冒険者ギルドに着いたのであった。
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冒険者ギルドの喧騒は、それはもうすさまじいものであった。
「次の方どうぞー!」
「この素材はいくらで売れる?」
「初心者の装備一式ください。いくらですか?」
「あー今日の狩りも疲れたー」
「知ってるか? なんでも森の方にオーガの集団があるらしいぞ?」
「誰だよ草原のスライム狩りつくしたやつ。あー探すのめんどかった」
「こんなクソゲーやってられっかよ! めんどくさい所までリアルに作りやがって!」
……etcetc
みんな思い思いにしゃべっているせいでめちゃくちゃうるさい。
まあ、このRDOはまだ正式にサービスが開始されてから日が浅い。
そのためか冒険者ギルドの利用率は驚くほど高く、この騒々しさも納得できる。
納得はできるのだが…
「この行列に並ぶのか……」
「さすがにめんどくさいわね……」
5つある窓口の全てにおいて長蛇の列が出来上がっているこの光景は確かに圧巻でこそあったものの、これからその列に並ばなければならない俺たちからすれば憂鬱極まりないものであった。
「れんさん、りんちゃん、そのために私が来たんです!」
「えっ…と、どういうこと?」
「だから、私が裏で登録をさせてあげると言っているんです!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それは確かにうれしい申し出ではあるけど、そんなのちゃんと並んでる人に申し訳ないじゃない!」
「まあ確かにそうだな。めちゃくちゃ有り難いけど、流石にそれはズルなんじゃないか?」
「いいえ。一流の冒険者はみな運も一流です。運とは時として命すら左右するものですので、れんさん達の運の良さは責められることではないと思います。それに、コネだって重要ですしね!」
「だから裏で登録してもらってもズルじゃない、と?」
うーん、実際どうなのだろうか。
サラさんが言う通り運も重要な要素ではあると思う。
しかしズルみたいに思ってしまう俺もやはり存在してるし……。
「ま、いいんじゃない? 運も実力のうちっていうか、機会をきちんと掴むのも大事なことだよ」
「そう……か。じゃあお願いするよサラさん」
結局、サラさんに裏で登録してもらうことになった俺たちはギルドの裏に向かった。
途中でサラさんがギルドの先輩に「あ! サラちゃん丁度良かった! もう今てんやわんやでさー、そっちが終わったら受付手伝ってくれる?」と声をかけていたことから、こういう贔屓はそこまで厳重に禁じられているものではないとわかって安心する場面もあったが。
「じゃあ登録しますね。このカードに親指を押し当ててください」
俺と鈴は素直に言うことを聞き、その後もいろいろ操作を行った。
「これで、一応登録は完了となります。では次に説明に移ります」
そこからサラさんの説明が始まったのだが、長いこと長いこと。
かなりの時間ノンストップで説明をしていて、思い出そうとする素振りも見せないことから暗記しているんだと思うが、そこはやはりNPCの成せる技ということか。
途中で一度、冊子とかにして配ればいいのではと提案したのだが、そうすると読んでくれない場合があるのだそうだ。
もしかしたらギルド嬢が美人ばかりなのもそれが理由かもしれない。せめて説明を最後まで聞いてくれるように、と。
で、そのサラさんの話をまとめるとこうだ。
・冒険者は下からF、E、D、C、B、Aランクとあり、その上にSランクがある。
・ランクは依頼の達成状況などから自動的に上がる。Cランクから先はランクアップ依頼を受ける必要があるそうだ。
・冒険者カードは身分証明書にもなり、他国にわたるときや何か大きな買い物をするときなどには必要になるらしい。
・冒険者カードには倒した敵を自動で記録する機能があり、それも冒険者ランクに影響するらしい。
・また、冒険者カードには犯罪履歴も自動で記入されるようになっており、殺人等を繰り返すと指名手配されたりする。
ちなみに、この時サラさんが「指名手配を受けた上で何度も重罪を犯した人には、勅命を受けた暗殺者が向けられるという噂があるんですよね」と言っていたのだが、本当だったら恐怖だ。
絶対に罪は犯さないようにしよう。
この他にも細々とした決まりが非常にたくさんあったのだが、それは今の所あまり気にしないでよさそうだった。
それにしても長かった……。受付のあの行列もうなずける。
「サラさん、本当にありがとう。こうして早く登録できたのもサラさんのおかげです」
「そ、そうね! あ、ありが…ありが」
「いえいえ、私が言い出したことですので気にしないでください」
「ちょっと! 無視しないでよ!」
「うふふ、ごめんねりんちゃん。……はい、これが冒険者カードです! 無くさないようにしてくださいね」
「わかった」
「わかったわ」
「じゃあ、私はこれから受付の仕事手伝わなきゃいけないから、一度お別れですね。今度ギルドを利用するときも、私に声をかけていただけたら嬉しいです!」
「本当にありがとな」
「いえいえ、ああそうそう。受付の近くのカウンターで初心者の装備一式を買うことができますよ。初心者用なので流石に一流とまでは言いませんが、それでも普通に使えると思います」
「わざわざありがとね、サラ!」
「いいのよ! がんばってね、りん!」
俺たちはサラさんとの挨拶も済ませ、冒険者ギルドを後にすることにした。
サラさんには本当にお世話になった。
もうNPCとは思えないくらい親しく感じている自分がいる。
こうしたつながりは、今後も広がっていくのだろう。
俺が現実では持っていなくて、だからこそ求めたものがここにはある。
影の薄さを気にしなくても済む、俺の望んだ世界だ。
不安もまだ多いけど、それでも俺はこのRDOを辞めはしないだろう。
他人と会話を重ね、次第に他人じゃなく友人になっていく感覚は、今まで俺がほとんど味わってこなかった快感だ。
今まで知らなかったその未知は、もう既知となってしまった。
だから俺はまた求めるのだろう。
他人との、繋がりを。
「蓮くーん!」
え、あれ?
遠くから鈴の声が聞こえるような……。
ってあれ? 鈴がいない?
さっきまで近くにいたのに!?
俺が内心焦っているとすぐにドタドタと騒がしく足音が近づいてくるのが聞こえ、俺の手を誰かが掴んだ。
「ねえ! なんですぐそうやっていなくなろうとするの!」
「い、いや別にいなくなろうとはしてないけど……」
「ならちゃんとついてきなさいよ! ったく、どっちが年上かわかんないじゃない」
そう言いながら俺を引っ張っていく鈴に付き従ってカウンターに向かい、無事何事もなく装備を買い揃えた俺らは、戦闘の練習をするために草原に行くことにした。
手は、繋がれたままだった。
今回もお読みいただき、本当にありがとうございました。
この作品がこんなにもたくさんの方に読んでいただけるなんて思っていなかったので、私としてはかなり驚いています。
……と、書き始めたころはこんなに多くの方に読んでいただけることを予想していなかったせいで、色々と深く考えずに書いてしまった文があります。
ですので、話数がまだ少ない今のうちに加筆修正を行いたいと思います。
つきましては変更があった話の後書きと、最新話の後書きにどこをどう変更したのか報告いたしたいと思っております。
お手数をおかけすることになるかもしれませんが、何卒宜しくお願い致します。
で、あの、そういうことは起きないようにするつもりですが、もしかしたら明後日の投稿が遅れてしまうかもしれません……。